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1.三年ぶりの帰国
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揺れる馬車の窓から見えるのは、三年ぶりの母国の街並みだった。
窓にへばりつくように外を見ていた侍女クローナは興奮した様子で私に話し掛けてくる。
「ジュンリヤ様、凄いですね!ここまで復興しているとは思っておりませんでした。これもすべてジュンリヤ様が隣国で三年間も耐えてきたお陰でございますね」
声を弾ませながらそう言うクローナ。
口調は丁寧だけれども堅苦しくはないのは、彼女が私の乳姉妹だからだ。
そして隣国までついてきた唯一の侍女でもある。
確かにクローナの言う通りだった。
三年前とはすっかり様変わりしている。戦争で壊された建物は修復され、なにより人々の表情が明るい。
――その様子はまさに平和そのものだ。
「本当にここまで再建しているとは思わなかったわ。でもこれは私ではなく国王陛下のお陰よ。浅慮なことを言葉にしてはいけないわ。クローナ、気をつけて」
「分かりました、ジュンリヤ様」
私の言葉にクローナは素直に頷いてくれる。
隣国では外部との交流は許されておらず、与えられた屋敷から出ることは殆どなかった。だから二人だけの会話に気を使う必要は無かった。
けれど母国ではそうはいかない。
私の夫はこの国の国王で、発言によっては男爵令嬢である彼女は不敬罪に問われてしまうからだ。
でも浮かれているクローナの気持ちは理解できた、私も同じだったから。
三年ぶりに母国の様子を見ながら想うのは愛する人のことだった。
……早く逢いたいわ、アンレイ。
一日たりとも思い出さない日はなかった夫の顔は、三年前から変わることはない。
最後に会ったのは私が隣国へと旅発つ時で、それから今日まで一度も会うことは許されなかった。
三年前、夫である彼は国境まで私を見送ることさえ許されず、王都の王宮での別れとなった。
『すまない、ジュンリヤ』
『大丈夫です、覚悟はできていますから。もう謝らないで、アンレイ』
何度となく私に同じ言葉を告げてくる夫、その表情は苦渋に満ちていてる。
そして私の言葉は彼の苦しみを少しも和らげることはなかった。
なぜなら私は人質として隣国へと向い、何かあったら見せしめに処刑されるからだ。
先代の国王は才があるわけではないが、真面目な王だった。それが一人の愛妾の存在によって変わってしまった。溺愛する愛妾の『鉱山が欲しいわ』という無邪気な願いを叶えるために、隣国へといきなり攻め入ったのだ。
『神のお告げがあった』という大義名分を掲げて…。
あちらは大国でこちらは小国、最初から勝敗は決まっていた。呆気なく母国は敗戦国となり、先王と愛妾の首はすぐに差し出される。
一旦は隣国もそれで事を収めようとしたが、先王の暴挙の下で甘い汁を吸っていた一部の貴族が愚かなことに隣国の国王の暗殺を試みてしまった。
もちろん失敗に終わったが、隣国は『王政の廃止か人質として王妃を差し出すかどちらかを選べ』と迫ってきた。
前者を選べば属国となり既存の権利も脅かされると考えた貴族達は、王位についたばかりの国王に後者を選ぶように進言した。
――いや、正しくは圧力を掛けてきた。
敗戦後に国王となったのは第四王子アンレイだった。それは自ら望んだことではなく、兄王子達は積極的に先王に加担した罪で幽閉されたからだ。
アンレイの母は子爵家から側妃として嫁いだので、彼には後ろ盾はないも同然だった。そして彼と一年前に婚姻を結んだ私の実家は伯爵家で権力はなかった。
いいえ、力を持っていないからこそ第四王子の結婚相手に選ばれていたのだ。
――名ばかりの国王には選択肢などなかった。
