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小説

レジでお金が足らなくなる

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雨が降りしきる中、彩香は古びた自転車にまたがり、遠くの業務用スーパーへと向かっていた。街路樹が雨粒を受け止める音が静かな中、彩香の自転車は小さな水たまりをかき分けて進んでいく。

スーパーに到着し、彩香は傘を畳んで駐輪場に置き、建物の中へと足を踏み入れる。店内は暖かな明かりに包まれ、色とりどりの商品が並んでいる。しかし、彩香の目は一点を見つめていた。そこは野菜コーナーだ。彩香は鮮やかな色彩の野菜たちを眺めながら、手に取ることができるかどうかを慎重に考えていた。

彩香は慎重に野菜を選びながら、その中には自分の予算に合ったものを見つけようとしていた。しかし、目に止まった商品の価格が予想以上に高かったり、消費税の加算を忘れてしまったりして、予算をオーバーしてしまうこともある。そのたびに彩香は落胆し、次の買い物での注意を呼び起こすために自らを叱咤する。

レジでお金が足りなくなる瞬間も、彩香の心を落ち着かせない。周りの人々の視線が気になり、焦りが増していく。しかし、彩香は慌てることなく、不足した商品を戻す決断を下す。その場面は静かな緊張感に包まれ、彩香の心の中には自責の念が漂っていた。

雨の音と店内の静寂が彩香の心を落ち着かせ、次の行動を考える余裕を与える。彩香は自分の失敗を受け入れつつも、次回の買い物ではさらに注意深く行動しようと心に誓うのだった。


レジでお金が足らなくなる

10年以上前の商品価格と間違えてるのかな

春キャベツが378円。

お百姓さんの苦労を考えれば、決して高くはないんだろうけどねー。

やっぱり手が出ないよね。

「ごめんなさい。お金が足りません。バナナとさつまいもとにらと水菜は買えないので戻します」

最近、お買い物に行ってもこんなんばっかり。

彩香は、珠算1級、公文だってそこそこやてきた。

確かに注意欠陥多動性障害(ADHD)だけど、数学の成績は上位だった。

なのに、レジでお金が足らなくて、品物を返すことが増えている。

彩香は普通の高校2年生。

ぼけるにはまだはやすぎる。

「それとも、若年性とか?」

やめてくれー。これ以上、わたしをどうしようもないやつにしないでくれー。

最近、日常の食品は、彩香が買ってきている。

今日だって、予算9000円で、マジックリンと、サランラップ、洗濯用の洗剤。

冷蔵庫は空に近いので、魚、肉、野菜を買おうとちょっと遠くの業務用スーパーまで雨の中をえっちらおっちら自転車をこいできた。

牛のコマ切れや鶏の胸肉、鯖や赤魚、かれいの干物、牛乳、なつみかん、イチゴなど彩り、栄養のバランスを考えて選んだ。できるだけ、リーズナブルで、体に良くて調理しやすいものをセレクトしたつもりだった。

だけど、またしてもレジでお金が足らなくなって、かごに入れたものを戻す。

これって、買ったつもりになってるから、家に帰ってから

「あれ?買わなかったけ」

って、なる。

今度から電卓持っていこうかな?

列ができるほど混んでいるのに、レジで恥をかきたくないもの。

自分では安いものを選んでいるつもりだけど、例えば398円に消費税が付くと429円。

あれこれ選んでると、すぐに20品くらい行っちゃうんだろうな。

そこんとこがよくわかってないってことなんだろうな。

お刺身やうなぎやステーキ肉を買ったわけじゃないから、

それほど高い買い物をしてるという自覚が本人にないんだろう。

「心して自重せよ」

それでなくても、ADHDは計画的に買い物するのが苦手なんだから。

「それにしても、たけのこおいしそうだったな~♪」

「田舎のおばあちゃんちだったら、裏山に行けばただでたくさん食べられるのにな~」

逃した魚はでかいのだw
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