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さて、色々ありましたが、私の歓迎パーティーは無事に(?)終わりました。
本日は城の与えられた部屋で過ごすことになりました。
ユリウス様は私をすぐにでもご自身の屋敷に迎え入れたいと言われましたが、夜も遅く、準備もしなければならないので私は城で休むことになりました。
ですので、屋敷に戻られるユリウス様をお見送りしていたのです。
私一人では危ないからとルートヴィッヒ様も一緒にユリウス様をお見送りしてくださいました。
とても仲が良いみたいです。
そして、お見送りする私をユリウス様は何時までも心配されており、なかなかお帰りになろうとはしませんでした。
「うーん、心配だ。兄上たちが居るところにリーシェン嬢を残すなど」
「大丈夫です、ユリウス様。あとは休むだけですから」
「ユリウス叔父上、私の私兵隊の者も護衛につけますから」
「うーん、ルーイがそう言うなら……ああ、しかし…」
「……ユリウス様」
「分かりました、ユリウス叔父上。パーシーに護らせます」
「う、うん。パーシーか。なら……分かった。頼むぞ」
「はい、おやすみなさい、ユリウス叔父上」
「お休みなさいませ、ユリウス様」
「ああ、お休み。リーシェン嬢、ルーイ」
こうしてやっとお帰りになりました。
些か子供扱いな気がしますが、心配されるのは初めてで驚きました。
そして、ルートヴィッヒ様に呼ばれ、私のもとにパーシーさんが来られ、私の護衛の一人になりました。
ルートヴィッヒ様から話を聞かれたパーシーさんは苦笑されていました。
「ユリウス皇太子殿下も仕方無いですね。私の名が出るまで留まっていたのですか?」
「ああ、なかなか帰ろうとせず困ったよ」
「ふふふ、目に浮かぶようです。では、リーシェン嬢」
「はい」
「私がパーシヴァルト・ムスカです。貴女様の護衛の任につきます、よろしくお願いいたします」
「はい。よろしくお願いいたします」
「私はユリウス皇太子殿下の近衛隊副隊長でして、殿下のご命令でルートヴィッヒ皇子の護衛をしていました」
「え?」
私は驚きました。
ユリウス様の近衛隊副隊長さんです。
ユリウス様がルートヴィッヒ様を御守りするために任を与えられていたはずですのに。
ユリウス様は何故それを……私に変えたのでしょうか?
私がルートヴィッヒ様を見るとルートヴィッヒ様は苦笑されていました。
「ふふふ、ユリウス叔父上は心配性なんですよ。それにユリウス叔父上が私につけた近衛隊の護衛はまだ数人居ますので心配しないでください」
「そうですよ。それに私の補佐はルートヴィッヒ皇子の方に残っているので大丈夫です」
「……なら、よろしいのですが」
「……………」
「?」
何でしょう?
パーシヴァルトさんはルートヴィッヒ様の方を見て微笑んでいます。
それに気づいたルートヴィッヒ様はパーシヴァルトさんから顔を背けています。
何でしょう、ルートヴィッヒ様のお顔が少し赤いような気がします。
ですが、心配ないとお二人に言われてしまえば仕方無いですね。
「分かりました。ルートヴィッヒ様が安全なのでしたら」
「ええ、ええ、安全ですよ。お目付け役がいなくなるだけですから」
「パーシー!」
「お目付け役ですか?」
「いいえ、何でもありませんよ」
ルートヴィッヒ様は何だが更にお顔が赤くなったように思いますが……気のせいでしょうか?
ルートヴィッヒ様は咳払いを一つしてから、話を切り替えました。
「もう夜も遅いですし、ここまでの旅とパーティーでお疲れでしょう、リーシェン嬢」
「そうですね」
「私はこれで退室させていただきます。ゆっくりとお休み下さい」
「はい。ルートヴィッヒ様もゆっくりとお休み下さい」
「本当に。休んでくださいよ」
「分かっているよ!」
何でしょう?