私は人質として隣国に送られることが決定し、連れて行くことが許されたのは侍女一人だけ。
それほど母国は隣国からの信用を失っていたのだ。
『三年間で国内が安定したら、王妃を帰国させる』と隣国から告げられ、反論は許されなかった。
人質としての生活は辛かったけれど、アンレイは母国でもっと大変な状況に身を置いていると分かっていたから耐えられた。
いつの日かまた彼と一緒に以前のように穏やかな時間を過ごす日が来ると信じていたから…。
『待っていてくれ。必ず国内を安定させ、隣国の信用を得て君を自由にする。君だけを愛しているよ、ジュンリヤ』
『私も愛しているわ。無理はしないで…』
これが三年前最後に交わした言葉。
――疑ったことは一度たりともない。
◇ ◇ ◇
三年後、開放された私は母国の騎士達に厳重に守られ王都へと向かっている。そのため国民達と直接触れ合うことはできなかったけれど、その道中は歓迎の言葉で溢れていた。
みな馬車に向かって『王妃様、お帰りなさいませ』と笑顔を浮かべて手を振ってきた。
私は国を守った王妃として温かく迎えられている。
三年前の決断は私にとって愛する夫を守るためのものだった。でもこうして国を守れたことも素直に嬉しかった。
王宮に到着し馬車を降りると『王妃様、お帰りなさいませ!』と歓声が上がる。そんななかアンレイが真っ先に私のもとに駆け寄って来て、私の耳元で『おかえり』と囁きながらきつく抱き締めてくる。
久しぶりのそれは少しだけぎこちないけれど、愛しく懐かしいものだった。
「ジュンリヤ!会いたかった、よく三年間耐えてくれたな!」
「ただ今戻りました、アンレイ」
彼は三年前と違って国王としての威厳を身に着けていた。
三年間で国内を安定させ、後ろ盾もなく貴族を束ねるのには相当の苦労があったことだろう。
それを乗り越えてきた自信がアンレイから伝わってくる。
そんな彼が眩しい、そして愛しい。
私も王妃としてこれから彼の隣に並ぶに相応しくありたいと願う。
――不安はなかった。
三年ぶりに会うけれど、彼が私に向ける眼差しは全く変わっていなかったから。
私は第四王子妃として嫁いだので王妃として教育はほとんど受けていない。
でも彼のためなら頑張れる。
アンレイは周りの目を気にすることもなく、熱い抱擁を続けてくる。こうして気持ちを真っ直ぐに表してくれるのは昔からだ。
「国王陛下、王妃様もお疲れでしょうから…」
「ああ、確かにそうだな。すまなかった、ジュンリヤ。君が私のもとに帰ってきてくれたのが嬉しくてな」
「ふふ、構いませんわ」
私達の抱擁にしびれを切らしたのか、宰相が声を掛けてくる。
名残惜しそうに離れていく彼を微笑みながら見ていると、少し離れた場所に立っている一人の女性に気がついた。
それは明らか臣下としての立ち位置ではなかった。
他の人々よりも一歩前にいて、豪華なドレスを身に纏って優雅に佇んでいる。その顔には笑みが浮かんでいるけれど、その目は笑っていなかった。
私を睨んでいるの……?
いったい貴女は誰なの……。
その挑発的ともいえる態度に気づいているのは私だけのようだった。
「アンレイ様、私にも王妃様にご挨拶させてくださいませ。独り占めなんてずるいですわ」
その女性は甘い声音で国王であるアンレイを名前で呼ぶ。
それは言葉にできない衝撃だった。
だがそれ以上に驚いたのはその後のアンレイの言葉だった。
「すまなかった、アンナ」
彼は彼女の態度を咎めはせず、当然のように彼女に言葉を返している。
周りを見渡しても、誰一人として二人の会話に眉を顰めている者はいなかった。
……っ…、アンレイ、なん‥で…。
目の前の二人の姿に胸が締め付けられるように苦しくなっていく。
国王の名を呼ぶことが許されていたのは私だけだった、それは私だけが彼の妻だったから。
その人は貴方の……なの…?
