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ヤンの章 ㉒ アゼリアの花に想いを寄せて
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僕とメロディは裏庭のベンチに座って2人で持ってきたお弁当を食べながら話をしていた。
「本当にヤンて鈍感よね~。女心に少しも気付かないんだから…それともアレかしら?初恋の人が忘れられないから他の女の子には興味が湧かないって事?」
メロディはスコーンを口に運びながら僕を見た。
初恋の人…。
僕の初恋の人はアゼリア様だ。アゼリア様は本当に綺麗で優しくて…僕はあの方が大好きだった。けれども目の前で息を引き取っていくアゼリア様に気付く事無く、僕はただ大好きな人を見つめるだけで、みすみす死なせてしまった。それがトラウマになっているのは自分でも十分過ぎる位分っていた。
「嘘っ?!や、やっぱり…そうだったのっ?!」
メロディは驚いた様子で僕を見た。
「うん…メロディの言う通りかも知れない…やっぱり僕はまだアゼリア様の事を忘れるなんて出来ないよ」
サンドイッチを口にしながらポツリと言った。
「全く…妬けるわね…」
「え?今、何か言った?」
「ううん、何でもないわ!」
メロディは首を振ると青空を見上げた。
「それにしても早いものね~後2カ月で卒業なんて」
「そうだね」
「ねぇ、ヤン。『ハイネ』行の話だけど…」
僕はまだベンジャミン先生の養子になるかどうかの話に結論を出せていなかった。だから代わりにメロディ自身の事を尋ねようと思った。
「そう言えばメロディはいつ『ハイネ』へ行くんだっけ?」
「え?卒業式の3日後よ」
「そうなんだ…。7月の15日に行くんだね。何時の汽車に乗るの?」
この日はアゼリア様の月命日の日だ。
「朝9時の汽車に乗るわ。え?それってもしかして…」
メロディが笑顔で僕を見た。
「うん。その時は駅まで見送りに行くよ」
「え…?見送り…?」
僕の言葉でメロディが一瞬で顔を曇らせる。
「え?ど、どうしたの?メロディ?」
「ううん…別に、何でも無いっ!」
メロディは何故か怒ったようにランチバックの中のお弁当を食べ始めた。
「ねぇ?ひょっとして…何か怒ってる?」
恐る恐る尋ねてみた。
「怒ってないわよ」
ぼそりと言いながら食事を続けるメロディ。
「そ、そう?なら…別に構わないけど…」
「そうよ。私の事はなーんにも気にする事無いわよ。この先もずーっとね」
何故か棘のある言い方が気になってしまった。だから僕は言った。
「そんな事出来ないよ。メロディは僕にとって大切な幼馴染だからね。ずっとこの先も…例え遠く離れ離れになったとしてもメロディの事はずっと気に掛けると思うよ」
「!」
するとメロディの肩がビクリと跳ねた。
「でも…それでも私は…一番になれないんでしょう?」
メロディの声が涙声だった。
「え…?メロディ…?」
一体どうしたんだろう?すると、突然メロディはベンチから立ち上がった。
「ど、どうしたの?」
驚いて尋ねると、メロディは僕の方を見ることなく言った。
「お昼を食べ終えたから…行くわ。後、今日は学校でピアノのレッスンをしてから帰るから、ヤンは先に帰っていて」
「え?メロディ?」
メロディは僕の返事を聞く前に、走り去ってしまった。
「メロディ…突然どうしたんだろう…?」
やっぱり僕がベンジャミン先生の養子縁組の誘いに結論が出せなくてメロディに話せないのが原因なのだろうか…?
『ハイネ』に行きたい気持ちはあるけれども、アゼリア様を見殺しにしてしまった僕にはそんな資格が無い…結局はそこにいきついてしまう。
「やっぱり…養子の話は断ろう」
決めた。学校から帰ったら、養子縁組の話は断る事をシスターアンジュに報告してからベンジャミン先生の弁護士事務所に行ってお断りしてこよう。
だけどある事がきっかけで世界観がひっくり返るとはこの時の僕は全く想像もしていなかった―。
「本当にヤンて鈍感よね~。女心に少しも気付かないんだから…それともアレかしら?初恋の人が忘れられないから他の女の子には興味が湧かないって事?」
メロディはスコーンを口に運びながら僕を見た。
初恋の人…。
僕の初恋の人はアゼリア様だ。アゼリア様は本当に綺麗で優しくて…僕はあの方が大好きだった。けれども目の前で息を引き取っていくアゼリア様に気付く事無く、僕はただ大好きな人を見つめるだけで、みすみす死なせてしまった。それがトラウマになっているのは自分でも十分過ぎる位分っていた。
「嘘っ?!や、やっぱり…そうだったのっ?!」
メロディは驚いた様子で僕を見た。
「うん…メロディの言う通りかも知れない…やっぱり僕はまだアゼリア様の事を忘れるなんて出来ないよ」
サンドイッチを口にしながらポツリと言った。
「全く…妬けるわね…」
「え?今、何か言った?」
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「それにしても早いものね~後2カ月で卒業なんて」
「そうだね」
「ねぇ、ヤン。『ハイネ』行の話だけど…」
僕はまだベンジャミン先生の養子になるかどうかの話に結論を出せていなかった。だから代わりにメロディ自身の事を尋ねようと思った。
「そう言えばメロディはいつ『ハイネ』へ行くんだっけ?」
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「そうなんだ…。7月の15日に行くんだね。何時の汽車に乗るの?」
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「うん。その時は駅まで見送りに行くよ」
「え…?見送り…?」
僕の言葉でメロディが一瞬で顔を曇らせる。
「え?ど、どうしたの?メロディ?」
「ううん…別に、何でも無いっ!」
メロディは何故か怒ったようにランチバックの中のお弁当を食べ始めた。
「ねぇ?ひょっとして…何か怒ってる?」
恐る恐る尋ねてみた。
「怒ってないわよ」
ぼそりと言いながら食事を続けるメロディ。
「そ、そう?なら…別に構わないけど…」
「そうよ。私の事はなーんにも気にする事無いわよ。この先もずーっとね」
何故か棘のある言い方が気になってしまった。だから僕は言った。
「そんな事出来ないよ。メロディは僕にとって大切な幼馴染だからね。ずっとこの先も…例え遠く離れ離れになったとしてもメロディの事はずっと気に掛けると思うよ」
「!」
するとメロディの肩がビクリと跳ねた。
「でも…それでも私は…一番になれないんでしょう?」
メロディの声が涙声だった。
「え…?メロディ…?」
一体どうしたんだろう?すると、突然メロディはベンチから立ち上がった。
「ど、どうしたの?」
驚いて尋ねると、メロディは僕の方を見ることなく言った。
「お昼を食べ終えたから…行くわ。後、今日は学校でピアノのレッスンをしてから帰るから、ヤンは先に帰っていて」
「え?メロディ?」
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「メロディ…突然どうしたんだろう…?」
やっぱり僕がベンジャミン先生の養子縁組の誘いに結論が出せなくてメロディに話せないのが原因なのだろうか…?
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「やっぱり…養子の話は断ろう」
決めた。学校から帰ったら、養子縁組の話は断る事をシスターアンジュに報告してからベンジャミン先生の弁護士事務所に行ってお断りしてこよう。
だけどある事がきっかけで世界観がひっくり返るとはこの時の僕は全く想像もしていなかった―。
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