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第1章 41 スカーレットの決意
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「スカーレット様っ!出てきてよろしかったのですかっ?!」
ブリジットが慌ててスカーレットの元へと駆け寄った。
「え、ええ・・・。だって私はチェスター家で家庭教師の仕事をさせて頂けるのだもの。どうせ、この屋敷にいられるのは後僅かだし・・・そ、それに何より・・・。」
不意にスカーレットはブランケットを被った身体をガタガタと振るわせると言った。
「わ、私は・・・もうアンドレア様がいる・・この屋敷に・・いたくなくて・・。」
そしてすすり泣いた。
「スカーレット様・・・っ!」
たまらずブリジットはスカーレットを強く抱きしめた。その様子を沈痛な面持ちで見つめるアーベルと弁護士。
「やはり・・・このお話は無理でしょうな・・・。私の方からお断りいたします・・。」
弁護士は足元に置かれたカバンを持ってソファから立ち上がろうとしたその時・・。
「お待ち下さいっ!」
突如スカーレットが大きな声を上げた。
「スカーレット様・・・。しかし・・・。」
弁護士の言葉を遮るようにスカーレットは言った。
「お願いです。どうかその話・・・受けさせてください。」
「ですが、今のスカーレット様には・・・。」
なおも言いよどむ弁護士にスカーレットは首を振った。
「いいえ、どうか聞いて下さい・・・。私の夢は・・・本当は教師になる事だったのです・・。でも、まだまだ女性の教師というのは少なく・・伯爵家の人間が教師にんるのを敬遠する風潮から・・断念して翻訳家の道を目指しました。でも・・本当は心のどこかではいまだに教師に夢が捨て切れなかったのです・・。ですからどうかお願いです。私に・・家庭教師を務めさせていただけますか?!」
「ですが・・スカーレット様・・・今の貴女は男性恐怖症に陥ってしまったのですよね?そのような状況では・・・。」
「そ、それは・・・そうなのですが・・・相手は小さな男の子ですよね?男性恐怖症を治すには・・小さな男の子から徐々に慣れていけば・・。」
「ですが・・・水を差すようですが・・男性は他にもいるのですよ?その方々とはどのように対応されるおつもりですか?」
「そ、それは・・・。」
スカーレットはうつむきながら言った。
「だ、誰か・・・他に女性がいてくれれば・・・。」
「ですが・・それは難しいお話でしょう・・。」
「あ・・・。」
弁護士の話にスカーレッとの顔はたちまち曇る。それを見ながらブリジットは思った。
(ああ・・なんてお可哀そうなスカーレット様・・・。私が・・そばにいられれば・・!)
ブリジットはエプロンの裾をギュッと握りしめながら思った。
「伝えていただけますか・・?」
スカーレットが声を振り絞るように言う。
「伝える・・・何をですか・・・?」
弁護士は眉をひそめる。
「私が・・・男性恐怖症だという話です・・。理由もお話頂いて結構です。」
「え?!スカーレット様っ!一体何を言い出すのですかっ?!」
これに驚いたのはアーベルだった。
(嫁入り前の独身貴族女性が・・男性に襲われそうになったのだ・・。こんな不名誉な話が広まれば、スカーレット様は貴族社会にはいられなくなるかもしれない。それなのに・・・男性恐怖症に陥った経緯をチェスター家に報告しても構わないとおっしゃるなど・・・っ!)
「よろしいのですか・・・本当に・・?」
弁護士は念を押した。
「はい、問題ありません。」
「い、いけませんっ、スカーレット様っ!」
アーベルは必至で止めた。するとスカーレットは一瞬ビクリと体を振るわせたが・・・言った。
「いいの・・・もし、これでチェスター侯爵家が私を受け入れてくれなければそれまで、でもそれでも理解を示してくださるのなら・・私は誠心誠意心を込めて務めさせていただきます・・!」
スカーレットはブランケットを外すと言った―。
ブリジットが慌ててスカーレットの元へと駆け寄った。
「え、ええ・・・。だって私はチェスター家で家庭教師の仕事をさせて頂けるのだもの。どうせ、この屋敷にいられるのは後僅かだし・・・そ、それに何より・・・。」
不意にスカーレットはブランケットを被った身体をガタガタと振るわせると言った。
「わ、私は・・・もうアンドレア様がいる・・この屋敷に・・いたくなくて・・。」
そしてすすり泣いた。
「スカーレット様・・・っ!」
たまらずブリジットはスカーレットを強く抱きしめた。その様子を沈痛な面持ちで見つめるアーベルと弁護士。
「やはり・・・このお話は無理でしょうな・・・。私の方からお断りいたします・・。」
弁護士は足元に置かれたカバンを持ってソファから立ち上がろうとしたその時・・。
「お待ち下さいっ!」
突如スカーレットが大きな声を上げた。
「スカーレット様・・・。しかし・・・。」
弁護士の言葉を遮るようにスカーレットは言った。
「お願いです。どうかその話・・・受けさせてください。」
「ですが、今のスカーレット様には・・・。」
なおも言いよどむ弁護士にスカーレットは首を振った。
「いいえ、どうか聞いて下さい・・・。私の夢は・・・本当は教師になる事だったのです・・。でも、まだまだ女性の教師というのは少なく・・伯爵家の人間が教師にんるのを敬遠する風潮から・・断念して翻訳家の道を目指しました。でも・・本当は心のどこかではいまだに教師に夢が捨て切れなかったのです・・。ですからどうかお願いです。私に・・家庭教師を務めさせていただけますか?!」
「ですが・・スカーレット様・・・今の貴女は男性恐怖症に陥ってしまったのですよね?そのような状況では・・・。」
「そ、それは・・・そうなのですが・・・相手は小さな男の子ですよね?男性恐怖症を治すには・・小さな男の子から徐々に慣れていけば・・。」
「ですが・・・水を差すようですが・・男性は他にもいるのですよ?その方々とはどのように対応されるおつもりですか?」
「そ、それは・・・。」
スカーレットはうつむきながら言った。
「だ、誰か・・・他に女性がいてくれれば・・・。」
「ですが・・それは難しいお話でしょう・・。」
「あ・・・。」
弁護士の話にスカーレッとの顔はたちまち曇る。それを見ながらブリジットは思った。
(ああ・・なんてお可哀そうなスカーレット様・・・。私が・・そばにいられれば・・!)
ブリジットはエプロンの裾をギュッと握りしめながら思った。
「伝えていただけますか・・?」
スカーレットが声を振り絞るように言う。
「伝える・・・何をですか・・・?」
弁護士は眉をひそめる。
「私が・・・男性恐怖症だという話です・・。理由もお話頂いて結構です。」
「え?!スカーレット様っ!一体何を言い出すのですかっ?!」
これに驚いたのはアーベルだった。
(嫁入り前の独身貴族女性が・・男性に襲われそうになったのだ・・。こんな不名誉な話が広まれば、スカーレット様は貴族社会にはいられなくなるかもしれない。それなのに・・・男性恐怖症に陥った経緯をチェスター家に報告しても構わないとおっしゃるなど・・・っ!)
「よろしいのですか・・・本当に・・?」
弁護士は念を押した。
「はい、問題ありません。」
「い、いけませんっ、スカーレット様っ!」
アーベルは必至で止めた。するとスカーレットは一瞬ビクリと体を振るわせたが・・・言った。
「いいの・・・もし、これでチェスター侯爵家が私を受け入れてくれなければそれまで、でもそれでも理解を示してくださるのなら・・私は誠心誠意心を込めて務めさせていただきます・・!」
スカーレットはブランケットを外すと言った―。
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