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26.何が起こるか夏祭り①
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オーサン国の夏祭りは全ての建物にカラフルな花々を飾り付けるので、通称『花祭り』とも呼ばれている。祭りの最中に気に入った相手を見つけたら、近くの建物に飾り付けている花を勝手に取って、その花を差し出しながら相手に交際を申し込むのも許されている。若者達は、素敵な出会いはないかとウキウキしながら参加するのである。
今年はお忍びで国王と正妃と側妃達も参加するが、国民達には知らせていない。
側妃のネリー妃とマアラ妃には、日頃の後宮暮らしの息抜きを口実に参加を勧めていた。ギルアと行動を共にしたいと騒いでいたが、それでは目立つし何より国王の病気が完治していないというと大人しく引き下がり、それぞれ単独行動をする事になっている。
町娘の格好して参加する二人だが、選んだ服は対照的である。ネリーは随分と派手でキラキラした小物入れを持ち、町娘というよりゴージャスマダムになっている。一方マアラは町娘ではなく、タカ〇ヅカ男装女子そのものだ…?
なぜ町娘の格好を教えないのだ、侍女ズ! (((無理なもんは無理です!)))
今日のギルアは髪は赤色に染めていて、白いシャツに黒いズボン姿で非番のイケメン騎士風に決まっている。シルビアは長い新緑色の髪をポニーテールし、裾がいつもより短い水色のふんわりワンピースを着ている、元気な町娘風だ。
「どんな格好でも可愛いな!町では絶対に俺から離れるなよ。変な虫が寄ってきそうだ」
「ギルア様こそ、カッコイイです!初デートですね♪」
お互いの姿に見惚れていちゃつく馬鹿ップルをスルーして、宰相が注意事項を淡々と伝えてくる。
「今日はお忍びです。くれぐれも正体がばれないように気を付けてください。シルビア様の姿は国民に認知されていないから大丈夫ですが、ギルア様は要注意です!名前も違う呼び名にして下さい」
「そうだな。俺の事はギーと呼んでくれ。シルビアの事はビアと呼ぶがいいか?」
「はい。愛称で呼び合うなんて、照れるけどとても幸せ♪」
見つめ合い愛称呼びの練習を始める二人はほっといて、額に青筋を立てている宰相が話しを続ける。
「護衛は離れて付いていきます。一番の注意点は側妃達です。個人行動をしているネリー妃とマアラ妃と鉢合わせしないように!もしギルア様に会ってしまったら、騒ぎ出し今回の作戦は意味を成さなくなります。お二人ともデートに夢中になり今回の臣下の努力を水の泡にしたら許しませんよ…絶対に」
連日連夜の激務を無駄にしたら殺すとばかりに言い切る宰相の気迫は本物で、初デートに浮かれていた二人はコクコクと首を縦に振り従順の意を示す。
---カピパラ獣人に頂点は譲っているが、№2はウサギ獣人なのである。
******************************
マアラ妃はヅカ風のパンツ姿で屋台巡りを楽しんでいる。元騎士なので、立ち食いにも抵抗はないのだ。町娘に扮しているお付きの侍女も最初は『はしたないですよ』と注意していたが、今では一緒に笑いながら食べ歩きを楽しんでいる。
マアラは脳筋でおかしな言動も多々あるが、性格自体は決して悪くない。なので側妃と侍女の立場を超えて、友達のようにこの場を楽しめるのだ。
二人でキャッキャッと飴細工を選んでいると、ドンと誰かがマアラにぶつかって来た。
「イッター、この大女!ボーと立ってるんじゃねえ!」
自分で勝手にぶつかり転んだくせに悪態をついてくる少年が、衝撃でまだ起き上がれず地面に顔を伏せたままでいる。マアラは脳筋だが子供には優しい、仕方がないなぁと起き上がる為に手を差し伸べる。
「ごめんなさい、おチビちゃん。大丈夫?」
「誰が、おチビちゃんだ!大女、手を離…せ…じゃなくて、離さない!」