心のなかの問いを言葉にする勇気はなかった。
この状況を理解はしたくない、でもこの国の国王は側妃を娶ることが認められている…。
窓にへばりつくように外を見ていた侍女クローナは興奮した様子で私に話し掛けてくる。
「ジュンリヤ様、凄いですね!ここまで復興しているとは思っておりませんでした。これもすべてジュンリヤ様が隣国で三年間も耐えてきたお陰でございますね」
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口調は丁寧だけれども堅苦しくはないのは、彼女が私の乳姉妹だからだ。
そして隣国までついてきた唯一の侍女でもある。
確かにクローナの言う通りだった。
三年前とはすっかり様変わりしている。戦争で壊された建物は修復され、なにより人々の表情が明るい。
――その様子はまさに平和そのものだ。
「本当にここまで再建しているとは思わなかったわ。でもこれは私ではなく国王陛下のお陰よ。浅慮なことを言葉にしてはいけないわ。クローナ、気をつけて」
「分かりました、ジュンリヤ様」
私の言葉にクローナは素直に頷いてくれる。
隣国では外部との交流は許されておらず、与えられた屋敷から出ることは殆どなかった。だから二人だけの会話に気を使う必要は無かった。
けれど母国ではそうはいかない。
私の夫はこの国の国王で、発言によっては男爵令嬢である彼女は不敬罪に問われてしまうからだ。
でも浮かれているクローナの気持ちは理解できた、私も同じだったから。
三年ぶりに母国の様子を見ながら想うのは愛する人のことだった。
……早く逢いたいわ、アンレイ。
一日たりとも思い出さない日はなかった夫の顔は、三年前から変わることはない。
最後に会ったのは私が隣国へと旅発つ時で、それから今日まで一度も会うことは許されなかった。
三年前、夫である彼は国境まで私を見送ることさえ許されず、王都の王宮での別れとなった。
『すまない、ジュンリヤ』
『大丈夫です、覚悟はできていますから。もう謝らないで、アンレイ』
何度となく私に同じ言葉を告げてくる夫、その表情は苦渋に満ちていてる。
そして私の言葉は彼の苦しみを少しも和らげることはなかった。
なぜなら私は人質として隣国へと向い、何かあったら見せしめに処刑されるからだ。
先代の国王は才があるわけではないが、真面目な王だった。それが一人の愛妾の存在によって変わってしまった。溺愛する愛妾の『鉱山が欲しいわ』という無邪気な願いを叶えるために、隣国へといきなり攻め入ったのだ。
『神のお告げがあった』という大義名分を掲げて…。
あちらは大国でこちらは小国、最初から勝敗は決まっていた。呆気なく母国は敗戦国となり、先王と愛妾の首はすぐに差し出される。
一旦は隣国もそれで事を収めようとしたが、先王の暴挙の下で甘い汁を吸っていた一部の貴族が愚かなことに隣国の国王の暗殺を試みてしまった。
もちろん失敗に終わったが、隣国は『王政の廃止か人質として王妃を差し出すかどちらかを選べ』と迫ってきた。
前者を選べば属国となり既存の権利も脅かされると考えた貴族達は、王位についたばかりの国王に後者を選ぶように進言した。
――いや、正しくは圧力を掛けてきた。
敗戦後に国王となったのは第四王子アンレイだった。それは自ら望んだことではなく、兄王子達は積極的に先王に加担した罪で幽閉されたからだ。
アンレイの母は子爵家から側妃として嫁いだので、彼には後ろ盾はないも同然だった。そして彼と一年前に婚姻を結んだ私の実家は伯爵家で権力はなかった。
いいえ、力を持っていないからこそ第四王子の結婚相手に選ばれていたのだ。
――名ばかりの国王には選択肢などなかった。
私は人質として隣国に送られることが決定し、連れて行くことが許されたのは侍女一人だけ。
