3 / 8
第3話 赤い橋
しおりを挟む
◇◆◇
その橋は、思っていたよりもはるかに大きかった。
地方都市の外れ、鬱蒼とした森を割るようにして流れる川。
その上にかかる鉄橋は、全体が禍々しいほど鮮やかな朱色に塗られていた。
――“赤い橋”。
蓮は電車を乗り継ぎ、半ば衝動的にここまで来てしまった。
実際に目にすると、背筋がすうっと冷えていく。
橋の袂には、色褪せた花束や空き缶の供え物がいくつも置かれていた。
まるで事故現場を示すかのように。
蓮は思い切って近くにいた年配の男性に声をかけた。
「すみません、この橋って……何かあったんですか?」
男は顔をしかめ、短く答える。
「……あそこは事故が多い。若いのは近づかん方がいい」
それ以上は話す気がないようで、
男はそそくさと去ってしまった。
仕方なく蓮は橋の中央まで歩いていった。
川面を覗き込む。濁った水が重たげに流れているだけ……のはずだった。
だが、視界の端で“何か”が揺れた気がした。
黒い影。
慌てて目を凝らす。
水面には蓮自身の顔が映っている。
だが、わずかに“口角が上がっている”ことに気づいた。
――笑っている。
自分ではない“もう一人の自分”が。
心臓が跳ね上がる。
後ずさろうとした瞬間、背後で足音が響いた。
振り返る。
誰もいない。
だが確かに、
耳の奥でささやく声が聞こえた。
――「やっと来たんだな」
風かと思った。
けれどその声は、確かに蓮の“耳元”で囁いたのだ。
スマホが震える。通知だ。
画面を開くと、
見知らぬ掲示板にスレッドが立っていた。
「佐久間蓮、赤い橋に到着」
息が止まった。
その書き込みの最後には、やはり例の文字が添えられていた。
――#諸説あり
その橋は、思っていたよりもはるかに大きかった。
地方都市の外れ、鬱蒼とした森を割るようにして流れる川。
その上にかかる鉄橋は、全体が禍々しいほど鮮やかな朱色に塗られていた。
――“赤い橋”。
蓮は電車を乗り継ぎ、半ば衝動的にここまで来てしまった。
実際に目にすると、背筋がすうっと冷えていく。
橋の袂には、色褪せた花束や空き缶の供え物がいくつも置かれていた。
まるで事故現場を示すかのように。
蓮は思い切って近くにいた年配の男性に声をかけた。
「すみません、この橋って……何かあったんですか?」
男は顔をしかめ、短く答える。
「……あそこは事故が多い。若いのは近づかん方がいい」
それ以上は話す気がないようで、
男はそそくさと去ってしまった。
仕方なく蓮は橋の中央まで歩いていった。
川面を覗き込む。濁った水が重たげに流れているだけ……のはずだった。
だが、視界の端で“何か”が揺れた気がした。
黒い影。
慌てて目を凝らす。
水面には蓮自身の顔が映っている。
だが、わずかに“口角が上がっている”ことに気づいた。
――笑っている。
自分ではない“もう一人の自分”が。
心臓が跳ね上がる。
後ずさろうとした瞬間、背後で足音が響いた。
振り返る。
誰もいない。
だが確かに、
耳の奥でささやく声が聞こえた。
――「やっと来たんだな」
風かと思った。
けれどその声は、確かに蓮の“耳元”で囁いたのだ。
スマホが震える。通知だ。
画面を開くと、
見知らぬ掲示板にスレッドが立っていた。
「佐久間蓮、赤い橋に到着」
息が止まった。
その書き込みの最後には、やはり例の文字が添えられていた。
――#諸説あり
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】探さないでください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
私は、貴方と共にした一夜を後悔した事はない。
貴方は私に尊いこの子を与えてくれた。
あの一夜を境に、私の環境は正反対に変わってしまった。
冷たく厳しい人々の中から、温かく優しい人々の中へ私は飛び込んだ。
複雑で高級な物に囲まれる暮らしから、質素で簡素な物に囲まれる暮らしへ移ろいだ。
無関心で疎遠な沢山の親族を捨てて、誰よりも私を必要としてくれる尊いこの子だけを選んだ。
風の噂で貴方が私を探しているという話を聞く。
だけど、誰も私が貴方が探している人物とは思わないはず。
今、私は幸せを感じている。
貴方が側にいなくても、私はこの子と生きていける。
だから、、、
もう、、、
私を、、、
探さないでください。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる