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最終章.自称悪役令嬢の果て
16.突きつけられた事実
しおりを挟む生徒達を避難させながらもサングリアを止めようとするも、勢いは止まることがなかった。
「マリー!」
「お姉様…」
憎しみをぶつけられ、マリーはどうしていいか解らなかった。
生徒の避難を最優先にするも、精神は不安定な状態だったのをアレクシスは見抜いていた。
「どうして…どうして、こんなことを」
「それをお前が…お前ごときが言うの!お前の所為でこうなったのに!」
「私の…」
サングリアは今にもマリーを殺しかねない状態で告げた。
こうなった原因は全てマリーが悪いのだと。
「何を言いますの?貴方が望んだ結果でしょう?それをマリー様の責任だと言うならば、貴方はどうなんですの?」
「私は正しい行動をしただけ。なのに何もしないでのうのうと生きて来たお前が何故そこにいるの…狂血病にかかるはずだったのに…なぜ今も元気なのよ!」
「えっ…」
――狂血病になえうはずだった。
その言葉ですべてが繋がった。
(お姉様も私と同じように…)
違和感はあった。
何故あのタイミングで婚約者の入れ替えを望んだのか。
どうして領地に戻ることを望んだのか。
「どうして平民の女と仲良くなっているのよ…殿下と恋をするはその女だったはずなのに!本当ならお前が婚約破棄をされるはずだったのに!」
「何を言っているんだ!アネットは俺の恋人だぞ!」
「うるさい!アンタも私の踏み台になっていればいいのに…領地では口を開けばマリー、マリーって!マリーが病気で死んだ後も、亡骸を抱きしめて女々しい姿を晒した能無しの癖に!」
「マリーが死んだ…何を言っているんだ!」
サングリアは怒りのあまり逆行する前の未来を暴露した。
マリーが死んだ後の未来を声高らかに笑いながら告げたのだった。
「貴方は時を翔けたのですか…そうですか。それで合点が行きました」
「ジョアンナ様、何を!」
セレシアは現実離れした事に頭がついて行けずにいたが、ジョアンナは直ぐに理解した。
「その馬鹿女は砂時計の力を借りて時を翔けたのです。恐らくマリー様も」
「え?砂時計?」
「我が国でも禁じられた魔法です。生贄を差し出し、時を戻す魔法…ただし、極めて危険な行為で何らかの問題が生じますわ」
ジョアンナは最大の禁術とされる魔法と魔道具の事を話した。
「マリー!やっぱりアンタもそうだったのね!この悪女が!」
「違いますお姉様…私は!」
確かに前世の記憶を持っていたが、マリーは望んで時を戻ったわけではない。
「止めろ!マリーが何故咎めらるんだ!」
「だってその女は!」
「マリーは何も知らなかったし、常に私に思う相手ができれば身を引くと言っていた…望んで王太子妃になったわけじゃない!責められるのはお前だろう!」
責められるマリーを庇う様にアレクシスが前に出た。
その態度はあの時とすべてが重なるようだった。
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