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マルセルの章 ㉟ 君に伝えたかった言葉
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「はい、実はイングリット嬢との事はそもそも誤解なのです」
「誤解?」
母が問いかけて来た。
「はい。彼女の御両親が俺とイングリット嬢が交際していると勘違いされてしまった事がそもそもの原因なのです」
「一体どういう事なの?」
そこで俺は今までの経緯を全て話した。元々はアゼリアがきっかけで知り合った事、アゼリアやカイ…そしてヨハン先生と仲間たちとピクニックへ行くときはアゼリアと友人になったイングリット嬢も集まり、顔を合わせていたこと。2人きりで話をするきっかけになったのが…アゼリアのお葬式だった事。
そしてイングリット嬢の両親と顔を合わす要因になった一連の出来事を全て話した。
「…」
母はそれらの話を黙って聞いていたが、やがてため息をつくと神妙な顔つきで俺に言った。
「マルセル…それはやはりお前が全ていけないわね」
「え?!お、俺がですかっ?!」
「ええ、そもそもお前の言動全てがイングリットさんと彼女の両親…そして婚約者であったブライアン氏の誤解を招いたのよ。その事に気付いていないの?それに使用人達も皆口を揃えて言っていたわ。『マルセル様に恋人が出来た』と。私でさえ勘違いしそうになったわ。貴方はイングリット嬢の事を好きなのではないかとね」
「そ、そんな…」
だが、カイも俺とイングリット嬢の事を恋人同士だと思っていた。俺とイングリット嬢は良い雰囲気に見えたと…。
「マルセル、恋人でもないイングリット嬢と今夜2人で雰囲気の良いレストランへ行ったそうね?」
「は、はい。その通りです…」
「何の為に会っていたの?」
「そ、それは…イングリット嬢と会って彼女の両親の誤解をどのように話して解けばいいかを相談する為です」
「だったら喫茶店で十分だったのではなくて?そんなムードある場所に食事に誘われたら女性は大抵勘違いするものよ?相手に好意を持っていれば尚更ね?」
「え?イングリット嬢が俺に好意を…?」
「マルセル…貴方はそんな事にも気付いていなかったの?少なくとも私の目にはそう映ったわ」
「…」
知らなかった…イングリット嬢が俺をそんな目で見ていたなんて…。いつまでもアゼリアの事を引きずっていたばかりに気付けなかったのだろうか…?
「それでイングリットさんに言ったのかしら?自分達は恋人同士では無いので、どうやって誤解を解こうか話し合いましょうって」
「い、いえ。その話は…していません。と言うか、出来なかったのです」
「なら何故イングリットさんの両親は怒って電話を掛けて来たのかしら?」
母が怪訝そうに首を傾げた。
「恐らく…原因は俺が医学部を目指すために『キーナ』へ面接を受けに行く話を今夜偶然店で出会ったカイと彼女の前で話をしたことだと思います」
「え?何ですって?!今の話は何?」
母が驚いた様に目を見開いた。
「はい、俺は…医者を目指します。明後日『キーナ』にある医学部の面接試験を受けに行きます。その試験に合格した暁には…会社を辞めて『キーナ』へ行きます。相談もせずに勝手に決めてしまって申し訳ございません!」
俺は母に頭を下げた―。
「誤解?」
母が問いかけて来た。
「はい。彼女の御両親が俺とイングリット嬢が交際していると勘違いされてしまった事がそもそもの原因なのです」
「一体どういう事なの?」
そこで俺は今までの経緯を全て話した。元々はアゼリアがきっかけで知り合った事、アゼリアやカイ…そしてヨハン先生と仲間たちとピクニックへ行くときはアゼリアと友人になったイングリット嬢も集まり、顔を合わせていたこと。2人きりで話をするきっかけになったのが…アゼリアのお葬式だった事。
そしてイングリット嬢の両親と顔を合わす要因になった一連の出来事を全て話した。
「…」
母はそれらの話を黙って聞いていたが、やがてため息をつくと神妙な顔つきで俺に言った。
「マルセル…それはやはりお前が全ていけないわね」
「え?!お、俺がですかっ?!」
「ええ、そもそもお前の言動全てがイングリットさんと彼女の両親…そして婚約者であったブライアン氏の誤解を招いたのよ。その事に気付いていないの?それに使用人達も皆口を揃えて言っていたわ。『マルセル様に恋人が出来た』と。私でさえ勘違いしそうになったわ。貴方はイングリット嬢の事を好きなのではないかとね」
「そ、そんな…」
だが、カイも俺とイングリット嬢の事を恋人同士だと思っていた。俺とイングリット嬢は良い雰囲気に見えたと…。
「マルセル、恋人でもないイングリット嬢と今夜2人で雰囲気の良いレストランへ行ったそうね?」
「は、はい。その通りです…」
「何の為に会っていたの?」
「そ、それは…イングリット嬢と会って彼女の両親の誤解をどのように話して解けばいいかを相談する為です」
「だったら喫茶店で十分だったのではなくて?そんなムードある場所に食事に誘われたら女性は大抵勘違いするものよ?相手に好意を持っていれば尚更ね?」
「え?イングリット嬢が俺に好意を…?」
「マルセル…貴方はそんな事にも気付いていなかったの?少なくとも私の目にはそう映ったわ」
「…」
知らなかった…イングリット嬢が俺をそんな目で見ていたなんて…。いつまでもアゼリアの事を引きずっていたばかりに気付けなかったのだろうか…?
「それでイングリットさんに言ったのかしら?自分達は恋人同士では無いので、どうやって誤解を解こうか話し合いましょうって」
「い、いえ。その話は…していません。と言うか、出来なかったのです」
「なら何故イングリットさんの両親は怒って電話を掛けて来たのかしら?」
母が怪訝そうに首を傾げた。
「恐らく…原因は俺が医学部を目指すために『キーナ』へ面接を受けに行く話を今夜偶然店で出会ったカイと彼女の前で話をしたことだと思います」
「え?何ですって?!今の話は何?」
母が驚いた様に目を見開いた。
「はい、俺は…医者を目指します。明後日『キーナ』にある医学部の面接試験を受けに行きます。その試験に合格した暁には…会社を辞めて『キーナ』へ行きます。相談もせずに勝手に決めてしまって申し訳ございません!」
俺は母に頭を下げた―。
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