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第108話 新しい暮らし
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カイが用意してくれた屋敷での生活は快適だった。私とカイが到着したその日のうちに、お父様とお母様も必要最低限な荷物だけ持って訪れた。この屋敷には必要なものは何でも揃っていたからだ。エテルノ侯爵家の使用人の人達はお父様とお母様が城に帰ってくるまで、留守を守ってくれることになっていた。2人が城に帰ってくるまで…とは、恐らく私の命が尽きるまでの事を言っているのだろう。けれどもその事を口にする人は誰もいなかった…。
毎食、豪華で温かな食事が用意され…それを私とカイ。そしてお父様とお母様との4人で食卓を囲んでの一家団欒の時間はとても幸せを感じた。
ヨハン先生とウォルター様は交代で私の治療の為に往診に訪れてくれている。そしてウォルター様からはマルセル様と先生の様子を、ヨハン先生からはケリーの様子を聞かせてもらえた。
夜は毎晩カイと同じベッドにはいり、2人で手を繋ぎ合って眠りに就いた。この屋敷に着いた初めての夜、私は白血病のせいで妻としての夜の努めを果たすことが出来ずに申し訳なくて泣いてしまったが、カイはそんな私に優しく笑いながら語りかけてくれた。
『アゼリアと結婚したのは、そんな事を望む為じゃないよ。ただ、君を愛しているから…側にいたいと思ったから結婚したんだよ。だから泣かないでいいんだよ』
そう言ってカイは愛しているよと言って、泣きじゃくる私を胸に抱きしめてくれた。
カイ…こんな身体の私なのに…愛してくれてありがとう。私は今とても幸せです―。
そして、約束の日曜日がやってきた―。
****
9月半ばの良く晴れた日曜の朝―。
「アゼリア、教会へ行く準備は出来たかな?」
コンコンとノックをしながら部屋に現れたのは、私の愛する夫のカイ。
「ええ、出来たわ。昨日はヨハン先生にいつもよりも多めの点滴と輸血治療をしてもらえたから、気分がとてもいいの。この様子なら教会へ行っても子どもたちに私の病気の事がバレないと思うわ」
ドレッサーの前に座っていた私は手にしていたブラシを置くと返事をした。そんな様子の私をカイは笑みを浮かべながら近づいてくる。そして私の頬に手を当てると言った。
「うん、そうだね。顔色もいいし…元気そうに見える。それじゃ、そろそろ行こうか?実はアゼリアにはゆっくり教会に行ってもらおうかと思って、僕達以外の人達は全員もう教会へ向かっているんだよ」
「え?そうだったの…?てっきり私はお父様とお母様も一緒に教会へ向かうのかと思っていたのだけど…」
「うん。お2人はね、先に教会へ行ってシスター達にご挨拶がしたいと言っていたんだよ。だから先に行ってるんだよ」
「そうなの…お父様やお母様にも気を使わせてしまっているのね…」
「アゼリア…」
すると突然カイが私を抱きかかえた。
「キャッ!な、何?」
「僕達も行こう。馬車まで抱きかかえて行ってあげるから」
「カ、カイ…馬車までなら1人で歩けるから…大丈夫よ?」
顔を真っ赤にさせるとカイが言った。
「今日は…長丁場になるかもしれないからね。出来るだけアゼリアは疲れないようにしていないといけないんだよ」
「え…?長丁場…?それだけ長い間、教会にいるって言うこと?」
私が尋ねてもカイは優しい笑みを浮かべるだけで、曖昧に言った。
「うん…まぁ、そう言うことだよ。それじゃ、行こう。皆が…僕達の事を待っているから」
私は首を傾げた。
「皆…?」
お父様やお母様…それにヨハン先生たちの事を言っているのだろうか…?
「あ、あのね、カイ…」
しかし、その後の言葉は続けることが出来なかった。カイがキスをして私の唇を塞いだからだ。
カイ…。
私はカイの首に腕を回す。
キスの後…カイは私からそっと唇を離すと言った。
「行こう、アゼリア」
と―。
毎食、豪華で温かな食事が用意され…それを私とカイ。そしてお父様とお母様との4人で食卓を囲んでの一家団欒の時間はとても幸せを感じた。
ヨハン先生とウォルター様は交代で私の治療の為に往診に訪れてくれている。そしてウォルター様からはマルセル様と先生の様子を、ヨハン先生からはケリーの様子を聞かせてもらえた。
夜は毎晩カイと同じベッドにはいり、2人で手を繋ぎ合って眠りに就いた。この屋敷に着いた初めての夜、私は白血病のせいで妻としての夜の努めを果たすことが出来ずに申し訳なくて泣いてしまったが、カイはそんな私に優しく笑いながら語りかけてくれた。
『アゼリアと結婚したのは、そんな事を望む為じゃないよ。ただ、君を愛しているから…側にいたいと思ったから結婚したんだよ。だから泣かないでいいんだよ』
そう言ってカイは愛しているよと言って、泣きじゃくる私を胸に抱きしめてくれた。
カイ…こんな身体の私なのに…愛してくれてありがとう。私は今とても幸せです―。
そして、約束の日曜日がやってきた―。
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9月半ばの良く晴れた日曜の朝―。
「アゼリア、教会へ行く準備は出来たかな?」
コンコンとノックをしながら部屋に現れたのは、私の愛する夫のカイ。
「ええ、出来たわ。昨日はヨハン先生にいつもよりも多めの点滴と輸血治療をしてもらえたから、気分がとてもいいの。この様子なら教会へ行っても子どもたちに私の病気の事がバレないと思うわ」
ドレッサーの前に座っていた私は手にしていたブラシを置くと返事をした。そんな様子の私をカイは笑みを浮かべながら近づいてくる。そして私の頬に手を当てると言った。
「うん、そうだね。顔色もいいし…元気そうに見える。それじゃ、そろそろ行こうか?実はアゼリアにはゆっくり教会に行ってもらおうかと思って、僕達以外の人達は全員もう教会へ向かっているんだよ」
「え?そうだったの…?てっきり私はお父様とお母様も一緒に教会へ向かうのかと思っていたのだけど…」
「うん。お2人はね、先に教会へ行ってシスター達にご挨拶がしたいと言っていたんだよ。だから先に行ってるんだよ」
「そうなの…お父様やお母様にも気を使わせてしまっているのね…」
「アゼリア…」
すると突然カイが私を抱きかかえた。
「キャッ!な、何?」
「僕達も行こう。馬車まで抱きかかえて行ってあげるから」
「カ、カイ…馬車までなら1人で歩けるから…大丈夫よ?」
顔を真っ赤にさせるとカイが言った。
「今日は…長丁場になるかもしれないからね。出来るだけアゼリアは疲れないようにしていないといけないんだよ」
「え…?長丁場…?それだけ長い間、教会にいるって言うこと?」
私が尋ねてもカイは優しい笑みを浮かべるだけで、曖昧に言った。
「うん…まぁ、そう言うことだよ。それじゃ、行こう。皆が…僕達の事を待っているから」
私は首を傾げた。
「皆…?」
お父様やお母様…それにヨハン先生たちの事を言っているのだろうか…?
「あ、あのね、カイ…」
しかし、その後の言葉は続けることが出来なかった。カイがキスをして私の唇を塞いだからだ。
カイ…。
私はカイの首に腕を回す。
キスの後…カイは私からそっと唇を離すと言った。
「行こう、アゼリア」
と―。
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