パーシヴァルトさんとルートヴィッヒ様は立場の上下など関しない、友人のような親しみ(?)のようなものを感じました。
私は友人などいませんでしたから、よく分かりませんが、そんな風に感じたのです。
不思議ですね。
ルートヴィッヒ様は私に苦笑されながら退室されました。
「では、私も持ち場につきます」
「はい、よろしくお願いいたします」
「はい。扉の前に居ますから何かあればお呼びください」
そう言いますとパーシヴァルトさんは出ていかれました。
私はナタリーたち侍女の皆さんに湯浴みやマッサージをして貰い、寝るためのワンピースに着替えさせて貰い、ベッドに入るとすぐに眠ってしまいました。
本日は城の与えられた部屋で過ごすことになりました。
ユリウス様は私をすぐにでもご自身の屋敷に迎え入れたいと言われましたが、夜も遅く、準備もしなければならないので私は城で休むことになりました。
ですので、屋敷に戻られるユリウス様をお見送りしていたのです。
私一人では危ないからとルートヴィッヒ様も一緒にユリウス様をお見送りしてくださいました。
とても仲が良いみたいです。
そして、お見送りする私をユリウス様は何時までも心配されており、なかなかお帰りになろうとはしませんでした。
「うーん、心配だ。兄上たちが居るところにリーシェン嬢を残すなど」
「大丈夫です、ユリウス様。あとは休むだけですから」
「ユリウス叔父上、私の私兵隊の者も護衛につけますから」
「うーん、ルーイがそう言うなら……ああ、しかし…」
「……ユリウス様」
「分かりました、ユリウス叔父上。パーシーに護らせます」
「う、うん。パーシーか。なら……分かった。頼むぞ」
「はい、おやすみなさい、ユリウス叔父上」
「お休みなさいませ、ユリウス様」
「ああ、お休み。リーシェン嬢、ルーイ」
こうしてやっとお帰りになりました。
些か子供扱いな気がしますが、心配されるのは初めてで驚きました。
そして、ルートヴィッヒ様に呼ばれ、私のもとにパーシーさんが来られ、私の護衛の一人になりました。
ルートヴィッヒ様から話を聞かれたパーシーさんは苦笑されていました。
「ユリウス皇太子殿下も仕方無いですね。私の名が出るまで留まっていたのですか?」
「ああ、なかなか帰ろうとせず困ったよ」
「ふふふ、目に浮かぶようです。では、リーシェン嬢」
「はい」
「私がパーシヴァルト・ムスカです。貴女様の護衛の任につきます、よろしくお願いいたします」
「はい。よろしくお願いいたします」
「私はユリウス皇太子殿下の近衛隊副隊長でして、殿下のご命令でルートヴィッヒ皇子の護衛をしていました」
「え?」
私は驚きました。
ユリウス様の近衛隊副隊長さんです。
ユリウス様がルートヴィッヒ様を御守りするために任を与えられていたはずですのに。
ユリウス様は何故それを……私に変えたのでしょうか?
私がルートヴィッヒ様を見るとルートヴィッヒ様は苦笑されていました。
「ふふふ、ユリウス叔父上は心配性なんですよ。それにユリウス叔父上が私につけた近衛隊の護衛はまだ数人居ますので心配しないでください」
「そうですよ。それに私の補佐はルートヴィッヒ皇子の方に残っているので大丈夫です」
「……なら、よろしいのですが」
「……………」
「?」
何でしょう?
パーシヴァルトさんはルートヴィッヒ様の方を見て微笑んでいます。
それに気づいたルートヴィッヒ様はパーシヴァルトさんから顔を背けています。
何でしょう、ルートヴィッヒ様のお顔が少し赤いような気がします。
ですが、心配ないとお二人に言われてしまえば仕方無いですね。
「分かりました。ルートヴィッヒ様が安全なのでしたら」
「ええ、ええ、安全ですよ。お目付け役がいなくなるだけですから」
「パーシー!」
「お目付け役ですか?」
「いいえ、何でもありませんよ」
ルートヴィッヒ様は何だが更にお顔が赤くなったように思いますが……気のせいでしょうか?
ルートヴィッヒ様は咳払いを一つしてから、話を切り替えました。
「もう夜も遅いですし、ここまでの旅とパーティーでお疲れでしょう、リーシェン嬢」
「そうですね」
「私はこれで退室させていただきます。ゆっくりとお休み下さい」
「はい。ルートヴィッヒ様もゆっくりとお休み下さい」
「本当に。休んでくださいよ」
「分かっているよ!」
何でしょう?
パーシヴァルトさんとルートヴィッヒ様は立場の上下など関しない、友人のような親しみ(?)のようなものを感じました。
私は友人などいませんでしたから、よく分かりませんが、そんな風に感じたのです。
不思議ですね。
ルートヴィッヒ様は私に苦笑されながら退室されました。
「では、私も持ち場につきます」
「はい、よろしくお願いいたします」
「はい。扉の前に居ますから何かあればお呼びください」
そう言いますとパーシヴァルトさんは出ていかれました。
私はナタリーたち侍女の皆さんに湯浴みやマッサージをして貰い、寝るためのワンピースに着替えさせて貰い、ベッドに入るとすぐに眠ってしまいました。
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