私は大切にされていますか~花嫁修業で知る理想と現実~

矢野りと

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26.それぞれの言い分①

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今私は、サリムと向かい合って座っている。と言っても私に与えられた部屋には椅子が一脚しかないので、私は硬いベットに腰を掛け、サリムが椅子に座っている状況だ。

どうしてこうなっているかと言うと、私が商会から戻り部屋に荷物を置いていると、サリムが乱暴にノックをして部屋に入ってきた。彼は私の顔を見るなり『本当に済まなかった』と必死な形相で謝ってきた。
とりあえず私は彼を椅子に座わらせて落ち着かせた。


「どうして急に謝って来たの、誰かに何か言われたの?」
「なんか少しずつおかしいなと感じ始めて、今日アンとトムから花嫁修業の実態を聞いたんだ…」
「そう…」

私はサリムの態度を見てすべて分かった、やはり彼は今まで本当の事を何一つ知らずにいたのだろう。

「まさかカリナがこんな部屋を与えられているとは知らなかったし、母から指示された花嫁修業があんなに過酷なんて思いもしなかった。カリナのいう事を信じなくて本当にごめんな。もう止めさせるし、母にもきつく言っておくから許してくれないか…」

サリムが心から反省しているのは伝わってきたし、彼はきっと義母にしっかりと注意してくれるだろう。彼が誠実な人なのを私はよく知っている。

---でもねサリム、私は貴方を愛していたから婚約したけど、義家族は違うのよ。これから信頼関係を築こうと思っていた相手に最初から裏切られたのよ、私は…。そんな人達をこれからどう信じろと言うの?

私が黙っているのでサリムは不安になったのだろう、何度も『ごめん、信じてくれ』と言っている。

「サリム、貴方はどうして義母や義父が私に対してこんな事をしていると思う?ああ、リリアンの事は考えなくていいわよ。あの人は天真爛漫という無神経なだけだから気にしてないわ、深い意味なんてないはずだもの」

私は義妹リリアンをバッサリと切り捨てるように言ったが、サリムは反論することなく『本当に妹が馬鹿な奴ですまない』と小声で謝っていた。彼もリリアンには手を焼いているようなので、この一点だけは共通の認識があったようだ。

「正直分からない…。父と母はカリナとの婚約を喜んでいたはずなのに、どうしてこんな事になったのか…」

サリムは誤魔化そうとしているのではなく、本気で何も分かっていないようで困惑の表情を浮かべている。

「そうだと思ったわ。私は予想はしているけど、直接義父母の口から真実を知りたいとは思っている。夕食の前に聞こうと思っているけど、サリムはどうする?」
「勿論、俺も一緒に聞くよ!これは俺達の問題だから」
「分かったわ。どうなるか分からないけど、ちゃんと義父母と向き合いましょう」

私はサリムとともに義父母の元に向かった。今までは嫁になる立場だからと我慢していたが、リチャードさんの『一人に我慢させて成り立つ幸せは本当の幸せではない』という言葉が私を後押ししてくれていた。

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