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第9話 地下室を出る日
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それから少しして、ビアトリスはエリオットからセオドアを紹介された。エリオットの友人というからどんな人物だろうと想像していたが、明るい社交的な人物と知って意外に思った。というか、夫に友人がいたこと自体驚きた。
「エリオットが結婚なんて言うからびっくりしたけど、素敵な奥さんじゃないか。いい人が来てくれてよかった」
セオドアの言葉がただの社交辞令なのは頭では分かっているつもりでも、エリオットは少しモヤモヤした。自分以外の人間がビアトリスを褒めるのは、なぜか複雑な心境になる。
「せっかくなので、お茶でも飲みながら3人で話をしませんか? 立ち話も何ですから」
ビアトリスは平静を装って彼らをお茶に誘った。しかし、内心では好奇心がむくむくと膨れ上がり、席に着くとセオドアを質問攻めにしてしまった。
「お二人は文学仲間と聞きましたが、どこで知り合ったんですか?」
「元は学生時代の友人なんですよ。寄宿舎で同じ部屋で。そこで文学の趣味が合ったんです」
「え? エリオットは寄宿舎に入っていたの?」
ビアトリスが驚いて声を上げる。それを聞いて、こんな程度のことも説明してなかったのかとセオドアもまた驚いた。
「今でこそ地下室生活だけど、昔からこうじゃなかったんですよ。彼がこの家に来たのは学校を卒業した後ですから。それまでは別のところに住んでいたんです、ってこれも初耳ですか?」
「ごめん、秘密にしてたわけじゃないんだけど、話しそびれてしまった。いいよ、どんどん続けて」
呆れるセオドアをよそに、エリオットは先を促した。それから、話題は「紅の梟」へと移った。実際は、エリオットとセオドアが最初に立ち上げたのだが、ビアトリスの前では、二人とも作家志望の熱心な読者ということにしておいた。セオドアは貧乏貴族の三男でお金がないが、ブラッドリー家は財産持ちなので、殆どエリオットが出資したという事情がある。そのため、万年引きこもりながら編集長の役職を与えられているのだ。他にお金の使い道がないエリオットは、殆ど同人誌制作に費やしていた。
最初は自分の小説を投稿していたが、そのうち他人が書いた小説の批評がメインとなった。今はペンドラゴンとして編集と批評の仕事を請け負っている。そのうち、文芸界では大きな影響力を持つ雑誌へと成長していった。
「何度か王都に行ったことがあると聞いたけど、セオドアさんのお陰なんですね。いい友達がいてよかった。早く一人で行けるといいわね。今そのためにリハビリとして散歩しているんですよ」
「そういや、さっき顔色がよくなったという話をしてました。もしや、散歩のお陰かな?」
「そう! 少しずつだけど、健康的になったと思いません? だんだん地上に出るのも抵抗なくなってきたみたいでよかったです」
何の屈託もなくニコニコと話すビアトリスを見て、セオドアは何か思いついたようで、にやっと笑いながら口を開いた。
「奥さんが頑張って彼を連れ出してくれたお陰ですよ。さっき、彼と話したんですが、蔵書が増えすぎて地下室が手狭になったので、部屋を地上に移そうかと思って」
「ちょっと! 話が早いよ! 第一心の準備が!」
「本棚に収まりきらないと言ってただろ。それには部屋を移すしかないって。それならここでぱぱっと決めちゃえよ」
「まあ! エリオットが地上の部屋に引っ越すなんてとんでもない快挙だわ! どうしましょう、お祝いしなきゃ!」
ビアトリスまで話に乗ったのを見て、エリオットは本格的に慌て出した。
「待って! まだ心の準備が! ちょっと時間をちょうだい」
「こんなところで何ぐずぐずしてんだよ。早く決めちゃえよ」
「お前……後で覚えてろ……」
エリオットは低い声でそう言ったが、実際には何もできないのを知っているので、セオドアは涼しい顔のままだった。ビアトリスのきらきらした視線が痛い。彼女の期待に答えたい気持ちは山々だが、簡単に決められることではない。どうしたものかと迷っていたが……
「えいっ! 決めた! どの道このままじゃ部屋が片付かないのは分かっていたし。その代わりセオドア。部屋が片付くまでここに残って手伝えよ! どれだけかかるか分からないからな!」
