自称悪役令嬢は嫌われるべく暗躍する!皆の幸福の為に嫌われるはずが、何故か愛されてしまいました。

ユウ

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第二章

18君を思う②

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涙が出なかった。
心がおいつかなかったんだ。

杏奈は棺にすがり泣いていた。
体が弱いのに無理に葬儀に参加したそうだ。



「どうして…」


何故彼女が死なななくてはならなかったんだ。
僕は最低な事を考えてしまった。


他の人ならばなんて最低だ。

でも、彼女は巻き込まれただけだ。


クラスでも人気者だった彼女の葬儀はとても悲しいものだった。
葬儀の帰りスマホにメールが入っていた。


今日に送信される予定だったらしい。


『赤点取った。ノート見せて』


最期の言葉がこれって。


「本当に馬鹿…馬鹿だろ」


何時もちゃんと勉強しろって言っておいたのにまた赤点を取ったのか。


「うっ…うわぁぁぁぁ!」


雨が降り、空も泣き出し僕はようやく泣けた。



声が枯れるまで泣いて、神様になってしまった零を思った。



神様、お願いです。


もしこの世に奇跡があるなら。



もう一度生まれ変わった時は。



大好きな彼女の傍に生まれ変われますように。


それ以上は望みません。
大好きで仕方ない彼女を見守れるように――。








「殿下!」

「ハッ…」



ヴォルクに肩を揺すられ目を覚ます。



「大丈夫ですか?魘されていましたが」


「ああ、大丈夫だ」



夢を見ていた。
幼い頃から朧気に見える夢だった。


でも今日だけは違った。
ここまで鮮明に覚えていたのは初めてだった。


「殿下…」

「え?」


僕は泣いていた。


「何所か具合でも」


「いや、少し悲しい夢を見ていたんだ。とても悲しい」


「そうですか」


転寝をするなんて珍しい
夢の所為か、それとも最近色々あり過ぎて疲れているのか。



「そろそろお時間です」

「ああ」


もうすぐ鑑定が始まる。
その場に僕は立ち会わなくてはならない。


「殿下…どんな鑑定結果になっても大丈夫です」

「ん?」


「レティシア嬢は例え光の魔力を持たずとも、王太子妃に誰よりも相応しいと思っております」


他人に厳しい彼が珍しいな。


「少なくともあんな性悪女と比べること自体間違いです」


「フフッ…解っているよ」


大勢の前で仮にユリティア嬢が聖女として認定されたとしても関係ない。


僕はレティーが好きだ。
彼女の気持ちはどうか解らない。

嫌われてはないはずだ。
好意的に見られているのだけど、何故か悪女として振舞っているけど。


でも彼女は悪女になれないだろう。
実際酷い事は何一つできないし、嫌う人は少ないのだから。



「本日の鑑定はあの女の公開処刑です」

「君も言うね」


今日の儀式で光魔法を皆の前で見せる事は、彼女がこのまま学園に留まらせるか否かがかかっているのだから。



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