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間章
4.暴挙
しおりを挟むこれまで誰からも美しいと言われて来たマリアンヌからすればありえない事だったが、彼等は高位貴族でもあるので媚びを売る事はない。
でも、悪戯に相手を傷つける事はないのだ。
なのに、何故?
「それから誤解がないように言っておく。彼女は学園を追い出されたのではない。成績も悪くないぞ…生徒会のメンバーこそ選ばれなかったがクラス代表だ。人望もあり、同級生からも慕われ寮長にまで抜擢されている」
「教師からの信頼も厚く、慕われている。流石俺の友人だな!」
あまり持ち上げないでくださいスザンヌ様。
そしてロベルト様、そんなに威張って言わないで欲しいのですが。
「そうだぞ!俺なんて一年ダブっているからな…!エリーゼの方がずっと優秀だ」
「笑う所ではありませんわリオネル様…」
リオネル様に頭を抱えるジュリアン様の苦労が見えるわ。
「お義姉様は学園でもちゃんと功績を残しておられます。知りもしないで勝手な事を言わないでください」
「シルビア…」
「第一、修道院から追い出されたのは貴女ではありませんか。噂は聞いてますわ…他の令嬢に無礼をして問題騒ぎになったとか…恥知らずなのはどっちなのかしら」
私の腕にしがみ付きながらキッと睨みつけるシルビア。
ああ、泣いてばかりで内気なシルビアに私は涙する。
成長したのね。
心の中で涙を流す。
「典型的な貴族ですね。しかも前時代的考えで最低ですね?失礼ですが、貴女はエリーゼさんやハイネさんと血が繋がっているのでしょうか?もしや隠し子や愛人では」
「スコットさん…失礼ですよ」
「ですが、あまりにも教養が無さ過ぎますよ。淑女として気品が一切感じません。平民の10歳児でもここまで礼儀知らずではありませんね」
「きっと、エリーゼ様に気後れしているのですわ。だってエリーゼ様はこんなに素敵な方ですもの!」
サーシャよ。
そんな真っすぐな瞳で言わないでおくれ。
マリアンヌは私を見下しこそしても劣等感を抱く事はないのに。
「この私が…ありえない」
「マリアンヌ?」
顔を俯かせ震えるマリアンヌに近づこうとするが――。
「ふざけないで!」
手を差し伸べようとした私にマリアンヌは傍にカップを投げ、私はお茶を被ってしまった。
「あっ…」
「エリーゼ!」
破片が飛び散り私の手から血が流れた。
「お嬢様!」
ランが急いで駆け寄り、ハンカチで止血をしてくれる。
「大丈夫ですか!」
「あんまり熱くないから大丈夫よ」
お茶が冷めていたので火傷はしなかったが手が赤くなってしまった。
「エリーゼ様、手を…」
「サーシャ、大丈夫よ」
「すぐに治します」
涙目になって私に駆け寄るサーシャに他の皆はマリアンヌを睨みつけた。
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