クラスでカースト最上位のお嬢様が突然僕の妹になってお兄様と呼ばれた。

新名天生

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凛ちゃんの部屋

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 暮れも押し迫った夕方、気のせいか道を通る人の歩くスピードが速い気がする。やはり師走って名前の通りなんだなぁと外をチラ見してから視線を目の前の美少女に戻す。僕は今凛ちゃんと二人駅近くのファミレスにいた。

「どうしよう……助けて凛ちゃん~~」
 ドリンクバーでコーラをひと飲みして一度落ち着いてから僕は凛ちゃんにそう言って助けを求めた。

「──何そのあまり困って無いけど便利な存在が近くにいるから甘えて頼んじゃえって感じの某メガネアニメキャラみたいな言い方は、私はドラ○もんじゃない! あのね、泉さんと気まずくなる度に私の所に駆け込むの止めてくれない?」

「だ、だってええええええ、ほがじぞうだんずるひどがああああ」

「泣くな、泣くな……私以外の友達って愛真さんがいるでしょ?」

「えまああ? あいつに相談って、いくらなんでも俺そこまで落ちぶれてないっつーか~~」

「なんで急にキャラ変えてるの? キモいだけだよ?」

「だっでええええ、今回は愛真絡みなんだもん……言えないよ」

「だからって私の所に来る? しかも待ち伏せとかマジでキモいんですけど?」

「だ、だってだって、今日みかんちゃん日勤だから夕方から暇かなって」

「あーーーもう、だから勤務時間をホームページに載せるの反対だったのにいいい、なんか風俗っぽくて嫌だったの! 店長におかげでストーカー出たって言おうかしら」

「ええええ! ス、ストーカー! みかんちゃんが、僕のみかんちゃんがストーカーに狙われている!? た、大変だ!! でも……だ、大丈夫! 僕がみかんちゃん守るよ!」

「ストーカーは、あなたよ! 真くん」

「………………僕?」

「そう」

「なんで僕が?」

「私の勤務時間を勝手に調べて、店の近くで待ち伏せとかストーカーそのものでしょ?」

「…………そうなの?」

「そうなの! ああもういい、それで、泉さんと何があったの?」

「そう言えば僕、泉の話って言ったっけ?」

「真くんが私を頼るのって全部泉さん絡みでしょ?」

「そうだっけ?」

「そうなの! はい、それで今度は何?」

「聞いてくれるの?」

「聞かせる為にストーカーまでして来たんでしょ! ほらもたもたしないで早く言え!」

「じゃあ……えっと……」
 
 と言う事で僕はまた凛ちゃんに人生相談をしていた……
 クリスマスパーティー夜の事を全部洗いざらい話す。僕は何故か凛ちゃんに隠し事が出来ない……なんでだろう?


「ふ~~~~~~ん」

「ど、どうしよう凛ちゃん!」

「えーーーー付き合えばあああ?」

「いや、でもそれは……そもそも僕……女の子と付き合った事無いし……」

「じゃあ、泉さんに告白すればあ~~」

「いや、でも泉は僕を兄として見ているわけで……って言うか凛ちゃん言い方が適当だよ! もっと真剣に!」

「そりゃ適当にもなるよ……真剣にって、じゃあさ、言うけどね、真くんさ~~ヘタれるにも程があるよ?」

「へ、ヘタれ……」

「そもそもさ、女の子から、愛真さんに告白させといて、そのまま放置ってどうなのよ、しかもそれを利用して泉さんに構って貰うとか、貴方何様?」

「ぐぐぐぐ」

「何? 愛真さんはキープして、泉さんが駄目なら乗り換えようって事? うーーわ、最低~~~~キモ!」

「そ、そんな事!」

「真くんにそんなつもりはなくても客観的に聞いて、やってる事はそう言う事でしょ?」

「そ、そんな……」

「そうなの! 愛真さんが可哀想」

「それは……」

「あとね、真くんはさ、少し女の子を神聖化してるんじゃないかな? 特に泉さんに対して異常だよ?」

「…………はい」

「兄になるとか家族になるとか諦めるとか、何一つやってないじゃない」

「…………はい」

「お兄様とか言われて調子に乗ってるだけなんじゃ無いの? 真くん自身は泉さん対して何か兄らしい事してるの? 甘えてるだけなんじゃないの?」

「…………はい」

「この際だか言ってあげる」

「…………はい」

「あのね、私も真くんの事が好きなんだよ?」

「…………はい…………え?」

「わかってないなぁ」

「ええええええええ?」

「まあ、好きって言っても彼氏になってとか、付き合いたいとかそう言うんじゃ無いけどね」

「あ…………えっと、えっと……その…………ありがと」

「どうしたしまして~~」

「僕も……凛ちゃん好き……大好き……です」

「……うわ~~~~~~キモい~~~~」

「な、なんでだよおおおおお!」

「うそうそ、照れ隠しだよ」
 そう言って僕に微笑む凛ちゃん、みかんちゃんの時の笑顔とは違う、なんか……本物の笑顔を見ている気がした。

「でも……僕一体どうすれば……」

「そうだねぇ……」
 凛ちゃんはそう言って黙り込んだ。何か真剣に考えているようなそんな表情をしていた。

「凛ちゃん?」

「わかった、ちょっと家においで」

「…………え?」

「ちょっと家で話そう、私の部屋に招待してあげる」

「…………ええええええええ!」

「喜びなね、家に人を入れるのは真君が初めてだからねえ~~~」

 僕は呆然としていた……突然の誘いに、あまり自分の事を明かさないみかんちゃん、凛ちゃんが突然そんな事を言うなんて……

「あはははははは、真君顔キモ~~~~い」
 凛ちゃんはそう言うと席を立った。それを見て僕もゆっくりと席を立つ……
 
 凛ちゃんの部屋に……そう言われ僕に緊張が走る。でも愛真の部屋に入った事はあるんだから、大丈夫緊張するな……そう自分に言い聞かせながら僕は凛ちゃんの後をついていった。



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