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第三章
39妻に怯える夫達
しおりを挟む底冷えするようなオーラ―を感じながら三人の中年男性は寒いのかガタガタと震えていた。
「寒いな」
「寒いですね」
「もっと温かい茶を」
三人の夫は真っ青な表情をしながらお茶を飲むが味が良く解らなかった。
「陛下、大丈夫ですか」
「大丈夫のように見えるか?」
「「失礼しました」」
エステリア王国の国王は決して無能な国王ではない。
改革を行い他国と渡り合えるように柔軟な考えを持っていたのだが、悩みは妻である王妃だった。
気が強く表向きは理性的な王妃であるが、中身はかなりの暴れ馬だった。
「王妃陛下は完全な形であれを排除したいようですからね」
エクセルはある意味では王妃との付き合いは長いのでどういう性格か嫌と言う程理解していた。
「ああ…既に没落して平民となったライアン夫人が村からも追い出されただけではまだ足りないそうだ」
「自ら破滅したと言えばこれまでだが…」
「没落まで追い込んだようなものだからな」
商会と手を組んでオイシス家を追い込み、オイシス家の事業を失敗させ王都から追放した後に田舎に追いやったのは故意的だった。
その後もライアンならば反省しないと判断したのだが。
「あの娘も中々の図太さだな」
「もう何も言いたくありませんな」
エミリーという少女はただのか弱いだけの少女でなくズル賢さを身に着け、自分の幸福の為に他人を平気で踏みつけるようになった。
「環境があの娘をここまで変えたか」
「その原因はライアンか…」
当初は恋に恋する少女で、幸せになりたい為に他人の幸せを踏みつける程度だったかもしれないが。人は状況と環境によって変わる。
何時しかエミリーも自分の幸福の為ならどんなことをする女になってしまった。
「ライアンがここまでカナリアを憎むようになったのは…」
「言うでない。そなたの妻も娘もまっすぐに生きて来た。周りに何と言われようとも」
ライアンはアリエルを敵視していた。
しかし自分で何一つとして努力して何か得なかった。
なのに羨むのは間違いだった。
何時までも未練がましく貴族の生活にしがみ付き誰かを責めなければ己を保てなかったのだ。
「少しでも反省の色を見せればもう少しマシだったもの」
「これで最悪なシナリオになりましたな…来週には娘が里帰りします」
本当の意味で最悪のシナリオが進められるのを彼等は諦めモードに入っていた。
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