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「初めまして。ローズマリー・マーカムと申します。聖女に選ばれましたこと、とても光栄に存じます。これからよろしくお願いいたします」
そう言ってローズマリーはカーテシーをする。パトリシアに劣らない優雅な姿だった。輝くような金髪にエメラルドの瞳の美しい娘だ。
「教会へようこそ。新たな聖女様を歓迎しますぞ。私は聖女付きの司教ドミニクです。これから四年間、聖女様にお仕えします」
「司教様、どうぞよろしくお願いいたします」
ローズマリーが微笑むと優し気な雰囲気が漂う。
――これはあたりかな?
私はすこしほっとして微笑んで言った。
「聖女様はマーカム伯爵家のご出身なのですな。伯爵領は肥沃な土地が広がっていると聞きます」
「ええ。父は王都の食糧庫を自負しておりますわ」
マーカム伯爵領は王国の最南端に位置する、小麦の国内最大の生産地である。北部に位置する王都からずいぶん遠いその辺境の地でローズマリーは生まれ育ったと聞いた。先ほどのカーテシーやふるまいを見ると、高度な教育を受けたように見受けられる。優秀な家庭教師を雇ったのだろうか。
「聖女様、こちらはアンナ殿。これから一番近くで聖女様にお仕えします」
私はそばで控えていたアンナを聖女様に紹介する。アンナはその場で礼をしてローズマリーにあいさつした。
「アンナと申します。聖女様にお仕えできること、身に余る光栄でございます」
「よろしくね、アンナ」
「アンナ殿は代々の聖女様にお仕えしてきた侍女ですから、なんでも知っています。聖女様も頼りになさるといいですぞ」
「そういたしますわ」
こうして聖女ローズマリーとの初顔合わせはつつがなく終わった。ずっと私の背後に控えていた助手に尋ねる。
「アラン、新しい聖女に会った感想は?」
「すごく優しそうできれいな方ですね! 自分ファンになってしまいそうです」
ひそかに興奮していたらしいアランは勢いよく言った。瞳を輝かせるアランに少々あきれてしまう。
「お前はパトリシア様のファンだったんじゃないのか?」
「もちろんです! でも憧れの人は何人いてもいいですからね」
現金なやつだなと思い、苦笑して言った。
「これから四年間、ずっと憧れの存在でいてくれるのを願おう」
そう言ってローズマリーはカーテシーをする。パトリシアに劣らない優雅な姿だった。輝くような金髪にエメラルドの瞳の美しい娘だ。
「教会へようこそ。新たな聖女様を歓迎しますぞ。私は聖女付きの司教ドミニクです。これから四年間、聖女様にお仕えします」
「司教様、どうぞよろしくお願いいたします」
ローズマリーが微笑むと優し気な雰囲気が漂う。
――これはあたりかな?
私はすこしほっとして微笑んで言った。
「聖女様はマーカム伯爵家のご出身なのですな。伯爵領は肥沃な土地が広がっていると聞きます」
「ええ。父は王都の食糧庫を自負しておりますわ」
マーカム伯爵領は王国の最南端に位置する、小麦の国内最大の生産地である。北部に位置する王都からずいぶん遠いその辺境の地でローズマリーは生まれ育ったと聞いた。先ほどのカーテシーやふるまいを見ると、高度な教育を受けたように見受けられる。優秀な家庭教師を雇ったのだろうか。
「聖女様、こちらはアンナ殿。これから一番近くで聖女様にお仕えします」
私はそばで控えていたアンナを聖女様に紹介する。アンナはその場で礼をしてローズマリーにあいさつした。
「アンナと申します。聖女様にお仕えできること、身に余る光栄でございます」
「よろしくね、アンナ」
「アンナ殿は代々の聖女様にお仕えしてきた侍女ですから、なんでも知っています。聖女様も頼りになさるといいですぞ」
「そういたしますわ」
こうして聖女ローズマリーとの初顔合わせはつつがなく終わった。ずっと私の背後に控えていた助手に尋ねる。
「アラン、新しい聖女に会った感想は?」
「すごく優しそうできれいな方ですね! 自分ファンになってしまいそうです」
ひそかに興奮していたらしいアランは勢いよく言った。瞳を輝かせるアランに少々あきれてしまう。
「お前はパトリシア様のファンだったんじゃないのか?」
「もちろんです! でも憧れの人は何人いてもいいですからね」
現金なやつだなと思い、苦笑して言った。
「これから四年間、ずっと憧れの存在でいてくれるのを願おう」
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