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76後ろ盾
しおりを挟む私としては特別なことはしていない。
いただいた大事な包丁を大事に使っただけだ。
それにお礼を言うのは私の方だ。
あの七本の包丁は魔法の包丁だった。
どんな堅い食材も切れる。
しかも腐った野菜も瑞々しくなるほどの素晴らし包丁だ。
だから丁重に扱い。
使った後は手を合わせていた。
「ドワーフにとって作ったものを大事にされる程嬉しいことはない」
「ですが…」
「あの包丁をどれだけ大事にしていてくれたか解るぞ」
私の腰につけている包丁。
この子達は私にとってなくてはならない存在となった。
「ドワーフの御爺さ…じゃなくて王様」
「お爺さんでよいぞ。実際爺じゃからな」
「不敬罪には?」
「人間と違って我が国は役職こそ王であっても平等だ。同胞だ」
人間とはずいぶん異なるのか。
身分差別というのがなくあくまで公の場だけのことだそうだ。
「今日無理に謁見をごり押ししたのはお嬢ちゃんの後ろ盾に我がドルトン王国が後ろ盾になることを申し出たかった故だ」
「はい?」
「ドワーフ王…それは」
「ドワーフ如きでは不満か?」
「いえ…そうではなく。妻は平民ですので」
私の代わりに代弁してくれるアレク。
そうよ!
言っちゃって!
「何?大聖女の末裔を平民に落としたのか」
「ドワーフ王…どういうことでしょう」
ナディアさんがダラダラと滝のごとく汗を流しながら訪ねる。
「これは妙な事ですな」
「ハク」
「姫様は大聖女様の末裔であることを誰もご存じないとは」
大聖女って何?
私の頭が今にも破裂しそうなのですが。
「セージ陛下、アンリは確かに加護を持っています。ですが、祖国では彼女の加護は使えないと罵倒され、貴族令嬢でありながら奴隷以下の扱いを受けていたのです」
「何?ハク、今すぐその国を灰にするのだ!」
「落ち着いてください」
あくまで冷静な白髭のおじいちゃん。
曰くハクさんというらしいけど、随分と正反対だな。
「元より大聖女の末裔は隠されていましたからな…しかし、大聖女の末裔にそんな罰当たりな真似を?何所に国ですかな?」
「これまで不愉快な王は数多に見て来たが…一番不愉快なのはアレンドールの王だ」
それ、元私の祖国です。
…っていうか。
私の祖国って的多すぎない?
何でこんなに恨まれるの?
「アレンドール王国の王は彼女の父親の領地を違法な手段で奪い、極寒の何もない領地に追いやり後に事故死ととして片づけ、存在自体を消しました」
「なんだとぉぉぉ!!」
「ひぃ!」
小さなお爺ちゃんがハードボイルドのおじさんに凶変した。
服が一瞬でビリビリに破れてマッスルになってしまったのだった。
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