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77凶変
しおりを挟むさっきまでは優しいお爺ちゃんだったのに。
仏が鬼になったと思う程の違いがある。
「おのれぇ!なんという真似を」
「あの…」
「甘い顔をしていれば!」
私の声はまるで聞こえていないようだった。
もはややーさん並みの表情になり、何所から取り出したのかサングラスを装着する。
「アレク、どうしよう」
「これであの国はドワーフをも敵に回したな。さぁ大変だ」
「大変って何?」
ドワーフが敵に回ると大変な事となると、そうだわ。
この世界の武器のほとんどはドワーフの技術提供でなりたっている。
剣や鎧だけじゃない。
戦闘に使う武器だけでなく私達が身近に使う道具もドワーフが作り出したと言っても過言ではない。
「ドワーフとの縁を欲しがる商人は多い。逆にドワーフと敵対するギルドは商人から距離を置かれる」
「じゃあ国にとっては…」
「最悪な状況だな。武力も失うことになる」
最悪な状況なのは明白だ。
「ドワーフの中には人間に技術を教えたりもしている。弟子があちらこちらにいる」
「その人はどうなるの?」
「契約書では師となるドワーフが命じれば商業ギルドから呼び戻すことになる」
そんなことになるんだ。
「甘いぞ小童」
「小童?」
「甘すぎる。その程度で済むはずがないだろう」
どんなことをするのか。
「して王太子殿下よ。ドワーフは戦争も辞さないいな?」
「元より、あの国はもう終わっています」
「ならば、問題ない」
話し合いはあっさり決まった。
互いに共通の敵が決まったので、手を取り合ったのだが…
「あの、お許しくださるなら」
「どうしたアレク」
「アンリの実家の事です。あの領地は…」
そうだ。
以前お兄様が領地を取り返してくれると話を進めてくれていた件だ。
「今、使者を送り領地の権利を奪い返す手段を取っている…ただ残念なことだが」
「領地の返還は困難ということでしょうか?」
私自身は領地の事は諦めているし、空っぽなのだからと思った。
「あの国の王が領地の中に魔石が埋まっていると勘違いして、穴だらけで傷だらけに」
「では…」
「万一戻っても元には戻らない」
「あんまりではありませんか…アンリにとっては故郷ですよ」
泣きそうな表情をするアレクの手を握るしかなかった。
アレクが思う程私は傷ついていない。
「もういいんだよ。肩身はちゃんとある…お墓も」
可能であれば墓を移したいと思っている。
「心はちゃんと残っているからきっと父は許してくれる」
きっと天国で笑ってくれる気がする。
だからもう悲しまないで欲しい。
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