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第一章婚約破棄事件
28.第三者視点~セレニティーside②
しおりを挟むいきなり声をかけられて誰?と思ったのは私だけではないはずだ。
それだけ印象が薄かった。
「あー、思い出した。ダブった男」
「ダブラスだ!リューン・ダブラスだ」
「留年してダブった…」
「貴様ぁぁぁぁ!」
何て悲惨な名前だ。
しかもリューンって聖書の神話で出て来る毛虫じゃないか。
毛虫の癖に高望みをして、最後は人間に踏まれて哀れな死を迎えると言う。
「その留年が何か?」
「貴様!いい加減にその呼び方はするな」
「貴様?一般生徒で成績はビリで、次の試験に落ちたらまた留年決定のアホに命令されるいわれはないわ。それから大きな声を出さないでくれる?鼓膜が破れるわ…馬鹿は大きな声で叫ぶのが好きみたいね」
私は基本、人を好き嫌いしないタイプだけど。
馬鹿は嫌いなのよね。
しかも学習しない馬鹿は大嫌い。
話していてしんどくなるもの。
「それで馬鹿一行の下っ端が何か用?」
「ええい、俺は貴様の婚約者になったんだ!」
「は?」
この馬鹿は頭のネジがおかしいと思ったけど。
既にイカレていたのか。
「精神科医を紹介してあげる」
「貴様は俺の婚約者となった。よって今後は俺の命令に従え…ブリリアント商会は後に俺の物となり伯爵家の跡継ぎとなるのだからな!」
「世界の終わりが来てもないわ…という貴方と結婚するならギロチンで打ち首になるか火炙りの刑…もしくは中年おじさんの夜の相手をしている方が有意義だわ」
そもそも、貧乏男爵貴族でしかない。
何の功績も残さず学園で落ちこぼれているこの男が私の婚約者とかないわ。
そしてお兄様がいるのに何でそんな考えにいたるのか。
「無礼ですわよ」
「そうですわ。アスガルト伯爵家にはレオナルド様がいらっしゃるのよ!」
あまりにも無礼な発言に頭に来たのか、二人は言い返す。
「ハッ、頭を打って障害持ちになった出来損ないが跡継ぎに慣れるものか?王都から逃げ出して出来損ないが!」
「なんて事!」
「妹君の前でよくも…」
別に汚い事を言われても言い返すなんて真似はしない。
だけど、念のために録音して置こう。
「感謝しろ。貴様の母親は俺の父の愛人になれるのだから…女としてまったくの魅力もなく男に見向きもされない年増女が俺の父の形だけでも愛人にしてやると言うのだ。感謝しろ!」
「伯爵夫人にまで!」
あーあ。
この男、学園の女子全てを敵に回したわ。
お母様は社交界でも女性の憧れなのに。
本当に馬鹿な男。
ついでにポケットに忍ばせているこれをどう使おうかしら?
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