婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

文字の大きさ
53 / 115
第二章

22悪化する噂

しおりを挟む






アイーリャに言い負かされ売り言葉を買ってしまったランドルフは当然の如く慰謝料を請求したが逆に慰謝料を請求される側になったが、支払う余裕はなく。


裁判沙汰にしようとしたが。


「残念ですが裁判をしれば確実に負けるでしょう」

「何だと!」

「相手が悪いです。相手は一流の弁護士を雇っております。対するこちらでは…」

「依頼料なら!」


金銭的にも厳しい状態であるが、何とかして裁判に勝ちたいと訴えるも。


「お金の問題ではありません。相手は既に弁護士を立てて、あらゆる法的手段に出て来るでしょう。しかも相手は王都内でも指折りの新聞記者です」

「だが!」

「正義の記者としても有名な彼女と世間的にも信頼の無い人間では周りはどう見るでしょう」

「だが私は…」

「裁判長は公平な判断をします。どこに同情もありません」


雇われた弁護士は三流であるが、事実をありのままに告げる。

「裁判をせずに謝罪と慰謝料の減額の交渉を試みる方がよろしいかと」

「もういい!役立たずだな」

「…申し訳ありません。ではこちらはお支払いいただきます」


使えないと遠回しに言われた気がした弁護士は感情を表に出すことなく今回の相談料をつきつけた。

「は?」

「これは正当な報酬額です。踏み倒されるならば相応の手段に出させていただきます」

「待て!」

「それでは失礼します」



例え一流ではなくとも弁護士としての最低限の役目は果たしていた。
だが、ランドルフは満足しなかったのか、罵倒を浴びせ裁判に勝てない事を責め続け事で味方になってくれた弁護士を敵に回す事になった。


その結果――。



「聞きまして」

「何ですの?」


「ランドルフ様がまた問題を起こしたそうですわ」

「まぁ…またですの」


新聞記者にいちゃもんをつけて訴えると脅しをかけようとした事は既に噂になるが。


「ミイラ取りがミイラになるなんて、なんて無様な」

「アイーリャ嬢は良識のある記者ですわ。先日の新聞でも事前に打ち合わせをしたのでしょう?なのに…ねぇ?」

「聞けば新人記者の方も落ち度はなかったらしいのですが、後から記事が気に入らないとクレームをつけてその記者は退職されたそうですわ」

「まぁ!なんて酷い事を…カナリア様の事も事実でしたのね」


ある噂ではカナリアと婚約が花段となった後にランドルフが裏で汚い真似をして女官を辞めざる得ないように仕組んだ噂が流れている。


ただの噂に過ぎないが、噂好きの夫人からすれば面白おかしく噂を飛躍されても仕方がない。


その噂は社交界に留まらなかったのだった。


しおりを挟む
感想 136

あなたにおすすめの小説

あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です。

秋月一花
恋愛
「すまないね、レディ。僕には愛しい婚約者がいるんだ。そんなに見つめられても、君とデートすることすら出来ないんだ」 「え? 私、あなたのことを見つめていませんけれど……?」 「なにを言っているんだい、さっきから熱い視線をむけていたじゃないかっ」 「あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です」  あなたの護衛を見つめていました。だって好きなのだもの。見つめるくらいは許して欲しい。恋人になりたいなんて身分違いのことを考えないから、それだけはどうか。 「……やっぱり今日も格好いいわ、ライナルト様」  うっとりと呟く私に、ライナルト様はぎょっとしたような表情を浮かべて――それから、 「――俺のことが怖くないのか?」  と話し掛けられちゃった! これはライナルト様とお話しするチャンスなのでは?  よーし、せめてお友達になれるようにがんばろう!

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

あなたが見放されたのは私のせいではありませんよ?

しゃーりん
恋愛
アヴリルは2年前、王太子殿下から婚約破棄を命じられた。 そして今日、第一王子殿下から離婚を命じられた。 第一王子殿下は、2年前に婚約破棄を命じた男でもある。そしてアヴリルの夫ではない。 周りは呆れて失笑。理由を聞いて爆笑。巻き込まれたアヴリルはため息といったお話です。

〖完結〗残念ですが、お義姉様はこの侯爵家を継ぐことは出来ません。

藍川みいな
恋愛
五年間婚約していたジョゼフ様に、学園の中庭に呼び出され婚約破棄を告げられた。その隣でなぜか私に怯える義姉のバーバラの姿があった。 バーバラは私にいじめられたと嘘をつき、婚約者を奪った。 五年も婚約していたのに、私ではなく、バーバラの嘘を信じた婚約者。学園の生徒達も彼女の嘘を信じ、親友だと思っていた人にまで裏切られた。 バーバラの目的は、ワイヤット侯爵家を継ぐことのようだ。 だが、彼女には絶対に継ぐことは出来ない。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 感想の返信が出来ず、申し訳ありません。

二人の妻に愛されていたはずだった

ぽんちゃん
恋愛
 傾いていた伯爵家を復興すべく尽力するジェフリーには、第一夫人のアナスタシアと第二夫人のクララ。そして、クララとの愛の結晶であるジェイクと共に幸せな日々を過ごしていた。  二人の妻に愛され、クララに似た可愛い跡継ぎに囲まれて、幸せの絶頂にいたジェフリー。  アナスタシアとの結婚記念日に会いにいくのだが、離縁が成立した書類が残されていた。    アナスタシアのことは愛しているし、もちろん彼女も自分を愛していたはずだ。  何かの間違いだと調べるうちに、真実に辿り着く。  全二十八話。  十六話あたりまで苦しい内容ですが、堪えて頂けたら幸いです(><)

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...