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第一章婚約破棄事件
29.第三者視点~セレニティーside③
しおりを挟むあの後ギャアギャ叫んでいるだけだった馬鹿を放置して邸に帰ることにした。
「おい待て!」
「きゃああ!誰かぁー!」
人通りの多い場所で私は悲鳴を上げる。
「助けてください!」
「なっ!貴様!」
私の腕を掴み乱暴な行動をするのを見せつければ、学園の警備隊が急いでかけつける。
「どうされました!」
「この方が、いきなり私の腕を掴んで…それで」
「また貴方ですか」
「まったく、今度はアスガルト伯爵令嬢に手を出されるなんて」
学園内では馬鹿一行の問題行動は教師からも頭を抱えていたのだ。
皇太子殿下や高位貴族ならまだしも没落寸前の下級貴族で粗鋼も悪く成績が悪い所為で留年している生徒ならある程度乱暴な事をしても問題ない。
「何をする!俺はあの女の婚約者だぞ」
「何を世迷言を。第一婚約者をあの女等と呼ぶなどお育ちを疑いますね」
「無礼にも程がある」
「離せ!貴様達!俺にこんな事をしていいと思っているのか!」
後ろでギャーギャー騒いでいるけど。
私は怯える素振りを見せながら内心では笑ってやったわ。
「セレニティー様!」
「大丈夫ですか!」
騒ぎを聞きつけクラスメイトが来てくれた。
「まったく本当に迷惑な人だわ」
「頭がおかしいのではなくて?」
絶対頭にウジ虫が湧いているわね。
二人は未だに周りを警戒しながらも馬車が来るまでの間、傍いてくれた。
そして私は邸に戻り、今日の事をお父様に報告すると。
「あの親子はそろって頭がおかしいな」
「お父様、あんな頭の悪い連中とお母様は恋人だったの?正直男の趣味を疑うわ」
「断じてない。婚約はしていたが、義理だ。それに他の女に浮気をして、追剥のように何もかも奪い支度金代わりに父君から送られた家も奪って身一つでレティーを追い出したんだ」
「フーン、親子そろって常識がないのね」
「ああ…まぁ、最終的に花嫁道具は取り戻し、慰謝料も最低限であるがもぎ取ったがな」
「流石お母様」
きっと婚約だってお母様の本位じゃなかったのでしょうね。
じゃなきゃありえないわ。
「でも、どうして私とあの男が婚約するなんて話になったのかしら?」
「あー…それはだね」
お兄様が怪我をした事もだけど随分と詳しいわね。
当事者じゃないと知らないことをあそこまで詳しく知っているなんて妙だと思った。
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