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第1章
第23話 メイリの夢の世界を描く
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食事が済んでから、部屋に絵の道具を取りに行く。道具箱の中に必要なものが揃っていることを確認してから食堂に戻ってきた。
試し書き用のカードサイズの小さい薄い板を道具箱から取り出す。在庫が8枚。
多少失敗しても何とかなるかなと思うけど、追加の板を準備しておきたいなぁ。
昼間に森で採取してきた木の枝を後で、絵描板用に切り出しておこう。
他の目的も有って色々な木を採取してきてるけど、お絵描き板も大事なんだよね。
道具箱の中の絵の具の入った小瓶を並べる。それと採取してきた赤と青のキノコと黄色い石。
キノコも石もナイフで削り取ってから、ぐりぐりと潰す。
水を少し足してさらにぐりぐりと潰すと赤と青と黄色の液体ができた。
「あ、青の色、良い感じ!」
テーブルの向こう側からメイリが覗き込んで言う。
「初めて使ってみるからこの色が維持できるかよくわからないんだ。すぐ色褪せちゃうかもしれない。」
「そうなのね。」
「まあ、試し描きだからね。」
他の絵の具の瓶も開けてみて中の状態を確認してから、細筆を手に取った。
最初に描き始めたのは、青色の髪をした令嬢だ。
僕のイメージでは、兄上よりちょっと年上っぽい感じ。さらさらした青色の髪が風に靡くのをほっそりとした指で軽く抑えている。
気丈な性格を表しているような目力がある瞳は、少し憂いを帯びている。
髪色よりは明るい青のドレス。何となく腰に短剣を身につけていて気が強いイメージ。
「わあ!凄い凄い!イメージぴったり!シェルたん!」
「シェルたん?」
「夢の中でそんな風に呼ばれてたの!」
メイリは興奮気味に描き上がったばかりの絵を手に取る。角度を変えたって見栄えは変わらないと思うのに、上に上げてみたり
ランプの近くに持ってきたりしている。
「まだ絵の具が乾いてないからね。」
「はい!」
そう頷くけど目線は描いたばかりの絵に注がれてうっとりした表情をしている。
きっと夢の中で見た物語を思い出しているんだろう。
「クリス兄様、次、王子でお願いします!」
「王子様、ね。」
今度は王子様の絵と並べて眺めたくなったらしい。いつものことだ。
青に黄色を混ぜてインテリメガネの髪色を作ろうと思ったけど、描く順番を指定されたので、先に王子様の制作だ。
王子様も年齢は令嬢と同じくらい。15歳ってところかな。あまりゴツゴツした感じじゃない。
品はあるけどちょっとわがままでヤンチャなイメージ。
森で採取してきた石から取り出した黄色を少し使って、手持ちの絵の具と合わせて金髪の柔らかい髪を表現。
瞳は青色。ちょうどさっき描いた令嬢のドレスの色だ。
瞳が青い人は水属性の人が多いのだけど、キリッとした目は情熱的な雰囲気もあって火魔法も似合いそう。そう思ってちょっと燃えているような火を背景にポーズ。表情はちょっとドヤ顔。そして目の下に小さくほくろを描く。
「わあ!良いです、良いです!流石です!」
メイリはかなり気に入ってくれたようだ。でもテンション上がりすぎじゃない?言葉遣いがちょっと変になってるぞ。
メイリが青い髪の令嬢の絵と王子様の絵を並べてうっとりしているのを横目に見ながら、筆を一度洗って次の絵の準備をする。
「次は……。」
青い色に少し黄色を混ぜる。更に茶色を少し。深緑色をパレットの上で作った。メイリから特に何も言ってこなかったので
そのままインテリメガネを描き始めた。
僕の中では、もうハロルド君のイメージなんだけど。ハロルド君が少し大人になった感じだと、ハロルド君に会う前に思い浮かんだ七三分の眼鏡男子の姿が思い浮かぶ。
七三分で神経質そうな表情で、眼鏡を指でクイっと持ち上げるポーズにしちゃおう。
「わわっ!イメージぴったり!ハル様。」
「ハル様って言うんだ。」
僕の手元を覗き込んで言うメイリに、絵の続きを書きながら応える。
「そう。ハル様。ハロルド様で通称ハル様よ。
「へーえ。」
インテリメガネは「ハロルド」って名前のイメージなのかな。
七三分の「ハル様」は先ほどあった、テッセン伯爵令息のハロルド様よりインテリ度が増した感じだ。賢そうだけど冷めている感がある。
ふと、水色の髪の少女と一緒の姿が思い浮かんだ。
インテリメガネのイメージとはだいぶ違うけれど、水色の髪の少女とニコニコ笑い合っているみたいなイメージ。
