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第二章聖女と勇者と巫女
28巫女の行方
しおりを挟む王宮に戻ると。
「王女殿下」
「待っていましたわ」
「ジルフォード様、どういう事でしょうか」
何の意図があるのかと尋ねると。
「君も聖女として力に目覚め、気づいていたんじゃないか」
「えっ…」
「オンディーヌが巫女として選ばれました。そして彼女は今クローバー王国に身をよせていると手紙が極秘で届きましたの」
「オンディーヌ様が!」
巫女の存在は聖女に選ばれてすぐの頃に教えられていた。
聖女と勇者を導く存在であると。
女神から授かった力を正しく導く為にも巫女の存在は必要不可欠だった。
「女神の神殿に行くには巫女の力が必要です。ですが、勇者も巫女も未だに見つからなかった…ですが勇者となる魂は目覚めました。巫女の目覚めと同様に」
「何方なのですか。勇者とは…」
「隣国の第二王子、レグルス殿下です。彼は既に王位継承権を返上しているので殿下と呼ぶのは適切ではありませんが」
「隣国の王子様…」
リリーという前例があるので、選ばれる理由は様々だった。
「クローバー王国が危機的状況に陥っていたそうです。ですがその半分はキャルティがしでかしたのですが」
「キャルティ様が…」
「クローバー王国はキャルティとパークアイ公爵に責任を問うとしても、外交問題にならないように配慮するとおおせですわ」
「本来なら戦争になってもおかしくない。そうなれば国は乱れ民は命を落とす」
「そんな…」
リリーは事の重大に気づく。
キャルティは少しの身勝手な行動がどれだけの人間を苦しめるか理解していないし、理解しようともしなかった。
「あの馬鹿は裏で海の国の女王陛下の大事な使い魔を密漁していたそうよ。それで動物実験まがいな事をしていたそうで」
「なんて事を…」
海に住まう魔獣は迷い込めば保護動物となっている。
虐待や、売りさばくなんて許される行為ではないのだから。
その昔、海を汚し、人魚を密漁した船乗りは海皇により船を沈められた。
荒れ狂う紙と言われているが善人に対しては寛容だとも聞かされ、嵐の日に海皇帝に救われた民もいるのだ。
「此度の一件で女王陛下は相当お怒りなのですが、オンディーヌの願いで怒りを鎮めてくださいました。恨んでも仕方ない事をした私達を彼女は…」
「だからこそ、私達は罪を償いたい。神殿に向かい聖女の力を解放して国を、世界を守らなくては」
「はい」
それがリリーにできる事で、それだけが償いする方法がないと思ったのだった。
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