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すべては幻、隣の庭は枯れ木の庭 3ー5

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「娼婦がどれだけ酷い仕事か知っているかい?
 性を買わなければいけないヤツっていうのはさ、大体が実力で恋愛をする相手を獲得出来ないヤツらさ、娼婦は安くは無いんだよ。
 つまりそれなりの金持ちじゃなきゃ娼婦は買えない。
普通は金持ちってだけで、それなりの社交界に行けば困らない程度には相手が見つかるモノだ。
 ワザワザ金なんか払わなくてもただでヤれる。
 それが娼婦を買う必要が有るって事はさ、性格が悪いか、体に問題が有るか、奥さんや恋人相手には出来ない様な酷いプレイをしたいか、そういう奴が多い、酷いものさ、殺されるんじゃないかと思う事だって多い。
 料金以上のプレイを強要されて、踏み倒される事だって有る。
 病気だって移される事も珍しくない、男が土木工事の肉体労働に着くよりも危険で心がズタズタにされる仕事なんだよ。
 皆それぞれ事情を抱えて、辛い仕事をそれでも大金稼ぐために体はって働いてるんだ。
 誉められた仕事じゃない事なんて、俺達だって百も承知なんだよ。それを『下銭』呼ばわり?俺達の税金で暮らしてるヤツが!?訂正して欲しいな!」
自分は何でこんな幼い子供にこんなに一生懸命言い訳じみた抗議をしてるんだろう。
頭のすみでそう考えながら、それでもルークは何故だかむきになって子供に言っていた。
流石に言いすぎたと思って、乱れた呼吸を整えて小さく
「ごめん、子供の君にこんなに怒る事じゃなかった」
と謝ったけれど
子供は真っ直ぐルーク見て、
「いや。お前の言う通りだ。」
首を振って、何と頭を下げた。
「『下銭』呼ばわりは私が無礼であった。すまなかった」
頭を下げて謝っているクセに、やっぱり使う、その子供らしからぬ偉そうな口調に、ルークは思わず笑ってしまった。
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