『夫、赤ちゃん化しました。』

春秋花壇

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『赤ちゃん返り、再び。──でも今回はひとりじゃない』

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『赤ちゃん返り、再び。──でも今回はひとりじゃない』

　

生まれたばかりの小さな命が
家に来たその日から、
時計の針は少し早く、
そして少し優しく動き始めた。

　

ベビーベッドには新しい家族。
その隣、ソファーには——
5歳児と、精神年齢3歳の夫。

　

赤ちゃんの泣き声に
夫が先に反応して立ち上がり、
息子がそれを見て怒りながら真似をする。

　

「パパはぼくのパパなの！」
「いや、柚のパパでもある！」

言い合う声は大きいのに、
どちらも泣き出しそうなのが可笑しい。

　

母は眠い。
でも笑ってしまう。
だって、知っているのだ。

　

これは混乱ではなく、
嫉妬ではなく、
愛の位置を探している時間だと。

　

息子は言葉で生きるようになり、
夫は責任とまだうまく折り合えず、
赤ちゃんはただ眠るだけで
すべての中心になる。

　

時々涙、時々ため息、
でもその合間には、
言葉にしなくても伝わる瞬間がある。

　

小さな手でガーゼを差し出す息子。
ぎこちなくミルクを作る夫。
それを見て胸が温かくなる母。

　

——ねえ、気づいてる？

あなたたちは今、
家族をもう一度、
生まれさせているんだよ。

　

赤ちゃん返りは恥じゃない。
成長の前ぶれ。
もう一度、愛されたいというサイン。

　

でも今回は——

母ひとりじゃない。
息子がいて、
成長途中の父がいて、
泣いたり笑ったりしながら
支える人が増えた。

　

家族とは、
形が完成して終わるものではなく、
新しい命のたびに
ゆっくり組み直していくもの。

　

今日も、
泣き声と笑い声が混ざったこの家で、
ひとつだけ確かなことがある。

　

不器用でも、遠回りでも、
この家族は確かに前へ進んでいる。

　

そして母はそっと、心の中でつぶやく。

　

「赤ちゃん返り、再び。
でも——今回は、ひとりじゃない。」

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