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第三章
15不遇
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狭い領地で農家の嫁とは肩身が狭い。
しかも高圧的な性格のキュロスは最初こそは珍しさと裕福な家の娘と言う事もありセリアに興味を持っていたが、忙しない日々と慣れない育児により自分を着飾る事がなくなり浮気をし始めた。
それでもセリアは責めなかった。
耐え続けたのだが、懸命に尽くす姿を見て隣近所の同業者はセリアを良い嫁と持ち上げるのだが、それが返ってキュロスの神経を逆撫でした。
「息子の不貞行為は許されませんでしたが、不作が続き仕事をしなくなった頃です」
「果物園を始めて、農地が潤ったのですが…」
「どうせ女の癖にでしゃばっているとでも言ったのではありませんか?」
何処までも屑だと思ったカナリアはキュロスを軽蔑していた。
「はぁー…同じ男としてなんというか」
「エンディミオン様、極端な例です」
「解っているが」
浮気は男の甲斐性と思い込んでいる世間の男に言ってやりたい気分だった。
「私も夫にほとほと愛想が尽きました。浮気するのは妻に色気がないと言う始末です」
「お義母様は十分魅力的です。それを言うなら甲斐性無しの舅にも問題があるのでは?」
「そうね」
悪びれることなく元舅を馬鹿にするセリアにリタも笑った。
「まぁ、何にしてもこれでミリアの不安要素はないわけですね」
「そんなシンプルな問題か?」
「下手に他国いるよりも安心ではありませんか」
またライアンが良からぬ事を考えるかもしれない。
「何よりこれで思う存分あの馬鹿夫人を潰せます」
「かっ…カナリア」
「何ですか?エディミオン様」
「何でもない」
深く追求するのは危険と判断したエンディミオンは何も聞かなかった。
「それよりもセリア様」
「はい」
「セリア様は果物園を営んでいらしたと聞きます」
カナリアの脳内にはある野望が浮かんでいた。
「ああ、君が黒い笑顔を浮かべている時は決まって仕事のことだな」
「ありがとうございます」
「褒めてないからな」
あえて意地の悪い事を言うエンディミオンに対して意地の悪い答え方をするのだった。
「さぁて、どうして差し上げようかしら?どのフルコースが御望みかしら」
カナリアはここまでコケにされたのだから地獄のフルコースを用意する気だった。
関節を鳴らしながら腹黒い笑みを浮かべるのを見てエンディミオンは怯えた。
「おい、ボキボキって言っているぞ」
「フフッ、死んだ方が幸せだと思えるほどの地獄をご用意して差し上げますわ」
何をしようとしているのかは解らない。
ただ解るのはライアンに明日は存在しないという事だけだった。
しかも高圧的な性格のキュロスは最初こそは珍しさと裕福な家の娘と言う事もありセリアに興味を持っていたが、忙しない日々と慣れない育児により自分を着飾る事がなくなり浮気をし始めた。
それでもセリアは責めなかった。
耐え続けたのだが、懸命に尽くす姿を見て隣近所の同業者はセリアを良い嫁と持ち上げるのだが、それが返ってキュロスの神経を逆撫でした。
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「おい、ボキボキって言っているぞ」
「フフッ、死んだ方が幸せだと思えるほどの地獄をご用意して差し上げますわ」
何をしようとしているのかは解らない。
ただ解るのはライアンに明日は存在しないという事だけだった。
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