幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

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幼なじみと隣の席の女の子

体育会系

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「雪乃……」

「涼……ちゃん」
 うちの制服を来た女子5人組、そのやや後方に雪乃がいた。

「こいつじゃない? 雪乃が言ってた幼なじみの彼氏って」
「ああ、そうそう、確かそう言ってた」
「へーー普通?」

「「きゃははははは」」
 雪乃以外の5人の女子が俺を見て笑う……俺は黙って雪乃だけ見ていた。

「……涼ちゃん、その人は? 確か涼ちゃんの隣にいた……」
 雪乃は俺の後ろを見ながらそう言った。俺の後ろに隠れている綾波を見て……。
 綾波は俺の後ろで俺の制服を掴み、黙って立っていたーる。
 その掴んでいる手から震えが俺の俺の身体に伝わる。

「──何でもない、本屋に付き合って貰っただけだ」
 俺はそう言って雪乃達に背を向け綾波に向かって言った。

「ごめん、送れなくなっちゃった、時間無いんだよね? 一人で帰れる?」

「……うん……日下部君は?」

「俺は、ちょっと雪乃と……」
 
「……うん」
 綾波は顔を伏せたまま頷いた。

「くっら~~」
「陰キャ?」
「雪乃を差し置いてあれと浮気って、まあ、そっちの方が釣り合う?」
 背後からそんな声が聞こえてくる。

「──うるせええ!」
 俺は振り向いてそう叫んだ。恐らく先輩だろうが構わない。綾波の事を言われて何も言い返せないなんて出来ない。

「は? 後輩の癖に何私らに喧嘩売ってんの?」

「うるせええ、お前らが先に!」

「涼ちゃん止めて!」
 雪乃は俺の前に出ると、俺に向かってそう叫んだ。
 そして振り帰り俺に背を向けて頭を下げる。

「失礼しました」

「──な、何でお前が」

「涼ちゃんは黙ってて」
 後ろを向いたまま、頭を下げたまま、雪乃は俺にそう言った。
 その勢いに俺は思わずたじろぐ……。

「あんた彼氏の教育してんの?」
 雪乃よりもさらに髪の短い、大柄の女子は俺をチラチラと見ながら雪乃にそう言う。

「すみません……」
 何を言われても謝るだけの雪乃……これが体育会系って奴なのか?

「──まあ、いいわ、私達も言い過ぎた」
 集団の真ん中を歩いていた、リーダー格と思われる小柄の女子がその大柄の女子を遮りそう言うと、雪乃は更に深々と頭を下げた。

「すみません、私から言っておきます」

「まあ、いいわ、じゃあここでね……あんたも雪乃に迷惑かけるんじゃ無いわよ、浮気男君」
 俺に向かってそう言うと、集団は雪乃を残して去って行く。
 そして雪乃は先輩が見えなくなるまで、そのまま姿勢を崩す事なく、頭を下げ続けていた。

「──雪乃……」

「何も言わないで……」
 雪乃は頭を上げると、気丈に振る舞いながら俺にそう言う……。
 
「……帰ろっか……何か言いたい事があるんでしょ?」

「あ、ああ、ちょっと待って……ごめん綾波」
 俺は震えながらずっとしがみつく様にしていた綾波に向かって再度謝った。

「……ううん……私は……日下部君は……大丈夫?」

「──大丈夫……ごめん……明日また」
 
「うん……わかった」
 そう言って綾波は掴んでいる手を離すとニッコリ笑い、俺に向かって手を振った。
 俺はそのまま綾波が見えなくなるまで見続ける……そして……黙っている雪乃に向かって言った。

「雪乃……聞きたい……事がある」
 俺はもう雪乃の事は、なんとも思っていない。今は綾波だけだ。だから決着を付けよう……雪乃と数年間の決着を……。

 雪乃は黙っていた。俺を真っ直ぐに見たまま、何も言わずにただ黙っていた。
  
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