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true taste 1ー2

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タクシーが俺達の部屋に近づくにつれて、俺の心臓の音は早くなっていっている気がした。
舞い上がり過ぎない様に内心自分で自分を叱咤した。
なんと言っても捕まったのは琢美の父親なのだ。
いくら憎い父親だったとしても、生きている唯一の肉親が殺人罪で逮捕されてしまった琢美の気持ちは俺でも予想出来ない。
残虐非道の憎い奴が、やっと裁かれるべき罪で逮捕されたと喜ぶだろうか、それともいくら虐待されていたからと言っても、たった一人の父親が逮捕されたのだから嘆くだろうか?
ちらりと琢美の様子をうかがうと、琢美は相変わらずタクシーの窓から無表情で外を眺めていた。
俺が琢美の方を見たのが分かったのか、絡めた手だけが握り直された。
声をかける雰囲気じゃない気がして、俺もまた窓の外へ視線を移した。
外を見ると、タクシーはもう家の近くを走っていて、見慣れた風景が広がっていた。
タクシーが静かに俺達の住むマンションの前に停まり、ドアが開いた。
運転手にお礼を言って車を降りると、後に続いて琢美が降りてきた。
座っている時はそこまでの大差は無いのに、隣に立たれると、途端に俺の目線は上を向く。
まるでキスをねだっているみたいだなと、我ながら思った。
目が合うと琢美の手が俺の腰にスルリと巻きついて、俺の体は簡単に抱き寄せられた。
「琢美?」
人前でこんな大胆な事するヤツじゃ無いから少し驚いて、手の動きを追っていた視線を琢美に戻すと、そのタイミングでキスされた。
ビックリして動けなくなっていると、琢美がふわりと笑いながら言った。
「無茶な体制でさせちゃいましたね。大丈夫?」
警察署のトイレの個室での一件の事を言われたんだと分かって一気に頬っぺたが熱くなった。
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