徒然草

春秋花壇

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徒然草 第五十九段

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徒然草 第五十九段

原文

大事を思ひ立たん人は、去り難く、心にかゝらん事の本意を遂げずして、さながら捨つべきなり。

「しばし。 この事果てて」、「同じくは、かの事沙汰しおきて」、「しかじかの事、人の嘲りやあらん」、「行末難なくしたためまうけて、年来もあればこそあれ、そのこと待たむ、程あらじ。」

物さわがしからぬやうになど思はむには、えさらぬことのみいとどかさなりて、ことの尽くる限もなく、思ひ立つ日もあるべからず。

おほやう人を見るに、少し心あるきはは、皆このあらましにてぞ一期はすぐめる。

現代語訳

悟りを開くことを決意したならば、中途半端な気持ちで捨てられない日常の雑多な用事を全部そのまま捨てなさい。

「もう少しで定年だから」とか「そうだ、あれをまだやっていない」とか「このままじゃ馬鹿にされたままだ。 汚名返上して将来に目処を立てよう」とか「果報は寝て待て」などと考え、いつまでも決断を先延ばしにしていると、結局何も成し遂げられずに一生が終わってしまう。

世の中を見渡してみると、少しばかりでも悟りの心を持つ人は、皆このようなありのままの姿で一生を終えているようだ。

解釈

この段では、悟りを目指すためには、決断力と潔さを持ち、執着を手放すことが重要であると説かれています。

人は誰でも、様々なことに執着し、なかなか決断を下すことができません。しかし、悟りを目指すためには、そのような執着を手放し、潔く決断することが必要です。

中途半端な気持ちでいれば、結局何も成し遂げられずに一生が終わってしまうだけです。

悟りを目指すならば、今すぐに決断し、行動に移すことが大切です。

関連する段

第九段:執着を手放すことの大切さを説いている。
第十七段:決断力と行動力の重要性を説いている。
第五十六段:悟りの境地に至るためには、世俗的な欲望を捨てる必要があると説いている。
徒然草全体の中でこの段が占める位置

この段は、徒然草の後半部分に位置しており、人生における決断と執着について深く考察している段の一つです。

前半部分では、主に恋愛や人間関係に関する内容が多く取り上げられていますが、後半部分では、より精神的なテーマについて深く掘り下げていく傾向があります。

この段は、徒然草全体の思想を理解する上で重要な位置を占めていると言えるでしょう。

ソース
note.com/bukkoh48/n/nd3c7cd4fc2a1
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