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第二章聖女と勇者と巫女
26罠
しおりを挟む何を言っても無駄だった。
キャルティは自分の罪を認める事はない。
それどころかオンディーヌを侮辱して、リリーの存在すらも否定した。
「お前なんて聖女でなければ誰か相手にするんだ。聖女でしか価値がない!」
「それが貴方の本心ですか…解りました」
「何?」
リリーの視線をドアの方に向けた。
「証言はしっかりと録音しました」
「お前は!」
「弁護士です。貴方を裁判にかけるまでもないですね」
「何だと!」
リリーの目はとても冷たい視線だった。
「俺を謀ったのか!」
「随分と酷い言い方だな。彼女は協力してくれただけだ」
「ジルフォード!」
「呼び捨てにするな罪人が」
弁護士に続いて現れたのはジルフォードだった。
「既に爵位を奪われた罪人の息子、貴様も罪人だ」
「ふざけるな!」
「本当に気品の欠片もないな。オンディーヌに対しても劣等感だろう?」
「何故俺が、あんな女に!」
「オンディーヌはローレライの末裔だ。国一番の歌姫で王女殿下からの信頼も厚く優秀だった。対するお前は愛人の子供で、身分は低くい…何をしてもオンディーヌには敵わなかった」
「何故それを」
「公には極秘にされているが、少し調べればわかる。お前と公爵夫人はあまりにも似ていない。父親もそっくりだったがな…あの男は気に入れば既婚者だろうと聖職者だろうとお構いなしだ」
「裏で人身売買もしていたそうだ。無理矢理自分の愛人にした者の中には子供がいた女性を権力で縛り付け子供を人質に取っていた証拠も出ている」
「そんな…」
「本当に親子そろって腐っているな。だからオンディーヌは心を許さなかった」
婚約者であっても愛情を抱くことなく従うまでだった。
内心では気づいていたのかもしれない。
「お前の性悪に気づいていたのかもしれない。学園を追放になっても冷静だったのはお前との婚約を破棄できるからだろう…死んでもお前に屈するものかという意地だ」
「おのれ…この俺を!」
「身から出た錆だろう?先ほどの証言を提出すればどうなるか…解るな?」
「待って!」
もし先ほどの証言を裁判に提出されたらどうなるかなんて明白だった。
「罪を重くしてやる。絶対に逃がさない」
「待ってくれ!」
「お前達親子を地獄に送ってやる。これまで苦しめられた人の分もな」
最後に冷たい視線を残しジルフォードはリリーの手を引き去って行った。
残されらキャルティを待っていたのは、罪人として公にされる地獄のみだった。
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