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序章

3女王

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周りに流されたわけじゃない。
私は自分の意志で敵国に行くのだから。


「イリス!貴女は本当に良いのですか」

あの後、騒ぎを聞きつけた宰相閣下が騒動を沈めた後に事実確認を行った後に私は呼び出された。

タンタニア王国の王妃陛下であり、現国王陛下。
国王陛下が病で倒れ、その後王の代理を行っているのがジュノアール王妃陛下だった。


他国では女王陛下とも呼ばれている。

「国の為に…」

「広間で馬鹿者が騒いでいると聞きました。これでは吊し上げに魔女裁判と同じです」


通常魔女裁判。
かつて東の国で行われた、善良なる聖女が無残な死を迎えた事件。

罪もないのに魔女に仕立て上げて大義名分の元排除したのだ。
後に真実が明るみになったが、社会問題になった。


「さも当然のように聖女の代わりに貴女をさす出すことに疑念を抱かない。愚かな事です」

「ですが理にかなっていると」

「許されることではありません」


我が国の女王陛下は厳しい方だった。
だけど誰よりも不正を嫌う方だった。

綺麗ごとでは政治はできない。
それでも非道な真似は許さない方で私はこの方を慕っていた。

下々にも目をかけてくださる優しい方だった。
国王が浮気性で苦労が多くも、国母として役目を果たそうとされていた。


「周りがなんと言おうと、貴女は立派な魔導士です。軽んじられるなど」

「ありがとうございます」

祖母亡きあとに私を守ってくださった唯一の方。
婚約者の彼ですら私を守ってはくれなかったけど、女王陛下だけは。


私に惜しみない愛情を注いでくださった。


「娘も貴女のおかげで元気になりました」

「いいえ、王女殿下がお強いからです」

第一王女でルナマリア殿下。
まだ幼いが聡明でお優しい王女様だった。

幼いころから体が弱くも優秀で将来を期待されている。
私は傍仕えとしてお世話をしていた。

私がっできたのは病気の王女殿下を勇気づけること。
戦闘には使えないこの力で喜んでいただく事ぐらいだった。


「陛下、これまで本当に…」

「解っているのですか。敵国に行くことは」

「同盟を結ばれた国です」

元は敵国でもあちらは大国。
それに献上されると言っても名目上だし、あちらに利益はあまりない。

「ただ聖女を所望されているので…」

「それに関しては問題ありません。聖女とは言っていません」

「え?」


私が聞いた話すとはずいぶん違うな。
確か聖女を所望だと聞いていたんだけど。


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