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第2章 42 過去を確認する為に
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「教授…本日中にタイムトラベルすることが出来るでしょうか?」
腕につけていた磁場発生装置を取り外すと、机の上に置いた。
もう教授の話を聞いて、いても立ってもいられなくなった。
もし可能なら…今すぐにでも過去に戻らなければ…!
「待ってろ。すぐに確認する」
教授は手にしていた数冊の本を乱暴に置くと、机の上に置いた磁場発生装置を改めた。
「う~ん…バッテリーの残量が少し心もとないな…。1時間くらいは充電した方が良さそうだ」
「そうですか、1時間ですね?!」
すぐに充電器に磁場発生装置を取り付けると、教授が声を掛けてきた。
「それで?上野。今回は過去で一体何をしてきたんだ?」
「はい。実は…」
俺は教授に説明を始めた―。
****
「成程…子供時代のお前が父親からひどい虐待を受けていたのか…」
教授はコーヒーを飲んだ。
「ええ…。そうです。そして助けた時、子供時代の俺が言ったんです。『もう…お母さんの所へ行きたい…』と…」
いい終えると俯いて歯を食いしばった。
「そうか…可哀想に…っと、大人になった本人を前に言うのもおかしな台詞だな」
教授は苦笑しながら俺を見た。
「ええ、本当にその通りですよ。それでこのままここに置いておいたら、絶対に危険だと思って…自分が育った養護施設に電話を入れて通報したのです」
「なるほどな…確かにそうなると、南彩花はもう子供時代のお前に関わることも、命の危機に脅かされることも無くなった…はず。というわけか…。だが、忘れたわけではあるまい?前回のタイムトラベルでは南彩花は誰に殺された?お前の父親ではないだろう?」
「ええ。そうです。彩花は…職場の椎名と不倫関係にあって…別れ話のもつれから…殺された…。でも今回は彩花と椎名は不倫関係ではなかったんです。だから俺は大丈夫だと思って…」
「いいか?とにかく南彩花は6月9日には死んでしまう過去を繰り返しているのだ。何があるか分からない…。油断するな」
「はい…」
そしてその後も、俺と教授の話は続き…1時間が経過した―。
****
「教授…別についてきてもらわなくても良かったんですよ?」
午後4時―
俺と教授は『時巡神社』に立っていた。
「今回は15年前の6月10日に戻るからな…どんな結果になっているか興味がある。いいか?必ず…過去を確認したらこの時間に戻ってくるんだぞ?」
「ええ、分かっています。それでは教授…行ってきます」
「ああ、行って来い」
俺は磁場発生装置をタップした。
途端に辺りに立ち込める霧。
待ってろよ彩花。お前の無事を確認する為に今から会いにいくからな。
そして鳥居をくぐり抜けた。
この時の俺はまだ楽観的に考えていた。
この後、驚くべき結果が待ち受けていたとは知る由もなく―。
腕につけていた磁場発生装置を取り外すと、机の上に置いた。
もう教授の話を聞いて、いても立ってもいられなくなった。
もし可能なら…今すぐにでも過去に戻らなければ…!
「待ってろ。すぐに確認する」
教授は手にしていた数冊の本を乱暴に置くと、机の上に置いた磁場発生装置を改めた。
「う~ん…バッテリーの残量が少し心もとないな…。1時間くらいは充電した方が良さそうだ」
「そうですか、1時間ですね?!」
すぐに充電器に磁場発生装置を取り付けると、教授が声を掛けてきた。
「それで?上野。今回は過去で一体何をしてきたんだ?」
「はい。実は…」
俺は教授に説明を始めた―。
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「成程…子供時代のお前が父親からひどい虐待を受けていたのか…」
教授はコーヒーを飲んだ。
「ええ…。そうです。そして助けた時、子供時代の俺が言ったんです。『もう…お母さんの所へ行きたい…』と…」
いい終えると俯いて歯を食いしばった。
「そうか…可哀想に…っと、大人になった本人を前に言うのもおかしな台詞だな」
教授は苦笑しながら俺を見た。
「ええ、本当にその通りですよ。それでこのままここに置いておいたら、絶対に危険だと思って…自分が育った養護施設に電話を入れて通報したのです」
「なるほどな…確かにそうなると、南彩花はもう子供時代のお前に関わることも、命の危機に脅かされることも無くなった…はず。というわけか…。だが、忘れたわけではあるまい?前回のタイムトラベルでは南彩花は誰に殺された?お前の父親ではないだろう?」
「ええ。そうです。彩花は…職場の椎名と不倫関係にあって…別れ話のもつれから…殺された…。でも今回は彩花と椎名は不倫関係ではなかったんです。だから俺は大丈夫だと思って…」
「いいか?とにかく南彩花は6月9日には死んでしまう過去を繰り返しているのだ。何があるか分からない…。油断するな」
「はい…」
そしてその後も、俺と教授の話は続き…1時間が経過した―。
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「教授…別についてきてもらわなくても良かったんですよ?」
午後4時―
俺と教授は『時巡神社』に立っていた。
「今回は15年前の6月10日に戻るからな…どんな結果になっているか興味がある。いいか?必ず…過去を確認したらこの時間に戻ってくるんだぞ?」
「ええ、分かっています。それでは教授…行ってきます」
「ああ、行って来い」
俺は磁場発生装置をタップした。
途端に辺りに立ち込める霧。
待ってろよ彩花。お前の無事を確認する為に今から会いにいくからな。
そして鳥居をくぐり抜けた。
この時の俺はまだ楽観的に考えていた。
この後、驚くべき結果が待ち受けていたとは知る由もなく―。
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