島人物語~secret続編

文字の大きさ
168 / 181
ストーカー

しおりを挟む


—祐司side


12月25日


「あぁ、・・・そうか、わかった。では父にもその旨伝えておく」

そう言って電話を切った。


その日はOHのクリスマスパーティー。

俺は会場の奥の方で役員等と一緒に酒を飲む父の所へ行くと、
父は直ぐに俺に気付き、笑って持っていたワインを掲げる。

「社長、・・・大事な話があります。少しよろしいですか?」
そう言うと、父はニッコリ笑って、
「あぁ、・・・どうした???」
すると、周りの役員たちは直ぐに席を外してくれた。

クリスマスソングが流れる中、
「良い知らせです」
俺がそう笑うと・・・父は眉間にしわを寄せ、

「早く言いなさい、勿体ぶるなー・・・・」
父にとって、とてもいい知らせ。
それは、・・・・

「父さん、父さんは、・・・・」

俺が話し出すと、ワクワクする子供のように目を見開いて俺を見つめた。
「父さんは~・・・・来年の5月か6月頭に、・・・・・お爺ちゃんになります」


父はジーーーーーーッと俺を見つめ、持っていたグラスを・・・・

カラーーン!!!!!と・・・落とし、少し震えて俺を見た。

そう、さっき俺の電話に連絡してきたのは・・・沖縄に居る涼からだった。

『結城にプロポーズをし、OKをもらった』

という報告と、親父に子供が出来たと伝えてほしいと言われた。
遂に俺も・・・叔父さんになるのか。


「社長???・・・・大丈夫ですか?」
俺が言うと、父は両手で口を抑え固まった。
「はっ・・・・!!!!!」

え?
親父大丈夫???

親父は言葉を詰まらせ、でも直ぐに舞台上の司会者の方に走って行った。

ぇえっ????
まさか!!

「社長、ちょっとお待ちを!」

慌てて追いかけて行ったが、父は司会者のマイクを使い・・・・。

「皆----・・・聞いてくれぃ!!!!」

出た出た・・・・。
喜びを・・・隠せないタイプ。

でも、父は今まで見た事がないような笑顔で、

「俺は、・・・・俺は来年お爺ちゃんになるぞぉーーーーーー!!!」

そう言って手を上げて笑った。

会場に居る全スタッフは、一瞬シーーーーーン・・・・と固まって、
でも直ぐに、


「ぇええええ~ッ?!」

と、一気に沸いた。


さて、大騒ぎの会場を抜け外で一服しよう。

我が妹と涼の子供か・・・。
早速スマホを弄ってベビー用品を見てしまう俺。

父は幸いアナログな人だから、ネットで何かを買う癖は今のところない。
もしも、父がアマゾンやらを知ってしまった際には大変だ。

それだけは気を付けよう・・・。

喫煙所に行き煙草を出すと、そこには珍しく俊也の姿。

「あっ!祐司・・・・」

俊也はOHに復帰はしたが、レストランが忙しいとそっちも兼任し行ったり来たり。かなり忙しい男だ。
この時期は店が込み合うようで、最近OHには予約が入っている時だけ出社していた。

「お前久しぶりじゃないか、レストランは大丈夫なのか??」
俺がそう言うと、
「あぁ、まぁ落ち着いてるー・・・店も今年はもう休みにするからさ!」


そうか・・・。
頷いて煙を吐くと、
「あ~・・・あ、アイツら遂に結婚か、いいなぁー・・・」
俊也は笑ってそう言った。
「お前には本当に感謝してるよ。結城をずっと傍で見ててくれてありがとうな」
そう言うと俊也は笑った。

「あ、そうだ!!俺さ・・・涼と結城にサプライズで会いに行こうって思ってるんだけどー・・・今あの2人って北谷のあのマンションに住んでるの?」

そうか、俊也も何度か沖縄には行ってるもんな。

「そうだよ、あの北谷のマンション!俺は行けそうもないから行ったら2人に宜しく伝えてくれ・・・・」













しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

独占欲全開の肉食ドクターに溺愛されて極甘懐妊しました

せいとも
恋愛
旧題:ドクターと救急救命士は天敵⁈~最悪の出会いは最高の出逢い~ 救急救命士として働く雫石月は、勤務明けに乗っていたバスで事故に遭う。 どうやら、バスの運転手が体調不良になったようだ。 乗客にAEDを探してきてもらうように頼み、救助活動をしているとボサボサ頭のマスク姿の男がAEDを持ってバスに乗り込んできた。 受け取ろうとすると邪魔だと言われる。 そして、月のことを『チビ団子』と呼んだのだ。 医療従事者と思われるボサボサマスク男は運転手の処置をして、月が文句を言う間もなく、救急車に同乗して去ってしまった。 最悪の出会いをし、二度と会いたくない相手の正体は⁇ 作品はフィクションです。 本来の仕事内容とは異なる描写があると思います。

溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。 「別れよう。」 その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。 飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。 「男ならキスの先をは期待させないとな。」 「俺とこの先・・・してみない?」 「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」 私の身は持つの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。 ※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団の異色男子 ジャスティン・レスターの意外なお話 矢代木の実(23歳) 借金地獄の元カレから身をひそめるため 友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ 今はネットカフェを放浪中 「もしかして、君って、家出少女??」 ある日、ビルの駐車場をうろついてたら 金髪のイケメンの外人さんに 声をかけられました 「寝るとこないないなら、俺ん家に来る? あ、俺は、ここの27階で働いてる ジャスティンって言うんだ」 「………あ、でも」 「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は… 女の子には興味はないから」

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...