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リサのスケッチブック

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放課後の街は、人々のざわめきと足音で満ち溢れていた。その中、白いブラウスに身を包んだ少女が、疾走するように歩いていた。彼女の頬は若干上気しており、学校での出来事がまだ心に残っている様子だった。

「もう、あの先生って本当に変わってるんだから!」

彼女は友達との会話を思い出し、声を荒げて呟いた。風がブラウスをやさしくなびかせ、街路樹の葉がさざめく音が耳に心地よく響く。

すると、通りかかるクラスメイトが微笑みながら彼女に声をかけた。

「リサ、何かあったの?」

彼の声は優しく、少女は心地よさを感じた。少女は頷きながら答えた。

「先生がまた変なことを言ってきて…でも、もう気にしないことにするわ!」

少女の決意が、街全体にほんのりと甘い香りを運んでいった。その香りは、周囲の人々に微笑みを浮かべさせ、何か特別なことが起こる予感を漂わせていた。


リサ、松田理沙はごく普通の高校生だ。

リサは、シュノーケリングの話をする先生の姿を思い出しながら、寝室の窓辺で窓の外を眺めていた。窓の外に広がる夕焼け空が、先生の話していた海を連想させるものだった。それは彼女が抱いていた彼へのイメージと異なる、意外な一面だった。

彼女は心の中でつぶやいた。「コン先生って、なんだか不思議な人だな…」。
最近気になっている先生。今野敏也。理科室の番人。指導熱心な姿勢や、どこかわからない雰囲気が、彼女を引き寄せるような気がした。

振り返れば、その不思議な距離感はリサ自身もどかしさを感じていた。まだ先生との接触は少ないけれど、なんとなく気になる存在として、初めての授業から心に留まっていた。彼の時折みせる明るさや指導熱心さに共感しつつも、異性としての匂いにも気づいている自分に驚いていた。

リサは机の上に広げたスケッチブックを開き、鉛筆でシュノーケリングのシーンを描き始めた。青い海と魚たちの姿を思い浮かべながら、なんとなく先生の笑顔も描き加えてみた。自分でも気づかない内に、心の中で物語が紡がれていくようだった。

そうして心の中の甘酸っぱい思いをアウトプットした後、ハッと我に返って気恥ずかしくなり、思わずスケッチブックの先生の顔の部分を鉛筆で黒く塗りつぶすのだった。

彼女はスケッチブックを閉じ、机に顎を乗せながらぼんやりと笑った。「ねえ、もしかして私、先生に…?」。そんな優しく甘い空気が、リサの寝室を包み込んでいた。リサがこんな想いを抱くのは、初めてのことだった。


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