マアラの手を振り払おうとしていた少年は顔を上げるなり、マアラの手をガシッと握りしめた。慌てて侍女が少年の手を離そうとするが、今度はマアラの方が自分より小柄な少年にガバッと抱き着いている。
…周りから見ると、完全に痴女である。それもいたいけな少年を襲っている最上級にいけない部類だ。
隠れて護衛していた騎士達が素早く近づき、破廉恥な側妃を回収しようとするが、元騎士脳筋マアラは何故か味方である彼らをバッタ、バッタと倒していく。
もう侍女には明日の朝刊の一面が見え始める…『痴女側妃マアラ、少年を襲う』。
(マズイ、マズイ、この状況をどうにかしなくてわ)
誰か助けてくれと周りを見るが、マアラを止められる猛者は現れない。少年も恐怖で動けないのか逃げようとはしない。その時、低音で腹に響く声が聞こえてきた。
「これはどういうことだ、マアラ!」
変装したギルアとシルビアが騒ぎを聞き付けやって来たのだ。マアラ妃の暴行を目の前にしてギルアは怒りがこみ上げてくる。逆にシルビアは戸惑いを隠せないでいるが、ギルアが落ち着くように腕を掴み暴走させないようにしている。
早く状況を説明しなければと侍女がギルア達に足早に近づき話そうとした時、少年がギルアに向かって怒鳴りつけた。
「オイオイ、おっさんよ!彼女を呼び捨てにするんじゃねえ!僕の『番』だぞ!」
なんと少年とマアラは『番』だった。マアラは少年を襲っていたのではなく、『番』と会えた喜びでお互いに抱き合っていたのだ。それを邪魔しに来た護衛騎士を倒したのは、『番』を求める獣人の本能であったのだ。
マアラは少年だけを見つめ、甘い声で話し掛ける。
「少年、名前を教えてちょうだい♪」
「僕はネズミ獣人のドギオだ。マアラが名前でいい?あのおっさん誰?マアラの知り合いか、どんな関係だ!」
「あのおっさん?知らないわ。あんなのほっといて、私とお祭りを楽しまない?」
少年に『おっさん』呼びをされ、側妃には『知らないおっさん』扱いされるが、お忍びのギルアは耐える。本当に気づいていないのか、それとも敢えて無視しているのか分からないが、とにかく耐えている。今日の最優先事項は側妃の『番』確保だ。
そんなギルアには目もくれず、ドギオは壁を飾り付けている花を掴み取り、片膝をついてマアラに差し出す。
「お祭りを一緒に楽しむ前に言わせてくれ!俺の『番』、マアラ結婚するぞ―!」
「YES!私達は運命だわー」
ドラマの一場面のようにガシッと抱き合う二人だが、マアラが大柄でドギオが小柄なので、絵的には犯罪臭が漂ってくる。
(((オイオイ、お前は人妻だろー!!))))
マアラの身分を知っているお付きの者達は慌てて離そうとするが、ギルアに止められた。
こんなに早く側妃の『番』が見つかるとは嬉しい誤算である、ギルアはこのまま穏便に事を進めるべく指示を出す。
『二人を落ち着かせてから目立たないように王宮に連れてくるように』とお付きの者達に命令をし、『番』の仲を邪魔して抉れたら大変だとばかりに足早に去っていく。
困ったのは残された騎士と侍女…。
周りの野次馬に必死で言い訳をしている。
『痴女じゃありません。『番』なので犯罪でもありません、同意の上ですー』
本人達が言えばすぐに納得してもらえるのに、二人だけの世界に浸っていて、誤解と一緒に侍女達まで放置だ。
一時間後、なんとかその場を治め、二人を馬車に放り込み王宮へと向かうこと成功した。
「ところでドギオ、あなた何歳なの?」
マアラがドギオを膝の上に乗せて髪を撫でながら聞いている。
(((まだ聞いてなかったんかい!)))
あんなに長時間密着していたので、当然未成年でない事は確認済みで抱き合っていると思い込んでいた侍女達に衝撃が走る。
「僕は17歳だ。マアラ、姉さん女房だな!」
「そうね、なんかドキドキしちゃう♪」
驚愕の事実に固まる騎士と侍女…。
(((小柄なのはネズミ獣人だからと思っていたが、まさか子供だったとは…)))
慌てて、ドギオをマアラから引き離す。『番』とはいえ、未成年のうちに手を出したら犯罪者だ!
