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第二章聖女と勇者と巫女
25身勝手な思い
しおりを挟む薄暗い塔。
ここは貴族が罪を犯した際に入れられる北の塔と呼ばれている。
罪を犯した後に騎士団や調査隊が加害者の取り調べを行っ後に裁判が行われる。
重罪人の場合は裁判が終わるまではこの塔から出る事は難しく、外部からの接触もガラスを隔てて面会が行われる。
家族との面会は常に監視の目がつくのだ。
「面会人だ」
「誰だ」
「立て!」
「貴様!誰に向かって!」
北の塔に入れられても態度は大きく横暴だった。
他の者は既に憔悴してるのだがキャルティはまだまだ元気だった。
「キャルティ様」
「リリー!」
「暴れるな!」
硝子の壁を隔てて、リリーの元に駆け寄ろうとするも、抑え込まれる。
「早くここから出すように言ってくれ。俺は君を守る為に…」
「私は貴方に罪を認めていただきたいのです」
「は?」
キャルティは訳が分からなかった。
「既に貴方の父君にその側近の方々が自白いたしました。オンディーヌ様を吊るし上げるのに協力したと。そして貴方は以前に海豹に魔道具をつけたと」
「ああ、それがなんだ?結局使い物にならなかった…オンディーヌに関しては俺は悪くない君の為にしたんだ。愛しい君の為を思って」
「私がそんなことを何時頼みましたか?あんな事を…」
「何を言っているんだ?」
少しは反省しているかと思ったリリーはここに来たことを後悔した。
「オンディーヌ様は平民である私に優しくしてくださいました。時には厳しい事を言われましたが」
「君は平民だから解らないんだ。あれに洗脳されたんだな」
「貴方は王宮でも学園でもそうでしたね…私の言葉に何ひとつとして耳を傾けなかった。私の言葉を聞こうともしなかった…愛しているなんてそんな嘘が良く吐けますね」
「何を言っているんだ」
「貴方は私を愛しているんじゃない。私も貴方にとっては都合のいい道具だわ。私を人形としてしか見ていない…馬鹿にしないでください。私は人形じゃない」
リリーはキャルティに会ってオンディーヌに対して少しでも罪悪感を感じて欲しかった。
真実を聞かされて一時は納得をしたと聞いていたが、納得したのはオンディーヌがリリーを苛めているのではなく社交界で生きて行けるように指導を行った事だった。
しかしその指導も嫉妬が絡んでいたと言い出し、正当化し始めた。
「君は俺に逆らうのか!平民の癖に王家の…公爵子息の俺に逆らうのか。聖女である以外生きる価値もない癖に!」
「キャルティ様…」
これが本心だと解った。
偽りない心で、キャルティは自分の思い通りに動かないオンディーヌを邪魔で排除したのだと理解した。
そして今はリリーも同じだった。
キャルティの意のままに従う女性以外は排除されることを知ったのだった。
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