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相模ノ統吾郎一味の探索〜其の弐。
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堀越ノ藤助親分に相模ノ統吾郎一味の探索を命じてから三日目。藤助親分が勘吉という十四、五歳くらいの下っ引きをつれて伝三郎の拝領屋敷にやってきた。
書院に通して茶を出そうと思ったが、ここは茶よりも酒だろうと気付いて、二人分の酒と猪口、梅の実の握り飯と鰯の煮付けを出した。
藤助親分と勘吉は恐縮していたが、腹が減っていたのだろう二人は握り飯に齧り付き、鰯の煮付けに箸を伸ばし、一気に酒を飲み干した。
「旦那。ごちになりやした」
「何。構わねえよ。んで、何か分かったかい」
「へい。まあ、そこそこには。へい」
無言で続きを促すと、
「統吾郎の野郎は随分と図太い奴でしてね。昔馴染みの賭場にしょっちゅう出入りしておりやす」
「何処の賭場だ」
「水戸様、加賀様、伊達様、藤堂様の賭場でござんす」
「そうか。水戸様と加賀様のほうは厄介だな。統吾郎は毎日遊んでやがんのか」
「いえ。毎日ってほどじゃあありやせんが、三日と開けずに通ってるみてぇなんで」
伝三郎はふむと頷くと、
「吉原や岡場所辺りはどうなんだ」
「へい。むしろそっちが目当てのようでして。毎晩欠かさずに遊んでやがるんでさ。馴染みは吉原の桃花楼の揚羽太夫でして」
「大尽遊びを毎晩か。となると遊び代は盗み金か」
吉原遊女の頂点に立つ太夫と毎晩遊ぶには五両やそこらじゃ続かない。諸々の祝儀も込めて一晩で十数両は軽く飛ぶ。それだけの遊び方ができるのは、相当な上級旗本か豪商のお大尽だけだが、それでも毎晩とは難しいだろう。
吉原にとっては嬉しい事だろうが、会所にとっては警戒すべき事でもあろう。
「藤助。四郎兵衛会所に話したか」
「いえ、まだでございます」
「そうか。ふむ。そうだな。藤助、勘吉。今夜は吉原に行くぞ」
「吉原へですかい」
「何、心配するな。金は俺が出す」
と言われても、藤助にはお玉という姐さん女房がいるし、勘吉には早過ぎるような気がしないでもない。
しかし、これも御上御用のためとなれば話しは別だ。
「勘吉。オメェにはちょいと早過ぎるかもしれねぇが、小柳の旦那のお供で行くぞ」
「お、親分。あっしもですかい」
勘吉が何を想像したのか敢えて触れないが、顔が茹で蛸みたいに赤くなっているのを見て、伝三郎と藤助は笑った。
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