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番外編
シェパード①
しおりを挟む「シェパード貴方は特別なのよ」
物心つく前から母上にそう言われて来た。
うだつの上がらない父がずっと恥ずかしかった。
元は男爵家の三男で独立もできない無能。
祖父の情けで婿養子になり、子爵家を盛り立てる事も出来ない。
かと言って領民にも舐められている父を見て恥ずかしかった。
「いいから馬車を出せ」
「ですが、この雨の中では危険です。万一の事が」
「それを何とかするのが貴様の仕事だろう。お前がどうなろうと知った事か」
今日も俺は隣の領地に行くために使用人に馬車を出す様に命じるも朝から大雨で、風も酷い事から馬車を出せないと言い始める。
なんという怠慢だ。
どんな事があっても命令に従うのは使用人の役目だろう。
「シェパード、無理を言うんじゃない」
「しかし…」
「お前達、いいから下がってくれ」
「旦那様…」
父は使用人を下がらせた。
「シェパード、この雨で避難勧告まで出ているんだ。馬だけでなく御者も危ない」
「だから何だと言うんですか」
「彼等に万一の事があったらどうするんだ」
「だからどうだというんです」
例えどんな事があろうとも主人の命令に従うのは使用人だ。
第一避難勧告が出ている程度だ。
別に死ぬわけじゃない。
それに御者の一人ぐらいどうなってもいいじゃないか。
平民が貴族の為に命をかけのは当たり前だ。
なのに・・・
「シェパード、使用人は奴隷じゃない!」
「こいつらは奴隷と変わりません」
「なんて事を言うんだ!」
使用人にも威厳を持って接する事が出来ない。
だからこそ、あいつ等は調子に乗っているんだ。
不作が続き、税を納められなくなった領民が助けを求めて来た。
「そんな勝手を許すわけには行かないわ。私達の暮らしはどうなるの」
「そうだ。ちゃんと絞り取ってやるべきだ」
なのにあの男は――!
俺と母上が何を言っても聞かなかった。
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口減らしだってできるはずだ。
にも拘らず。
「貴方!私達の生活を貧しくする気なの!」
「馬鹿げている!慈善事業なんて頭のおかしい貴族が暇つぶしにする事だろう!」
あの男は自分達の生活費を使って領民の税を減らした。
こんな馬鹿な話はあるか!
「私の事業が少し潤った。後は生活を少し質素にするだけだ…ダニアは最近ドレスを新調しているだろう?」
「冗談じゃないわ」
「シェパードも最近は遊び歩いているだろう。無駄を減らすだけだ」
理解できなかった。
自分の生活を苦しくしてまでなんであんな奴等を助けないといけないのか。
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