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第一章

12.異文化故の勘違い

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初日からごちそうを食べさせてもらい。朝も色んな種類のパンにフレッシュなサラダとトロトロのオムレツとこれ以上無い程美しい笑顔を浮かべる竜帝陛下事イサラ。


「僕の可愛いお嫁さん。今日は竜騎団長にお願いして新鮮な赤卵を取って来てもらったんだ」

「ほわぁー…なん手素晴らしい香り」

「一日の活力は朝食だよ。さぁたくさん食べて」


いくら何でも朝から食べ過ぎでは?という考えは二人にない。
なんせ辺境地にいた頃は沢山食べて動いてカロリーを消費していたのだから。


しかし食事の量よりも問題なのは。


「陛下、廊下に竜騎士が廃人のようになって倒れてましたが」

「うん」


「いえ、うんではなく。何故?」

「雌の竜鶏は朝から活発だからね?しかも卵を産んですぐだと暴れるんだよ」


「お待ちください!鶏ではなく竜の卵を?」

「うん」


緩すぎる返答に女官は更に悲鳴を上げた。

「いくら何でも人間の姫様に…その卵は精力剤にも使われております。人間が口にすると消化不良を起こし、下痢になったりしますわ」

「そうですわ。竜族でも竜騎士が戦闘前に食べるような食材を」

「でも…」

「何です?」


イサラが指をさす。


「お代わりください!」

「姫様ぁぁぁ!」


既に大皿に盛りつけてあるオムレツは完食されて、パンもなかった。

「姫様の胃袋は無限収納エタニティ―イベントリですか!」


どんだけ朝から食べればいいのだ。
幸いにも竜鶏は一日に何回も産む事から消費が追い付かなくて困っている農家が多いそうだ。

通常の卵の方が単価も高いと聞くので問題ない。


「こんな美味しい卵初めてです。でもこの卵ってスケスケエッグの卵と似てます」

「スコッチエッグです姫様。外ではそのようなことをおっしゃらないでください」


かなり言いにくかったのかとんでもない言い回しをするリリアーナに女官は泣きそうになる。


そんな中、お代わりを嬉しそうに用意するイサラを見て、思ったのは。


(どうして私が食べると嬉しそうに…ハッ!)

リリアーナはまたしても察してしまった。


通常ならばこんなにも豪勢な料理を用意すること自体おかしいのだ。
聖女の代理過ぎず、現在は生贄に過ぎない自分に豪華な食事を食べさせている。

ある程度食事はとらせる必要はあるが、ここまで食事を取らせる必要はない。
食費だって馬鹿にならないのだから。


「なるほどコロコロ太らせて食べるのか」


肉ばかりでなく野菜も食べて最後はよりおいしく頂かれる運命にあるならば、しっかり食べようと思った。


「陛下、私はいっぱい食べます」

「そうか…嬉しいよ」

「陛下に最後は美味しく頂かれるんですね」


食事をしながらもまたもや爆弾発言をするリリアーナに女官はぎょっとなる。

「朝からなんて破廉恥な!」

「そっ…そうですわ姫様。確かに…ある意味食べられますが」

「そうですわね」


オロオロする女官は直ぐに注意をするが、イサラはというと。


「白百合、気持ちは嬉しいけど。そんな急ぐ必要はないよ…もう少しお互いを知ってからでいいんじゃないかな?」

「そうですね」


真っ赤になってオロオロするイサラを見て更に誤解をする。

(なるほど、ゆっくり太らせ熟成させるのね!私をより美味しく食べる為に)

(確かに彼女と夫婦の契りする以上は食べる事になるけど…直球だな)


勘違いが重なり更にとんでもない事態になってしまっていた。


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