徒然草

春秋花壇

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徒然草 第七十二段

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徒然草 第七十二段
原文:

賤しげなる物、居たるあたりに調度の多き。硯に筆の多き。持仏堂に仏の多き。前栽に石、草木の多き。家の内に子孫の多き。人にあひて詞の多き。願文に作善多く書きのせたる。

現代語訳:

下品でみっともないもの、住んでいる場所の周りに道具類が散乱していること。硯に筆が何本も並んでいること。仏壇が仏像だらけなこと。庭の植え込みにやたら石や草木が置かれていること。家に子供や孫がうじゃうじゃいること。人に逢って喋り過ぎること。願文に自分の善行をずらずら書き連ねていること。

解釈:

この段では、ケンクウは下品でみっともないものを列挙しています。これらのものは、どれも表面的なものにこだわりすぎて、内面の美しさや価値を見失っているという共通点があります。

例えば、「住んでいる場所の周りに道具類が散乱している」というのは、整理整頓ができていないだけでなく、物質主義的な考え方に囚われていることを示唆しています。「硯に筆が何本も並んでいる」というのは、実際に書道をするよりも、道具を自慢することに執着していることを示唆しています。

このように、ケンクウは表面的なものに惑わされることなく、真の美しさや価値を見極めることの大切さを説いているのです。

この段が徒然草全体のテーマとどのように関連しているか:

徒然草のテーマの一つは、無常観です。この段は、物質的なものはいつか朽ち果ててしまうという無常観に基づいています。

ケンクウは、私たちが真に大切にすべきものは、物質的なものではなく、内面の美しさや価値であると主張しています。それは、物質的なものはいつか失われてしまうものですが、内面の美しさや価値は永遠に失われることはないからです。

その他:

この段は、現代社会にも通じる教訓が含まれています。私たちも、物質的な豊かさばかりを追い求めて、大切なものを失っていないでしょうか。

ケンクウの言葉に耳を傾け、真の美しさや価値を見極めることを心がけたいものです。

何かご不明な点があれば、お気軽にご質問ください。
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