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第2章 98 容疑者扱い
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警察の言葉に俺は自分の顔色が青ざめるのを感じた。
まさか……警察は俺を疑っているのかっ?!
「もしかして…あなた方は俺を疑っているのですか?まさか俺が彩花をあんな目に遭わせたとでもっ?!」
「……」
しかし、警察官は冷たい目で見るだけで何も答えない。その態度は肯定を意味するのだろう。
「何故ですかっ?!俺は……彩花の恋人なんですよっ?!それなのに何故俺を疑うんですかっ?!」
すると男は手帳を閉じると俺を見た。
「何故貴方を疑うか……?ですか?それは貴方の身元がどうも怪しいからですよ」
「え…?」
その言葉にドキリとした。
「覚えていますか?以前少年が父親に殴られて警察に通報しましたよね?その時色々貴方に質問をして、身分証明書の提示もお願いしましたよね?」
あ…まさか…?
身分証を偽造したことがバレてしまったのだろうか……?
俺の心の動揺が警察に伝わったのだろうか?
男はニヤリと笑った。
「まぁ……今はこの辺にしておきましょう。貴方の恋人が命に関わる手術をしている最中なのですから。でもまた来ますよ。貴方に会いに……ね」
男は意味深に笑うと、仲間の警察官に声を掛けた。
「よし、行こう」
そして3人の警察官は無言で背を向けると、立ち去って行った。
「……」
立ち去る警察官達の姿が見えなくなるまで俺は見届けていた。
「……くそっ!」
椅子に乱暴に座り込むと頭を抱えた。
「どうしよう……?一体どうすればいい?」
この時代に戻ってきたとき、身元を怪しまれないようにしなければとあれ程自分に言い聞かせていたのに……。
「駄目だ、きっと警察はまたすぐに来るに決まっている。もし身元の偽造がバレたら俺は捕まってしまうかもしれない……」
もし仮に捕まれば、もう彩花を助けるのは不可能だ。それどころか、もう二度と元の時代に戻れなくなる可能性もある。
「彩花……」
俺は手術室を見た。
手術中のランプはまだ消えていない。
彩花……。
頭がおかしくなりそうだった。
ただでさえ彩花のことが心配でたまらないのに、このうえ俺は更に警察から目をつけられてしまったのだ。
あまりこの世界に長居するのは危険だということは頭の中で理解出来ている。
大丈夫だ、彩花の『死』が運命で決まっているのならその日を迎えるのは6月9日と決まっている。
そして今はまだ4月にはいったばかり。
「そうだ…今回の事故は死ぬほどのものじゃないはずだ。きっと大丈夫に決まっている…」
祈るような気持ちで彩花の手術が終わるのを、誰もいない廊下の椅子で待ち続けた。
そしてこの後、俺は再び絶望を味わうことになる――。
まさか……警察は俺を疑っているのかっ?!
「もしかして…あなた方は俺を疑っているのですか?まさか俺が彩花をあんな目に遭わせたとでもっ?!」
「……」
しかし、警察官は冷たい目で見るだけで何も答えない。その態度は肯定を意味するのだろう。
「何故ですかっ?!俺は……彩花の恋人なんですよっ?!それなのに何故俺を疑うんですかっ?!」
すると男は手帳を閉じると俺を見た。
「何故貴方を疑うか……?ですか?それは貴方の身元がどうも怪しいからですよ」
「え…?」
その言葉にドキリとした。
「覚えていますか?以前少年が父親に殴られて警察に通報しましたよね?その時色々貴方に質問をして、身分証明書の提示もお願いしましたよね?」
あ…まさか…?
身分証を偽造したことがバレてしまったのだろうか……?
俺の心の動揺が警察に伝わったのだろうか?
男はニヤリと笑った。
「まぁ……今はこの辺にしておきましょう。貴方の恋人が命に関わる手術をしている最中なのですから。でもまた来ますよ。貴方に会いに……ね」
男は意味深に笑うと、仲間の警察官に声を掛けた。
「よし、行こう」
そして3人の警察官は無言で背を向けると、立ち去って行った。
「……」
立ち去る警察官達の姿が見えなくなるまで俺は見届けていた。
「……くそっ!」
椅子に乱暴に座り込むと頭を抱えた。
「どうしよう……?一体どうすればいい?」
この時代に戻ってきたとき、身元を怪しまれないようにしなければとあれ程自分に言い聞かせていたのに……。
「駄目だ、きっと警察はまたすぐに来るに決まっている。もし身元の偽造がバレたら俺は捕まってしまうかもしれない……」
もし仮に捕まれば、もう彩花を助けるのは不可能だ。それどころか、もう二度と元の時代に戻れなくなる可能性もある。
「彩花……」
俺は手術室を見た。
手術中のランプはまだ消えていない。
彩花……。
頭がおかしくなりそうだった。
ただでさえ彩花のことが心配でたまらないのに、このうえ俺は更に警察から目をつけられてしまったのだ。
あまりこの世界に長居するのは危険だということは頭の中で理解出来ている。
大丈夫だ、彩花の『死』が運命で決まっているのならその日を迎えるのは6月9日と決まっている。
そして今はまだ4月にはいったばかり。
「そうだ…今回の事故は死ぬほどのものじゃないはずだ。きっと大丈夫に決まっている…」
祈るような気持ちで彩花の手術が終わるのを、誰もいない廊下の椅子で待ち続けた。
そしてこの後、俺は再び絶望を味わうことになる――。
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