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ケリーの章 ㉚ 待ちわびていたプロポーズ <完>
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その手紙はアゼリア様がまだ少しお元気だった頃に書かれた手紙だった。何故なら文字の震えも無く、美しい字体で書かれていたからだ。
私はアゼリア様の手紙を読み始めた―。
『ケリー。この手紙を読んでいるという事は今日は貴女の結婚式なのね?お相手は誰かしら?私の予想ではヨハン先生だと思うのだけれど、もし違っていたらごめんなさい。でも、例え相手がどんな方であろうともケリーが選んだ人なのだから、きっと素晴らしい男性なのでしょうね?
私はカイとは短い結婚生活になってしまったけれども、貴女には末永く夫となる人と幸せに暮らせることを心から祈っています。
ケリー。
このウェディングドレスは貴女にあげます。私からの結婚祝いと思って受け取って下さい。唯一の心残りはケリーのドレス姿を見ることが出来ないことです。
ケリーの幸せを心よりお祈り申し上げます。
アゼリア』
「ア、アゼリア様…」
私の目から涙が後から後から流れてくる。アゼリア様が私をどれだけ大切に思ってくれていたのか…。もっともっと長生きして欲しかった。だって私はアゼリア様が大好きだったから…。
すると、ローラさんが私に声を掛けてきた。
「ケリー。もうそろそろ泣き止まないと。ドレスを着てお化粧することが出来ないでしょう?ヨハン先生をお待たせしてしまうわよ?」
「は、はい…そうですね」
私は涙をぬぐって返事をした―。
****
ローラさんにお化粧をしてもらい、シスターアンジュが私の髪をセットしてくれた。そしてアゼリア様のウェディングドレスを着用して控室から出てくると、驚いた事に、そこには正装姿のイングリット様の姿があった。
「イングリット様…!」
「ケリー…本当に何て素敵なの…。とっても綺麗よ?」
イングリット様は笑みを浮かべて私を見ると言った。
「まさか、来てくださるとは思いませんでした…。マルセル様はお元気にしてらっしゃいますか?」
「ええ、元気にしているわ。実は一緒に来ているのよ?今ヨハン先生の所に顔を出しているはずだから」
「そうだったのですか…」
「ケリー。それじゃ礼拝堂へ行きましょう」
背後からシスターアンジュが声を掛けてくる。
「はい、行きます!」
私は笑顔で返事をした。
****
厳かなパイプオルガンの音色が礼拝堂に響き渡っている。オルガンを弾いているのはオリバーさんとローラさんの長女であるメロディだ。彼女はヤンと同じ小学校に通う同級生である。
「…っ!」
聖堂に足を踏み入れた私は驚いてしまった。何故なら中には大勢の参列客たちが椅子に座り、入場してきた私をじっと見つめていたからだ。皆診療所の患者さん達ばかりだった。その中にはマルセル様とイングリット様。オリバーさん家族やベンジャミン様もいた。
まさか、皆さんが来てくださるなんて…ひょっとするとオリバーさんが呼んだのだろうか?
そして私は正面に目を向け…息を飲んだ。そこには真っ白の燕尾服に身を包んだヨハン先生が私を優しい目で見つめていたからだ。
ヨハン先生…っ!
「行きましょう、ケリー」
シスターアンジュに促される。
「はい!」
私は頷くと、シスターアンジュに手を引かれ…一歩ずつ、愛するヨハン先生の元へと歩き始める。
天国のアゼリア様…見ていてくれていますか?
アゼリア様のお陰で私はヨハン先生と知り合うことが出来ました。そしてアゼリア様の予想通り、私は今日、ヨハン先生と結婚します。
必ず幸せになるのでどうか心配しないで下さいね。
私は天国にいるアゼリア様に思いを馳せた―。
<完>
次話からマルセルの話になります
私はアゼリア様の手紙を読み始めた―。
『ケリー。この手紙を読んでいるという事は今日は貴女の結婚式なのね?お相手は誰かしら?私の予想ではヨハン先生だと思うのだけれど、もし違っていたらごめんなさい。でも、例え相手がどんな方であろうともケリーが選んだ人なのだから、きっと素晴らしい男性なのでしょうね?
私はカイとは短い結婚生活になってしまったけれども、貴女には末永く夫となる人と幸せに暮らせることを心から祈っています。
ケリー。
このウェディングドレスは貴女にあげます。私からの結婚祝いと思って受け取って下さい。唯一の心残りはケリーのドレス姿を見ることが出来ないことです。
ケリーの幸せを心よりお祈り申し上げます。
アゼリア』
「ア、アゼリア様…」
私の目から涙が後から後から流れてくる。アゼリア様が私をどれだけ大切に思ってくれていたのか…。もっともっと長生きして欲しかった。だって私はアゼリア様が大好きだったから…。
すると、ローラさんが私に声を掛けてきた。
「ケリー。もうそろそろ泣き止まないと。ドレスを着てお化粧することが出来ないでしょう?ヨハン先生をお待たせしてしまうわよ?」
「は、はい…そうですね」
私は涙をぬぐって返事をした―。
****
ローラさんにお化粧をしてもらい、シスターアンジュが私の髪をセットしてくれた。そしてアゼリア様のウェディングドレスを着用して控室から出てくると、驚いた事に、そこには正装姿のイングリット様の姿があった。
「イングリット様…!」
「ケリー…本当に何て素敵なの…。とっても綺麗よ?」
イングリット様は笑みを浮かべて私を見ると言った。
「まさか、来てくださるとは思いませんでした…。マルセル様はお元気にしてらっしゃいますか?」
「ええ、元気にしているわ。実は一緒に来ているのよ?今ヨハン先生の所に顔を出しているはずだから」
「そうだったのですか…」
「ケリー。それじゃ礼拝堂へ行きましょう」
背後からシスターアンジュが声を掛けてくる。
「はい、行きます!」
私は笑顔で返事をした。
****
厳かなパイプオルガンの音色が礼拝堂に響き渡っている。オルガンを弾いているのはオリバーさんとローラさんの長女であるメロディだ。彼女はヤンと同じ小学校に通う同級生である。
「…っ!」
聖堂に足を踏み入れた私は驚いてしまった。何故なら中には大勢の参列客たちが椅子に座り、入場してきた私をじっと見つめていたからだ。皆診療所の患者さん達ばかりだった。その中にはマルセル様とイングリット様。オリバーさん家族やベンジャミン様もいた。
まさか、皆さんが来てくださるなんて…ひょっとするとオリバーさんが呼んだのだろうか?
そして私は正面に目を向け…息を飲んだ。そこには真っ白の燕尾服に身を包んだヨハン先生が私を優しい目で見つめていたからだ。
ヨハン先生…っ!
「行きましょう、ケリー」
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「はい!」
私は頷くと、シスターアンジュに手を引かれ…一歩ずつ、愛するヨハン先生の元へと歩き始める。
天国のアゼリア様…見ていてくれていますか?
アゼリア様のお陰で私はヨハン先生と知り合うことが出来ました。そしてアゼリア様の予想通り、私は今日、ヨハン先生と結婚します。
必ず幸せになるのでどうか心配しないで下さいね。
私は天国にいるアゼリア様に思いを馳せた―。
<完>
次話からマルセルの話になります
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