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第一章
19.侵入者はアシカ
しおりを挟む体が重く生臭さを感じる。
(うーん…何?)
寝苦しさと体に何かが伸し掛かるような感覚だった。
「おっ…思い」
「キュ?」
「へ?」
早朝に目を覚ますと目の前にはかなり体格の良い海驢がいた。
「どちら様でしょうか?」
とりあえず寝よう。
こんな所に巨大アシカがいるはずがない。
既にトドのように太いと思いながらも枕を抱きしめ眠りに就こうとした瞬間。
「シャー!」
「えっ?」
シーツを引っ張りベッドから落とされる。
「何?ぶっふ!」
アシカははいきなりリリアーナの胸倉を掴み往復ビンタを食らわせる。
スパパパパン!!
眼にも止まらない速さで叩かれ、そのまま投げ飛ばされる。
「失礼いたしま…ぶっ!」
朝一番にリリアーナを起こしに来たメイリンは巻き沿いを受ける。
「何です…姫様ぁぁぁぁ!」
気絶しているリリアーナは顔が膨れ上がっていた。
「どうされました!頬をこんなにぷっくりさせてご病気ですか!」
「何事ですのメイリン!」
「何です先ほどの音は…きゃああ!姫様!」
他の女官二人も急いで駈け込んで来た。
「フリーダ!ウェンディ―、すぐに冷やす氷を!」
メイリンは何かの病気かと思った時だ。
ドスン!
地震かと思うような揺れを感じるも外は揺れていない。
「何です…ハッ!」
「なっ…どうしてあの方が」
「まさか…」
三人の女官はベッドで横になるアシカを見て真っ青になる。
「何の騒ぎだ!」
そこに騒ぎを聞きつけ現れたのは作業服を来て、背中に籠を背負うイサラだった。
籠の中には大量の魚と瑞々しい野菜が入っていた。
「ん?白百合!」
メイリンの膝で気絶しているリリアーナを見て絶句した。
「どうしたんだ!奇襲か!」
「陛下、どうか落ち着いてください」
「すぐに竜騎士達に宮殿の強化と侍医を呼べ!」
リリアーナを抱き上げ、晴れ上がった頬に手作りの刺繍入りハンカチで濡らす。
「なんて事だ僕の可愛いお嫁さんが・白百合のように可憐なお嫁さんが…誰だ!こんな酷いことをしたのは」
イサラは気づいていなかった。
既に自分にも危険が迫っている事を。
「陛下、侵入者ではございません。いえ、不法侵入はされましたが」
「はっきりしろ。敵か?」
「いいえ、敵というか」
メイリンははっきりしない言い方をするが、背後で怯えているフリーダとウェンディ―も口をつぐんでいた。
「ん?床に水たまり?」
微かに生臭さを感じながら前を見ると。
「キュー」
「え…」
「シャー!」
「わぁぁぁ!」
リリアーナを抱き上げたまま壁に叩きつけられる、頭が壁にめり込んでしまった。
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