水色の色を調整して作りかけて手を止める。まずは、メイリのリクエストの分を描き上げてしまおう。
試し書き用のカードサイズの小さい薄い板を道具箱から取り出す。在庫が8枚。
多少失敗しても何とかなるかなと思うけど、追加の板を準備しておきたいなぁ。
昼間に森で採取してきた木の枝を後で、絵描板用に切り出しておこう。
他の目的も有って色々な木を採取してきてるけど、お絵描き板も大事なんだよね。
道具箱の中の絵の具の入った小瓶を並べる。それと採取してきた赤と青のキノコと黄色い石。
キノコも石もナイフで削り取ってから、ぐりぐりと潰す。
水を少し足してさらにぐりぐりと潰すと赤と青と黄色の液体ができた。
「あ、青の色、良い感じ!」
テーブルの向こう側からメイリが覗き込んで言う。
「初めて使ってみるからこの色が維持できるかよくわからないんだ。すぐ色褪せちゃうかもしれない。」
「そうなのね。」
「まあ、試し描きだからね。」
他の絵の具の瓶も開けてみて中の状態を確認してから、細筆を手に取った。
最初に描き始めたのは、青色の髪をした令嬢だ。
僕のイメージでは、兄上よりちょっと年上っぽい感じ。さらさらした青色の髪が風に靡くのをほっそりとした指で軽く抑えている。
気丈な性格を表しているような目力がある瞳は、少し憂いを帯びている。
髪色よりは明るい青のドレス。何となく腰に短剣を身につけていて気が強いイメージ。
「わあ!凄い凄い!イメージぴったり!シェルたん!」
「シェルたん?」
「夢の中でそんな風に呼ばれてたの!」
メイリは興奮気味に描き上がったばかりの絵を手に取る。角度を変えたって見栄えは変わらないと思うのに、上に上げてみたり
ランプの近くに持ってきたりしている。
「まだ絵の具が乾いてないからね。」
「はい!」
そう頷くけど目線は描いたばかりの絵に注がれてうっとりした表情をしている。
きっと夢の中で見た物語を思い出しているんだろう。
「クリス兄様、次、王子でお願いします!」
「王子様、ね。」
今度は王子様の絵と並べて眺めたくなったらしい。いつものことだ。
青に黄色を混ぜてインテリメガネの髪色を作ろうと思ったけど、描く順番を指定されたので、先に王子様の制作だ。
王子様も年齢は令嬢と同じくらい。15歳ってところかな。あまりゴツゴツした感じじゃない。
品はあるけどちょっとわがままでヤンチャなイメージ。
森で採取してきた石から取り出した黄色を少し使って、手持ちの絵の具と合わせて金髪の柔らかい髪を表現。
瞳は青色。ちょうどさっき描いた令嬢のドレスの色だ。
瞳が青い人は水属性の人が多いのだけど、キリッとした目は情熱的な雰囲気もあって火魔法も似合いそう。そう思ってちょっと燃えているような火を背景にポーズ。表情はちょっとドヤ顔。そして目の下に小さくほくろを描く。
「わあ!良いです、良いです!流石です!」
メイリはかなり気に入ってくれたようだ。でもテンション上がりすぎじゃない?言葉遣いがちょっと変になってるぞ。
メイリが青い髪の令嬢の絵と王子様の絵を並べてうっとりしているのを横目に見ながら、筆を一度洗って次の絵の準備をする。
「次は……。」
青い色に少し黄色を混ぜる。更に茶色を少し。深緑色をパレットの上で作った。メイリから特に何も言ってこなかったので
そのままインテリメガネを描き始めた。
僕の中では、もうハロルド君のイメージなんだけど。ハロルド君が少し大人になった感じだと、ハロルド君に会う前に思い浮かんだ七三分の眼鏡男子の姿が思い浮かぶ。
七三分で神経質そうな表情で、眼鏡を指でクイっと持ち上げるポーズにしちゃおう。
「わわっ!イメージぴったり!ハル様。」
「ハル様って言うんだ。」
僕の手元を覗き込んで言うメイリに、絵の続きを書きながら応える。
「そう。ハル様。ハロルド様で通称ハル様よ。
「へーえ。」
インテリメガネは「ハロルド」って名前のイメージなのかな。
七三分の「ハル様」は先ほどあった、テッセン伯爵令息のハロルド様よりインテリ度が増した感じだ。賢そうだけど冷めている感がある。
ふと、水色の髪の少女と一緒の姿が思い浮かんだ。
インテリメガネのイメージとはだいぶ違うけれど、水色の髪の少女とニコニコ笑い合っているみたいなイメージ。
水色の色を調整して作りかけて手を止める。まずは、メイリのリクエストの分を描き上げてしまおう。
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