悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します！どうか末永くお幸せに！

第四章若き王と明日への架け橋

18女の闘い

「そこまでよ！」



扉が乱暴に開き現れたのはリーシェだった。


「私が留守の間に何しているの」


「あら？早かったわね。ごきげんよう」


「ついでに言わないでくれる？」


リーシェ、久しぶりの親友との再会に随分とツンツンしているな。


「フィルベルトは私の婚約者よ」

「ええ、知ってますわ。だから私立候補しようと思いまして」


「「は？」」


立候補って何だよ！


「ですから私もフィルベルト様の妃に立候補しようと思いまして」


「「はぁぁぁあ！」」

「二人共煩いですよ」

こんな時もすました顔をするな！
普通に驚くだろうが、24時間表情の変わらないお前と一緒にするんじゃない！


いや、待てよ。


「ナツメ…お前」

「宰相の嗜みです」


最初から知っていたのか。
それともそんな打診があったのか！


「そもそもこの婚約はエリンデール王国を他国に乗っ取られない為なのは、少し考えれば解りますし…後は幼少期から妹同然のように接していらしたリーシェ姫を守る為」


「うっ…」

「リーシェ姫も国を守る為でしょう？」


「そっ…そうだけど！でも私は…」

「本当に酷いですわ。抜け駆けだなんて…私も余命僅かだったので忍ぶ恋に苦しみましたのよ」


ちょっと待ってくれ。
何だか妙な方向に進んでいないか。


「私は幼少の頃からフィルベルト様をお慕いしておりました。ですか私は帝国の第一皇女で体も弱く世継ぎを産むのは難しいですし…障害が多かったのですから」


「ちょっと！」

「ですが、今は障害が少ないですわ。フィルベルト様私は五年でも十年でもお待ちしていますわ」

「いや…何を」


「嫌ですわ。言わせないでくださいませ」


ポッと頬を染めるエセリラ皇女だったが正直ときめく余裕はない。


「私を妃にしてくださる日に決まっているではありませんか」


「エセリラ！」

「我が帝国は自由恋愛が許されてますの。母上もまだまだ健在ですし…私が妃になっても問題ありませんわ。勿論、帝国に来てくださるなら歓迎したしますわ」


「無茶を言うんじゃない！」

「手段を選ばなければ可能ですわ」


「許すわけないでしょ！」


勘弁してくれ。
エセリラの言葉に眩暈がする。


さっきから生還するカーマイエル公爵に助けを求めるも。


「エリンデール王国と条約を結べば問題ありませんな」


「お前もか！」


俺を助ける気はないのか。
何より大帝国がエリンデール王国の従国にしてみろ、どうなるか。


「あら、我が帝国は軍人国家ですから、エリンデール王国が兵力が足りませんから補えますわ」


「だから無理だって言っているでしょ！」

「私も譲りませんわ」


何でこうなるんだ。
俺達はランタニア王国のスパイについて話していたのに！