幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

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綾波明日菜の正体

草刈雪乃の正体

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 暑くて、そして熱い合宿だった。
 でも……この合宿参加者は事実上の補欠扱い。
 コーチも監督も来なく、教えてくれるのは引退した先輩……。
 初めての挫折……いや、挫折は既に経験済みか……。
 
 高校生になって初めての大会で、私は見事に失敗してしまった。
 涼が居なかったから……集中出来なかった。


 涼と初めて会ったのは小学校2年の時、お互い引っ越して来た転校生同士で、最初に友達になった。

 でも……最初は気が付かなかったけど……大きくなるに連れて段々とわかって来た。

 日下部家の天才兄妹……。

 知る人ぞ知る、兄妹……。
 大学教授の父と医者の母の間に生まれた二人。
 特に涼の妹は天才だった。
 涼は常に親や天才の妹を見て育って来たから、自分の才能に気が付いていない……。
 完全放任主義の両親、涼は小学生まで勉強なんてしたことがない、しているのを私は見た事がない。それでも、成績は常に上位……私は必死に勉強してようやく涼よりも少しだけ上に行けた。

 涼に着いていく為に……私はなんでもした。

 私の家は躾が厳しく家の手伝いを沢山させられる。
 ……私はその時間で勉強や運動がしたかった。
 だから子供の頃、涼に家の手伝いを押し付けて、私は勉強と陸上のトレーニングをしていた。
 そうでもしないと、涼に着いていけないから。

 そして……そんな私の言う事をなんでも聞いてくれる涼に、私は少しだけ優越感を感じていた。

 何でも言う事を聞いてくれる優しい涼に私は甘えていた。

 でも、ある時思った。なんでも言う事を聞く涼って、私の事を蔑んでいるから? 幼馴染だから? って……そして涼はいつも私の様子を伺うように見ている。
 ライバル視? 敵? そんな目で私を見ている。

 でもひょっとしたら……涼は私の事を好きなんだろうか? って思った。
 そして……私は涼の事が好きなんだろうか?

 そもそも恋愛感情ってどんな物なのか……私にはわからなかった。

 悩んだ末に私は相談した。 涼の妹、楓ちゃんに……。

◈◈◈

「うーーん、多分お兄ちゃんも雪乃さんの事好きだとおもうんだけどなあ?」

「でも、そんな素振りは全然……」

「雪乃さんはお兄ちゃんが好きなの?」

「……わかんない……でも……いないと困る……」

「うーーん、なんかさあ、私以上に二人って兄妹みたいになってると思うんだよね」

「え?」

「ずっと一緒にいたから、お互い近すぎて、わからなくなってるんだと思うんだ」

「……うん……そうかも」

「だからさ、一回リセットしてみたら?」

「リセット?」

「そう、高校に入る前に一度関係をリセットして、再スタートしてみたら? そうしたらお互い、自分の気持ちがわかるかも」

「……でも、どうやって?」

「……そうだなあ、例えば、一度お兄ちゃんに、嫌われてみるとか?」

「嫌われる?」

「そう、陰口叩かれてたみたいな程度の嫌われ方なら」

「え? でもそれで本当に嫌われたら……」

「まあ、でも、それは、そんな程度だったって事じゃない?」

「……そうかな? うんでも……そうかも」

「お兄ちゃんに不満ってない?」

「……ある」

「あるんだ、あはは、じゃあさ、あんまり学校でそういう事言うと雪乃さんが周りから嫌われる可能性があると思うんだよね、だから、お兄ちゃんと直接接点が無い人なら良いと思うんだけど、それで持ってちょくちょくこの辺に来る人だったらお兄ちゃんに伝わる可能性があると思うんだけど、そんな人いる?」

「卒業した先輩が何人か……」
 
 だから私は……言われた通り、涼の悪口を言った。
 涼に伝わる様に……。


 でも、多分それは本当の事だったのかも知れない。
 気持ち悪い……それはたぶん嘘ではない。
 涼の視線に対して……そう思った事も……確かにあったから。

 でもだからって……涼の事が嫌いなわけでは無い。
 
 私は自分の気持ちがわからない……。
 私は本当に涼の事が好きなのだろうか?

 でも、いないと寂しい、涼がいないと……私は……なにも出来ない。

 勉強も、陸上も……涼がいたから、涼が追いかけてくるから……だから頑張った。頑張れた。

 でも、どんどん涼の気持ちが私から離れて行っている気がする。
 どんどん涼が遠くに行っちゃう気がする。

 良いのだろうか……このままで……楓ちゃんの言う通りにしていて……本当に良いのだろうか?

 

 
 




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