「やったー! エリオットがやっと決めてくれたわ! ありがとう! そしておめでとう!」
エリオットは、なし崩しに決まってしまって憤懣やるかたなかったが、立ち上がって両手を広げながら喜びを表現するビアトリスを見たら、まんざらでもない気分になった。地下室を出るのがあれだけ怖かったのに、ビアトリスがいると何でもできるような気分になれる。それが不思議だった。
***********
「改めて、ご決断おめでとう。俺もちゃんと付き合うから安心しろよ。そのつもりで何泊かするつもりで荷物も持って来た」
ビアトリスがいなくなり、一旦地下室に戻ってからセオドアがエリオットに声をかけた。
「あの時は勢いで言ってしまったけど、思い直したらやっぱり怖いよ。延期することはできない?」
「駄目だ。男に二言はないだろう。第一、奥さんを悲しませるぞ」
エリオットはうっと言葉に詰まった。セオドアは、何を言えば彼が従うかツボを心得ているのだ。
「分かったよ……その代わり、本気でビアトリスの原稿を探すぞ。この書類の山から絶対見つけてやる」
こうして、二人は本格的に部屋の片づけに取り掛かった。しばらく無言で作業していたが、一時間以上経った頃、エリオットが「あった!」と声を上げた。
「こんなところに埋まっていた……『トビアス・ジェームズ』これがビアトリスのペンネームだ。字体も同じだ。読んでみよう」
どうやら10分以内で読み終わる短編のようだ。エリオットは原稿に目を通し始め、読み終わったものは無言でセオドアに渡した。これが二人同時に読むときのスタイルである。しばし片付けの手を止め、二人とも無言で読んでいた。
「……どうだった? 感想は?」
全部読み終わり、セオドアが少し言いにくそうにエリオットに尋ねる。
「……悪くなかった。変に装飾に逃げず、分かりやすい文章で嫌味がない。地味な作風だから、他の作品の方が目立ってそちらを選んだのかもしれない。ただ……」
「ただ?」
「実際に掲載できるかどうかは、今の僕には判断できない。だって身内となってしまった今、冷静に見ることはできないもの。贔屓目が混じってるんじゃないかとか、そんな雑念が入ってしまって駄目だ。やはり、他所に投稿するように言おう」
エリオットはそう言うと、ぐしゃぐしゃと頭をかきむしった。
「でも、他所に取られるには惜しい人材じゃないか? 確かに粗削りなところがあるけど。お前の立場を明かしてアドバイスしてやればいいじゃん」
「無理だよ! アドバイスだけならいいけど、自分が影響力を持つ雑誌には来てほしくない。そうでなくても、彼女の人生に影響を与えてしまったから、もう同じことはしたくないんだ……」
エリオットは、ビアトリスと父が交わした賭けの話を、セオドアにも教えた。
「必要以上に責任感じ過ぎなんじゃないの? そんなの知り合う前だったんだから仕方ないよ。別に向こうも何とも思ってないって」
「そうだとしても僕の気が済まない。こんな田舎で、厄介者の夫の世話をするより、華やかな王都に出た方がいいに決まってるだろ……」
エリオットは視線を床に落とした。王都なら、ビアトリスを変人扱いする者もいないかもしれない。都会は人が多い分、他人に対する興味は薄い。人が何をしていようと気を払わない人間が多い。
「そんなの分からないって。俺が聞いてやろうか? お前と結婚して後悔しているかって? さっの様子ではそんなことないように見えるけど」
「やめ、余計なことするな! お前は、引っ越し作業を手伝えばいいんだ。無闇にビアトリスに近づくな!」
自信がないくせに、ビアトリスの夫ヅラするエリオットがおかしくて仕方ない。セオドアだって最低限の良識はあるから、友人の妻、しかも新妻を口説こうなんて気はさらさらない。しかし、それとは別に気になる事があった。
「別にやきもち焼かれるようなことはしないけどさ、お前たちもしかして『まだ』なの?」
「『まだ』って何が?」
「寝る時も別々なんだろ……? つまり……」
そこまで聞いたエリオットは、セオドアが言わんとしていることを察して耳まで真っ赤になった。
「人んちの事情に首を突っ込むな! 下品! 破廉恥! 出てけ!!」
頭から湯気を立てながら喚き散らすエリオットを見て、セオドアは腹を抱えて笑った。これは面白い。滞在中退屈しなさそうだ。
★★★
最後までお読みいただきありがとうございます。
恋愛小説大賞エントリー中です。
チェリーをからかわれるエリオットかわいいと思ったら清き一票をお願いします!
「忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される」も同時連載中です。こちらはシリアス度高めです。
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「今でこそ地下室生活だけど、昔からこうじゃなかったんですよ。彼がこの家に来たのは学校を卒業した後ですから。それまでは別のところに住んでいたんです、ってこれも初耳ですか?」
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呆れるセオドアをよそに、エリオットは先を促した。それから、話題は「紅の梟」へと移った。実際は、エリオットとセオドアが最初に立ち上げたのだが、ビアトリスの前では、二人とも作家志望の熱心な読者ということにしておいた。セオドアは貧乏貴族の三男でお金がないが、ブラッドリー家は財産持ちなので、殆どエリオットが出資したという事情がある。そのため、万年引きこもりながら編集長の役職を与えられているのだ。他にお金の使い道がないエリオットは、殆ど同人誌制作に費やしていた。
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「そういや、さっき顔色がよくなったという話をしてました。もしや、散歩のお陰かな?」
「そう! 少しずつだけど、健康的になったと思いません? だんだん地上に出るのも抵抗なくなってきたみたいでよかったです」
何の屈託もなくニコニコと話すビアトリスを見て、セオドアは何か思いついたようで、にやっと笑いながら口を開いた。
「奥さんが頑張って彼を連れ出してくれたお陰ですよ。さっき、彼と話したんですが、蔵書が増えすぎて地下室が手狭になったので、部屋を地上に移そうかと思って」
「ちょっと! 話が早いよ! 第一心の準備が!」
「本棚に収まりきらないと言ってただろ。それには部屋を移すしかないって。それならここでぱぱっと決めちゃえよ」
「まあ! エリオットが地上の部屋に引っ越すなんてとんでもない快挙だわ! どうしましょう、お祝いしなきゃ!」
ビアトリスまで話に乗ったのを見て、エリオットは本格的に慌て出した。
「待って! まだ心の準備が! ちょっと時間をちょうだい」
「こんなところで何ぐずぐずしてんだよ。早く決めちゃえよ」
「お前……後で覚えてろ……」
エリオットは低い声でそう言ったが、実際には何もできないのを知っているので、セオドアは涼しい顔のままだった。ビアトリスのきらきらした視線が痛い。彼女の期待に答えたい気持ちは山々だが、簡単に決められることではない。どうしたものかと迷っていたが……
「えいっ! 決めた! どの道このままじゃ部屋が片付かないのは分かっていたし。その代わりセオドア。部屋が片付くまでここに残って手伝えよ! どれだけかかるか分からないからな!」
「やったー! エリオットがやっと決めてくれたわ! ありがとう! そしておめでとう!」
エリオットは、なし崩しに決まってしまって憤懣やるかたなかったが、立ち上がって両手を広げながら喜びを表現するビアトリスを見たら、まんざらでもない気分になった。地下室を出るのがあれだけ怖かったのに、ビアトリスがいると何でもできるような気分になれる。それが不思議だった。
***********
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ビアトリスがいなくなり、一旦地下室に戻ってからセオドアがエリオットに声をかけた。
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エリオットはうっと言葉に詰まった。セオドアは、何を言えば彼が従うかツボを心得ているのだ。
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こうして、二人は本格的に部屋の片づけに取り掛かった。しばらく無言で作業していたが、一時間以上経った頃、エリオットが「あった!」と声を上げた。
「こんなところに埋まっていた……『トビアス・ジェームズ』これがビアトリスのペンネームだ。字体も同じだ。読んでみよう」
どうやら10分以内で読み終わる短編のようだ。エリオットは原稿に目を通し始め、読み終わったものは無言でセオドアに渡した。これが二人同時に読むときのスタイルである。しばし片付けの手を止め、二人とも無言で読んでいた。
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エリオットは、ビアトリスと父が交わした賭けの話を、セオドアにも教えた。
「必要以上に責任感じ過ぎなんじゃないの? そんなの知り合う前だったんだから仕方ないよ。別に向こうも何とも思ってないって」
「そうだとしても僕の気が済まない。こんな田舎で、厄介者の夫の世話をするより、華やかな王都に出た方がいいに決まってるだろ……」
エリオットは視線を床に落とした。王都なら、ビアトリスを変人扱いする者もいないかもしれない。都会は人が多い分、他人に対する興味は薄い。人が何をしていようと気を払わない人間が多い。
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自信がないくせに、ビアトリスの夫ヅラするエリオットがおかしくて仕方ない。セオドアだって最低限の良識はあるから、友人の妻、しかも新妻を口説こうなんて気はさらさらない。しかし、それとは別に気になる事があった。
「別にやきもち焼かれるようなことはしないけどさ、お前たちもしかして『まだ』なの?」
「『まだ』って何が?」
「寝る時も別々なんだろ……? つまり……」
そこまで聞いたエリオットは、セオドアが言わんとしていることを察して耳まで真っ赤になった。
「人んちの事情に首を突っ込むな! 下品! 破廉恥! 出てけ!!」
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