二人はブーブー文句を言っているが聞かない事にする。
兎に角、予定変更!王宮に行く前にドギオの両親も回収しなければ、全員もれなく『未成年者誘拐犯』になってしまう。公務で犯罪者になるなんて割に合わないどころの話ではない。
(((なんて仕事を押し付けるんだ!国王様もげろーーー)))
逃げたギルアに呪いの念を送りながら、泣く泣くドギオ両親探しを開始する。祭りで顔を知らない人を探すのは至難の業であった、なぜなら、唯一顔を知っているドギオがマアラといちゃついていて、まったく役に立たなかったからである。
今年はお忍びで国王と正妃と側妃達も参加するが、国民達には知らせていない。
側妃のネリー妃とマアラ妃には、日頃の後宮暮らしの息抜きを口実に参加を勧めていた。ギルアと行動を共にしたいと騒いでいたが、それでは目立つし何より国王の病気が完治していないというと大人しく引き下がり、それぞれ単独行動をする事になっている。
町娘の格好して参加する二人だが、選んだ服は対照的である。ネリーは随分と派手でキラキラした小物入れを持ち、町娘というよりゴージャスマダムになっている。一方マアラは町娘ではなく、タカ〇ヅカ男装女子そのものだ…?
なぜ町娘の格好を教えないのだ、侍女ズ! (((無理なもんは無理です!)))
今日のギルアは髪は赤色に染めていて、白いシャツに黒いズボン姿で非番のイケメン騎士風に決まっている。シルビアは長い新緑色の髪をポニーテールし、裾がいつもより短い水色のふんわりワンピースを着ている、元気な町娘風だ。
「どんな格好でも可愛いな!町では絶対に俺から離れるなよ。変な虫が寄ってきそうだ」
「ギルア様こそ、カッコイイです!初デートですね♪」
お互いの姿に見惚れていちゃつく馬鹿ップルをスルーして、宰相が注意事項を淡々と伝えてくる。
「今日はお忍びです。くれぐれも正体がばれないように気を付けてください。シルビア様の姿は国民に認知されていないから大丈夫ですが、ギルア様は要注意です!名前も違う呼び名にして下さい」
「そうだな。俺の事はギーと呼んでくれ。シルビアの事はビアと呼ぶがいいか?」
「はい。愛称で呼び合うなんて、照れるけどとても幸せ♪」
見つめ合い愛称呼びの練習を始める二人はほっといて、額に青筋を立てている宰相が話しを続ける。
「護衛は離れて付いていきます。一番の注意点は側妃達です。個人行動をしているネリー妃とマアラ妃と鉢合わせしないように!もしギルア様に会ってしまったら、騒ぎ出し今回の作戦は意味を成さなくなります。お二人ともデートに夢中になり今回の臣下の努力を水の泡にしたら許しませんよ…絶対に」
連日連夜の激務を無駄にしたら殺すとばかりに言い切る宰相の気迫は本物で、初デートに浮かれていた二人はコクコクと首を縦に振り従順の意を示す。
---カピパラ獣人に頂点は譲っているが、№2はウサギ獣人なのである。
******************************
マアラ妃はヅカ風のパンツ姿で屋台巡りを楽しんでいる。元騎士なので、立ち食いにも抵抗はないのだ。町娘に扮しているお付きの侍女も最初は『はしたないですよ』と注意していたが、今では一緒に笑いながら食べ歩きを楽しんでいる。
マアラは脳筋でおかしな言動も多々あるが、性格自体は決して悪くない。なので側妃と侍女の立場を超えて、友達のようにこの場を楽しめるのだ。
二人でキャッキャッと飴細工を選んでいると、ドンと誰かがマアラにぶつかって来た。
「イッター、この大女!ボーと立ってるんじゃねえ!」
自分で勝手にぶつかり転んだくせに悪態をついてくる少年が、衝撃でまだ起き上がれず地面に顔を伏せたままでいる。マアラは脳筋だが子供には優しい、仕方がないなぁと起き上がる為に手を差し伸べる。
「ごめんなさい、おチビちゃん。大丈夫?」
「誰が、おチビちゃんだ!大女、手を離…せ…じゃなくて、離さない!」
マアラの手を振り払おうとしていた少年は顔を上げるなり、マアラの手をガシッと握りしめた。慌てて侍女が少年の手を離そうとするが、今度はマアラの方が自分より小柄な少年にガバッと抱き着いている。
…周りから見ると、完全に痴女である。それもいたいけな少年を襲っている最上級にいけない部類だ。
隠れて護衛していた騎士達が素早く近づき、破廉恥な側妃を回収しようとするが、元騎士脳筋マアラは何故か味方である彼らをバッタ、バッタと倒していく。
