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第三章真実の聖女
31罪の重さ
しおりを挟む現実を突きつけられたアークはその場に崩れた。
これまで優れていると思っていたからこそ、現実を知るのは相当なダメージだった。
「そんな…」
「君は選ばれたんじゃない。女神は君を試したのだろうが…結局は君はチャンスも自ら捨てたんだ」
「こんなはずじゃ…こんははずじゃなかった!」
全ては完璧だったのに。
何処からおかしくなったのか?
(俺は優れているんだ!選ばれたはずだ…!)
自分の価値はこんなものではない。
聖騎士の称号を賜ったのも当然の事で、本来ならばもっと貴重な称号を得て当然だとも驕っていたのだが、そこにさらに追い打ちをかけられることになる。
「聖騎士の称号を得ても、女神の加護を得なかったのが証拠だな」
「どういうことだ」
「知らないのか?聖騎士にも優劣がある。お前が賜ったのは聖騎士の中で一番最低ランクだ」
「は?」
前に出て語ったのはユリウスだった。
騎士の称号は全てランク付けされておるように聖騎士も同様だった。
「お前に与えらた石は宝石の原石だ。そこからサファイヤだったりルビーだったりと様々だ。だが、お前は聖騎士の称号を得ても石は変化せず剣も聖剣としての力は発動していない」
「そんなはず…」
「通常ならば聖剣は黄金の輝きを放つ…だがお前の剣はどうだ」
戦闘時にも剣が輝く事はなかった。
そして魔物に襲われそうになった時も聖なる力は発動されなかった。
「聖剣が発動していれば、魔物が襲って来ることはない。既にお前は聖騎士の称号を剥奪されていた事になる。メアリが戦場に出た時期からな」
「そんな…じゃあ」
「お前が自分で招いた事だ。これからお前に多くの不幸、災いが降りかかるだろうな…だが、自業自得だ」
ユリウスはさして興味がなかった。
女に溺れ、長年尽くしてくれたメアリを粗末に扱い最後は殺そうとしたのだ。
死のうが生き地獄を味わおうがどうでも良い。
「ああ、それから国外逃亡は止めた方が良いぜ」
「え?」
「俺の祖国は白の大魔導師の信者が多い。帝国に行こうものなら女騎士にどんな恐ろしい目に合うか解らないだろうし、正教公国も言うまでもない」
「ひっ…」
「この国で惨めに生きた方が長生きできるぜ?まぁお前は正教国、軍人国家である俺の祖国、そしてこの国の教団長の侮辱、暴言、暗殺未遂を行ったんだ…どうなるかな」
「違う!俺は…メアリが教皇だって知っていればあんな真似をしなかった!価値があると知ってれば…」
「価値が無かったら私は殺されていたんですね」
アークの言葉に冷たい視線と言葉を投げかけるメアリは視線を合わせる事もなかった。
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