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ルークの初恋 3-22

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ツカツカと馬車の方へ進んで行くシャルレ姫に、ルークが問いかけるが
の脱走はいつもの事よ。直ぐにウチの馬車を追いかけてラスツーヤの馬車も来るわ。邪魔に成らない様に帰りましょう」
殆ど取り合わない、本当にジェイコブ王子の脱走癖は頻繁なんだろうが、大分扱いがズサンだ。
「いえ、しかし、相手が王子となるといくら何でも放置というのは・・・何か取引したのでしょう?」
「問題ないわ。ホラ、馬車の前に従者も来た」
シャルレ姫が指さした方を見ると、ジェイコブ王子の着ている服とよく似た造りの、シンプルな物を来た青年達が王子に駆け寄って行く所だった。
しかしジェイコブ王子は従者達を置いてルークたちの方へ近づいて来た。
「王子!」
従者の一人が悲痛な声を上げる。
ジェイコブは振り向きもせず片手を上げて黙らせた。
シャルレは今回相当ご立腹の様子で、一瞬ジェイコブを睨んでから、ニコリと姫然とした笑顔を作ってドレスを摘まんで淑女風の挨拶をした。
「ジェイコブ王子、お忘れ物でもございまして?」
さりげなくルークの前に立つ、ジェイコブ王子は面白そうに目を細めた。
間に立つシャルレの威圧も何処吹く風といった様子で、シャルレの後ろにいるルークを除きこんだ。
「ねぇ、君、もう一度聞くよ?私の所に来ないかい?私は優しいよ?シャルレ姫と違って。私は第十二王子だから国王になる事はまず無いけど、優秀だから政府の要職についている。一生贅沢させてあげられる。後宮に入って毎日遊んで暮らせばいい、今まで苦労した分楽しく暮らせば良いよ。辛い過去なんて悪い夢だったんだと思えば良い、そんな現実偽物さ、本当は無かった事だと思えば良い」
そう言って、優しい笑顔でルークに手を差し出した。
ルークは本能的に、ジェイコブの言葉に嘘が無い事を分かっていた。
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