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第一章
21許せない相手
しおりを挟む婚約破棄の手続きがすべて終わった。
新居に関しては権利を手放す事にしたが代わりに土地の権利を売る事になった。
土地代とは別に家はローンを組んでいたが、名義を変更した後にオイシス家が支払う事になっている。
家具などはウルリーケが用意したのだが一度他の女が使った物を使わせたくないのでオイシス家に買い取ってもらう事にした。
「慰謝料の請求に関しては支払うとは思えないわね」
「ああ。ああ見えてライアン夫人は打算的だ」
商人の妻という事もあるが、エミリーとの婚約を許したのは伯爵令嬢である理由が大きかった。
伯爵以上の貴族と繋がりができるのは社交界でも有利であるし高位貴族と付き合うことができると打算的な物が多かった。
「謝罪の手紙すらなく、社交界でも何食わぬ顔で姿を見せるあたり図々し過ぎるわ」
「お母様…」
以前からライアンとアリエルは気が合わず、特にライアンは含みある言い方をしたり。
自覚なく嫌味を言っていた。
ただし本人からすれば親切心だった。
「前オイシス男爵の願いでなかったら聞く事はなかったわ」
「そうだな…」
アンデスもライアンに少しばかり見下されているのは否めなかった。
何故ならウィスター家は途中で貴族の仲間入りを果たした家柄で、貴族の妻ならば邸で家を守るのが当然とされた時代に、王宮でバリバリ仕事をするアリエルをはしたないと思う夫人は多かった。
その内の一人がライアンだった。
妻としての役目は立派な跡継ぎを産む事でありながらも仕事ばかりしていると嫌味を言っていたが、後にアリエルの優秀さに目を付けたのがウルリーケだった。
宰相の妻としてより優秀な文官秘書を欲していた事もありウルリーケは口添えをした後に、王妃の耳にも入り立場は一変したのだ。
資産家で夫婦そろって王家から信頼され。
娘は優秀で最年少で女官になった事で周りからも評価されていた。
ウィスター家は子爵家でありながらも高位貴族からも一目置かれ、将来の約束をされる中、オイシス家は一時事業が傾き、ウィスター家が援助する形になった。
援助の話もライアンが持ちかけたのだが、援助するのがさも当然な言い回しにアリエルは不快感を感じていたのだ。
「結局、彼女にとってカナリアはその程度だったのよ」
「アリエル…」
「良識考えも持っていれば謝罪をするのが当然なのに」
息子の過ちも止めず、詫びの事事もないまま堂々と社交界に出る神経が信じがたかったのだ。
例えすべてがい解決したとしてもアリエルは二度とライアンを許さないと決めていた。
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