もう侍女には明日の朝刊の一面が見え始める…『痴女側妃マアラ、少年を襲う』。
(マズイ、マズイ、この状況をどうにかしなくてわ)
誰か助けてくれと周りを見るが、マアラを止められる猛者は現れない。少年も恐怖で動けないのか逃げようとはしない。その時、低音で腹に響く声が聞こえてきた。
「これはどういうことだ、マアラ!」
変装したギルアとシルビアが騒ぎを聞き付けやって来たのだ。マアラ妃の暴行を目の前にしてギルアは怒りがこみ上げてくる。逆にシルビアは戸惑いを隠せないでいるが、ギルアが落ち着くように腕を掴み暴走させないようにしている。
早く状況を説明しなければと侍女がギルア達に足早に近づき話そうとした時、少年がギルアに向かって怒鳴りつけた。
「オイオイ、おっさんよ!彼女を呼び捨てにするんじゃねえ!僕の『番』だぞ!」
なんと少年とマアラは『番』だった。マアラは少年を襲っていたのではなく、『番』と会えた喜びでお互いに抱き合っていたのだ。それを邪魔しに来た護衛騎士を倒したのは、『番』を求める獣人の本能であったのだ。
マアラは少年だけを見つめ、甘い声で話し掛ける。
「少年、名前を教えてちょうだい♪」
「僕はネズミ獣人のドギオだ。マアラが名前でいい?あのおっさん誰?マアラの知り合いか、どんな関係だ!」
「あのおっさん?知らないわ。あんなのほっといて、私とお祭りを楽しまない?」
少年に『おっさん』呼びをされ、側妃には『知らないおっさん』扱いされるが、お忍びのギルアは耐える。本当に気づいていないのか、それとも敢えて無視しているのか分からないが、とにかく耐えている。今日の最優先事項は側妃の『番』確保だ。
そんなギルアには目もくれず、ドギオは壁を飾り付けている花を掴み取り、片膝をついてマアラに差し出す。
「お祭りを一緒に楽しむ前に言わせてくれ!俺の『番』、マアラ結婚するぞ―!」
「YES!私達は運命だわー」
ドラマの一場面のようにガシッと抱き合う二人だが、マアラが大柄でドギオが小柄なので、絵的には犯罪臭が漂ってくる。
(((オイオイ、お前は人妻だろー!!))))
マアラの身分を知っているお付きの者達は慌てて離そうとするが、ギルアに止められた。
こんなに早く側妃の『番』が見つかるとは嬉しい誤算である、ギルアはこのまま穏便に事を進めるべく指示を出す。
『二人を落ち着かせてから目立たないように王宮に連れてくるように』とお付きの者達に命令をし、『番』の仲を邪魔して抉れたら大変だとばかりに足早に去っていく。
困ったのは残された騎士と侍女…。
周りの野次馬に必死で言い訳をしている。
『痴女じゃありません。『番』なので犯罪でもありません、同意の上ですー』
本人達が言えばすぐに納得してもらえるのに、二人だけの世界に浸っていて、誤解と一緒に侍女達まで放置だ。
一時間後、なんとかその場を治め、二人を馬車に放り込み王宮へと向かうこと成功した。
「ところでドギオ、あなた何歳なの?」
マアラがドギオを膝の上に乗せて髪を撫でながら聞いている。
(((まだ聞いてなかったんかい!)))
あんなに長時間密着していたので、当然未成年でない事は確認済みで抱き合っていると思い込んでいた侍女達に衝撃が走る。
「僕は17歳だ。マアラ、姉さん女房だな!」
「そうね、なんかドキドキしちゃう♪」
驚愕の事実に固まる騎士と侍女…。
(((小柄なのはネズミ獣人だからと思っていたが、まさか子供だったとは…)))
慌てて、ドギオをマアラから引き離す。『番』とはいえ、未成年のうちに手を出したら犯罪者だ!
二人はブーブー文句を言っているが聞かない事にする。
兎に角、予定変更!王宮に行く前にドギオの両親も回収しなければ、全員もれなく『未成年者誘拐犯』になってしまう。公務で犯罪者になるなんて割に合わないどころの話ではない。
(((なんて仕事を押し付けるんだ!国王様もげろーーー)))
逃げたギルアに呪いの念を送りながら、泣く泣くドギオ両親探しを開始する。祭りで顔を知らない人を探すのは至難の業であった、なぜなら、唯一顔を知っているドギオがマアラといちゃついていて、まったく役に立たなかったからである。
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