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第1章 39 昨夜の名残と苦いコーヒー
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その夜―
私は訳が分からないまま、拓也さんに抱かれた。彼は私の耳元で愛を囁き、そして時折、今にも泣きそうな表情を浮かべながら優しく私を抱いた。
まるで私が初めてだったのを最初から知っていたかのように―。
「う~ん…」
カーテンの隙間から一筋の朝日が私の顔に差し込み、ふと目が覚めた。
「朝…?」
気づけばいつの間にか眠ってしまっていたようで、ゆっくり目を開け…ため息をついた。隣にあった温もりが消えていたからだ。拓也さんはベッドの上から消えていた。
私が眠っている間に出て行ってしまったのだ。
「…目が覚めるまで…傍にいてくれても良かったのに…」
それともあれは夢だったのだろうか?拓也さんを恋い焦がれるあまり、あんな夢を…。けれど私は服を着ていないし、の身体のあちこちには彼に愛された跡がしっかりと残されている。
…やっぱり夢なんかじゃなかったんだ。
「体がだるい…シャワー浴びよう…」
ベッドから起き上がると、私はシャワールームへ向かった―。
****
シャワーを浴び、着替えをすませて部屋に戻って時計を見るとすでに時刻は10時をとっくに過ぎていた。
「やだ…もうこんな時間だったんだ…」
けれど昨夜の名残?で身体がだるくて何もする気が起きなかった。
「洗濯だけはしなくちゃ…」
汚れたシーツを見ながら、私はため息をついた―。
「あー…コーヒーが美味しい…」
洗濯を回しながら、私は1人で安物のインスタントコーヒーを飲んでいた。
「…もう、当分会えないって…拓也さん、言ってたよね…?」
でも出来れば目が覚めるまでは傍にいてもらいたかった。ううん、欲を言えば2人で朝のコーヒーを一緒に飲みたかった。
何故なら私にはある夢があったからだ。
もし、誰かと初めて朝を迎える日は…2人で一緒にモーニングコーヒーを飲むという夢が…。
「結局…夢でおわっちゃったのか…」
酷いよ、拓也さん。
昨夜はあんなに何度も私の事を愛しているって言ってくれたのに…。
今朝のコーヒーは…何だかすごく苦く感じた―。
****
午後2時―
洗濯を干し終えた後も、どこへも出かける気力も無かった私は時間潰しでスマホの無料アプリゲームで遊んでいた。
その時―。
トゥルルルルル…
突然スマホに着信が入ってきた。
「え?も、もしかして拓也さんっ?!」
期待に胸を躍らせて、スマホをタップしてみると相手の電話番号は見たことも無い固定電話の番号だった。
「え…?誰だろう…?」
訝しみながらも私はスマホをタップした。
「もしもし…」
すると…。
『もしもし、お姉ちゃん?僕だよっ!』
電話から聞こえてきた声はたっくんだった―。
私は訳が分からないまま、拓也さんに抱かれた。彼は私の耳元で愛を囁き、そして時折、今にも泣きそうな表情を浮かべながら優しく私を抱いた。
まるで私が初めてだったのを最初から知っていたかのように―。
「う~ん…」
カーテンの隙間から一筋の朝日が私の顔に差し込み、ふと目が覚めた。
「朝…?」
気づけばいつの間にか眠ってしまっていたようで、ゆっくり目を開け…ため息をついた。隣にあった温もりが消えていたからだ。拓也さんはベッドの上から消えていた。
私が眠っている間に出て行ってしまったのだ。
「…目が覚めるまで…傍にいてくれても良かったのに…」
それともあれは夢だったのだろうか?拓也さんを恋い焦がれるあまり、あんな夢を…。けれど私は服を着ていないし、の身体のあちこちには彼に愛された跡がしっかりと残されている。
…やっぱり夢なんかじゃなかったんだ。
「体がだるい…シャワー浴びよう…」
ベッドから起き上がると、私はシャワールームへ向かった―。
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シャワーを浴び、着替えをすませて部屋に戻って時計を見るとすでに時刻は10時をとっくに過ぎていた。
「やだ…もうこんな時間だったんだ…」
けれど昨夜の名残?で身体がだるくて何もする気が起きなかった。
「洗濯だけはしなくちゃ…」
汚れたシーツを見ながら、私はため息をついた―。
「あー…コーヒーが美味しい…」
洗濯を回しながら、私は1人で安物のインスタントコーヒーを飲んでいた。
「…もう、当分会えないって…拓也さん、言ってたよね…?」
でも出来れば目が覚めるまでは傍にいてもらいたかった。ううん、欲を言えば2人で朝のコーヒーを一緒に飲みたかった。
何故なら私にはある夢があったからだ。
もし、誰かと初めて朝を迎える日は…2人で一緒にモーニングコーヒーを飲むという夢が…。
「結局…夢でおわっちゃったのか…」
酷いよ、拓也さん。
昨夜はあんなに何度も私の事を愛しているって言ってくれたのに…。
今朝のコーヒーは…何だかすごく苦く感じた―。
****
午後2時―
洗濯を干し終えた後も、どこへも出かける気力も無かった私は時間潰しでスマホの無料アプリゲームで遊んでいた。
その時―。
トゥルルルルル…
突然スマホに着信が入ってきた。
「え?も、もしかして拓也さんっ?!」
期待に胸を躍らせて、スマホをタップしてみると相手の電話番号は見たことも無い固定電話の番号だった。
「え…?誰だろう…?」
訝しみながらも私はスマホをタップした。
「もしもし…」
すると…。
『もしもし、お姉ちゃん?僕だよっ!』
電話から聞こえてきた声はたっくんだった―。
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