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47.義叔母様は姫巫女
しおりを挟む教会の問題はとりあえず解決した。
裏で悪事を働いていた聖職者も追放の身となり、王都の土を踏むことはできなくなったが、根本的な解決はできていない。
今後の対策を追々考えるとして。
それはいいんだ。
それは――。
俺は現在とんでもない人と対面していた。
「ご挨拶が遅れてしまい。誠に申し訳ございません。改めてお祝い申し上げさせていただきます。そして此度の不祥事に名誉挽回の機会をお与えくださったことを心より感謝いたします。神殿を束まる巫女としてこの恩は一生かけてお返しする所存でございます」
謁見の間でざわめきが起きる。
それもそうだろう。
この方は神殿の巫女を束ねる長の巫女姫様。
そしてシュバリエ殿下の妹君であり、10歳で巫女となり、姫巫女として神殿から国を見守っていらした方だ。
爵位は王族と同様だ。
名をプルメリア様。
「姫巫女が頭を下げただと!」
「これまでどのような高位貴族にすら頭を下げなかったというのに」
「これは、前代未聞だ!」
大勢の見ている場で頭を下げられ礼を尽くされ、俺は頭が痛い。
俺は裏方でいいんじゃないのか?
内助の功に徹底する気だったのに、何でこうなった。
ふと、オスカーを見ると視線をそらされる。
次に宰相閣下は不敵に微笑み、上王陛下も同様だった。
ママ上に関しては…
何で親指を突き上げてんの!!
確信犯ですか!
ここに俺の味方はいない。
誰一人としていないのだ。
「万国共通している言葉が御座います国の切り札は王の配偶者。今後とも国の発展に対力していただけますよう。改めてお願い申し上げます」
「この身が及ぶ限り」
大きな拍手を送られ、その日から俺の株は更に持ち上がった。
厳格な姫巫女が認めた王配殿下だと持ち上げられ、俺自身は些細な事しかしてないのに新聞で大きく取り上げられ。
そして…
「ねぇ、ナニコレ」
「殿下饅頭だ」
「ねぇおかしくない?何で俺がアイドルのグッズ的な物になってんの!」
執務室にてお茶請けに用意されたのは懐かしの饅頭。
しかも何故か俺の顔の形をしているのだ。
「今王都で流行りだ」
「何で!」
「馬鹿だな?あの性格のキツイ姫巫女様が大人しく頭を下げたんだぞ?」
「キツイの?」
「ああ」
第一印象ではそんな風に見えなかったけど。
「後、もう一つ。あの方は重度の兄大好き姫様だ。シュバリエ殿下を世界一崇拝しているらしい」
「は?」
「兄の菩提を弔いたいが為に出家なさった方だ」
やめてぇぇぇ!
お願いだからイメージを潰さないで!
「補足するとシュバリエ殿下とお前は雰囲気がそっくりで行動が同じらしい。あの方もその昔に神殿に恩を売ったらしい…まぁ見返りを求めなかったらしいが」
「はは…」
俺、選択を間違えたかな?
応援ありがとうございます!
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