それほど母国は隣国からの信用を失っていたのだ。
『三年間で国内が安定したら、王妃を帰国させる』と隣国から告げられ、反論は許されなかった。
人質としての生活は辛かったけれど、アンレイは母国でもっと大変な状況に身を置いていると分かっていたから耐えられた。
いつの日かまた彼と一緒に以前のように穏やかな時間を過ごす日が来ると信じていたから…。
『待っていてくれ。必ず国内を安定させ、隣国の信用を得て君を自由にする。君だけを愛しているよ、ジュンリヤ』
『私も愛しているわ。無理はしないで…』
これが三年前最後に交わした言葉。
――疑ったことは一度たりともない。
◇ ◇ ◇
三年後、開放された私は母国の騎士達に厳重に守られ王都へと向かっている。そのため国民達と直接触れ合うことはできなかったけれど、その道中は歓迎の言葉で溢れていた。
みな馬車に向かって『王妃様、お帰りなさいませ』と笑顔を浮かべて手を振ってきた。
私は国を守った王妃として温かく迎えられている。
三年前の決断は私にとって愛する夫を守るためのものだった。でもこうして国を守れたことも素直に嬉しかった。
王宮に到着し馬車を降りると『王妃様、お帰りなさいませ!』と歓声が上がる。そんななかアンレイが真っ先に私のもとに駆け寄って来て、私の耳元で『おかえり』と囁きながらきつく抱き締めてくる。
久しぶりのそれは少しだけぎこちないけれど、愛しく懐かしいものだった。
「ジュンリヤ!会いたかった、よく三年間耐えてくれたな!」
「ただ今戻りました、アンレイ」
彼は三年前と違って国王としての威厳を身に着けていた。
三年間で国内を安定させ、後ろ盾もなく貴族を束ねるのには相当の苦労があったことだろう。
それを乗り越えてきた自信がアンレイから伝わってくる。
そんな彼が眩しい、そして愛しい。
私も王妃としてこれから彼の隣に並ぶに相応しくありたいと願う。
――不安はなかった。
三年ぶりに会うけれど、彼が私に向ける眼差しは全く変わっていなかったから。
私は第四王子妃として嫁いだので王妃として教育はほとんど受けていない。
でも彼のためなら頑張れる。
アンレイは周りの目を気にすることもなく、熱い抱擁を続けてくる。こうして気持ちを真っ直ぐに表してくれるのは昔からだ。
「国王陛下、王妃様もお疲れでしょうから…」
「ああ、確かにそうだな。すまなかった、ジュンリヤ。君が私のもとに帰ってきてくれたのが嬉しくてな」
「ふふ、構いませんわ」
私達の抱擁にしびれを切らしたのか、宰相が声を掛けてくる。
名残惜しそうに離れていく彼を微笑みながら見ていると、少し離れた場所に立っている一人の女性に気がついた。
それは明らか臣下としての立ち位置ではなかった。
他の人々よりも一歩前にいて、豪華なドレスを身に纏って優雅に佇んでいる。その顔には笑みが浮かんでいるけれど、その目は笑っていなかった。
私を睨んでいるの……?
いったい貴女は誰なの……。
その挑発的ともいえる態度に気づいているのは私だけのようだった。
「アンレイ様、私にも王妃様にご挨拶させてくださいませ。独り占めなんてずるいですわ」
その女性は甘い声音で国王であるアンレイを名前で呼ぶ。
それは言葉にできない衝撃だった。
だがそれ以上に驚いたのはその後のアンレイの言葉だった。
「すまなかった、アンナ」
彼は彼女の態度を咎めはせず、当然のように彼女に言葉を返している。
周りを見渡しても、誰一人として二人の会話に眉を顰めている者はいなかった。
……っ…、アンレイ、なん‥で…。
目の前の二人の姿に胸が締め付けられるように苦しくなっていく。
国王の名を呼ぶことが許されていたのは私だけだった、それは私だけが彼の妻だったから。
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